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第14話 滑り台と牛歩戦術
ある休日、ホームセンターのキッズコーナーに立ち寄ったパパとプリンセス。
小さな複合遊具を見つけた瞬間、プリンセスの目が輝く。
「遊びたーい!」
でも、パパとしては昼寝もさせたい時間帯。ここは話し合い、いわゆる“Pサミット”の開催だ。
「じゃあ10回滑ったらおしまいね?」
プリンセスは嬉しそうにうなずいた。
パパも一安心。小さい滑り台だし、10回なんてすぐ終わるはずだった――そう、甘く見ていた。
パパが「あと3回ね」と声をかけると、プリンセスはすかさず交渉。
「4回!」
しかし、最初の約束を崩すわけにはいかない。パパはきっぱり拒否する。
それでもカウントダウンのたびに、交渉、交渉、また交渉。
そして最後の1回。
なぜかプリンセスの動きが、スローモーションに。
滑り台へ続く階段を、一歩一歩、まるで牛歩戦術のようにゆっくり上っていく。
「わざとか!」と心の中でツッコミながら、パパは静かに見守る。
ようやく最後の滑走を終え、「さて、帰ろうか」と声をかけると――
「アイス食べたらね!」
満面の笑みでかわされるパパ。
今日もまた、プリンセスとの交渉は完敗だった。




