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不意に笑いが止まり、アレクシスはシャロン王女の前に跪く。
「―――え?アレクシスさま?」
「シャロン王女殿下。私は貴女のおかげで愛を知り、呪いを解く事が出来ました。」
また一段と頬を染め、驚きと期待の表情を浮かべるシャロン王女をアレクシスは愛おしいと感じた。
「我が国でお会いする以前から貴女の事を好ましく思っていましたが、こうしてまた貴女にお会いし貴女の優しさと愛情深さに触れ、私は愛する事を教えてもらった。」
いや、御託はいいな。もっとシンプルに。
そう頬を掻いて呟いたアレクシスはきりッと決意新たにシャロン王女を見上げる。
「―――シャロン王女殿下。私は貴女が好きです。私は貴女とこれからの生涯を共にしてほしい。結婚してくれませんか?」
「はい!よろこんで!!!」
差し出された手を勢いよく掴んで、食い気味に返事をしたシャロン王女。
それを嬉しそうに笑ってこんな服じゃ恰好つかないねと言うアレクシス。
ぶかぶかでヨレた服は、肩から今にもずり落ちそうだしズボンもぶかぶか。
それでも貴方はカッコいいのですと笑うシャロン王女。
手を取り合い微笑み合う二人の元に、アレクシスの両親が駆け付け涙するのはそれからすぐ後の事。
その後、両親の許可を取り婚約に向けて準備を始めるアレクシスを他所に、暴走気味のシャロン王女は滞在期間1か月を予定した我が国での初公務をさっさと切り上げ、自国に帰り父王に半ば無理やり婚約の許可を捥ぎ取ってきたりと。
それからもシャロン王女は、アレクシス愛が強すぎるが故に良く暴走し、猪突猛進で突っ走っていたがその度アレクシスがフォローや先回りし彼女がこの国に早く馴染めるよう尽力したり、シャロン自国の自称婚約者が乗り込んできたりするのだがそれはまた別のお話。
紆余曲折をへて国中に祝われながら迎えた結婚式当日、シャロン王女は“たまにあの大きな貴方も恋しくなるわ”とアレクシスに微笑むのだがそれもまた別のお話。
9度目の婚約破棄に僕のボタンが弾け飛ぶ
おしまい。