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鬼の乳母、メリサの煽動作戦(?)

「お嬢さま?

 ほら、もういい加減

 お起きになってくださいませ」

 

 ベッドのそばに設けられた

 小さなテーブルに、先ほど()れたばかりの

 お茶を置きながら、メリサはホッと溜め息をついた。

 

「う……ん」 

 ……もういい加減起きないと

 雷が落ちてきそうだ。


 メリサは少し、顔をしかめていた。

 穏やかに優しく微笑むその笑顔の影に

 微かな狂気を感じて俺は固まった。


 見た目はどこにでもいそうな壮年の女性。

 それがメリサだ。


 どこも変わったところは見受けられない。

 農村地帯で見かけても、気の利いた親しげな女性……

 そんな風にしか見えないだろう。

 

 だけどウチってさ、

 天下のゾフィアルノなんだよね。


 そんな侯爵家に長年(やと)われているメリサが

 ごく普通のありふれた壮年の女性……なんて

 そんなわけがない。


 ましてやメリサは、俺たちの乳母として

 ここに雇われている。


 ぶっちゃけ、俺たちが危険に晒されたときには

 真っ先に助ける事が出来なければならない。


 それが乳母になったメリサの

 何よりも優先しなければならない、最大の仕事だ。

 

 言い換えれば、日々の生活のサポートなんて

 本当は二の次で、

 一番重要な『ゾフィアルノ侯爵家の

 嫡出子の命を守る』ことが出来さえすれば上出来。


 後は、お茶なんか()れられなくっても

 掃除が出来なくても、

 ここでは生き残ることが出来る。

 

 ……だけどさ。

 おそろしいことにメリサは、そのどれをも

 完璧にこなしてしまう。


 まさに人ならざるもの……?


 なんでそんなに手が回るんだろ?

 だから俺は、メリサには頭が上がらない……。

 

 隠された重要任務と、俺の身の回りの世話……

 その全てをクリアしているメリサだからこそ

 俺が成長して乳母なんて

 もう必要ないって年になった今でも、こうして

 傍にいてもらっているわけだ。


 長年ゾフィアルノ侯爵家に仕えている実績がある。

 ……それだけでメリサは信用に値する。


 たとえこの家を出て、他家へと

 行く事になったとしても、その事実は

 けして変わらない。


 どこの屋敷でも、きっとメリサは

 引く手あまたになるに違いない。

 

 だけどもう、手放せるわけなんてないんだよね。

 俺の秘密を知ってしまっているし。有能だし。

「……」

 

 確かにさ、雇う側の俺たちは

 メリサよりも権力を持ってるよ?

 立場だって遙かに上かもしれない。


 実際その差は、天と地すらの差があると思う。

 

 ……だけどメリサには

 ここにいてもらわなくちゃいけない。

 

 いないと俺は困ってしまうんだ。


 誰にも打ち明けられないこの秘密。

 この秘密を共有できて、共に生活できるのは

 もうメリサしかいないんだ。


 そういう『必要』とか、『不必要』とかの

 観点から言うと、確実にメリサの存在は

 俺よりも遥かに上だ。


 俺は『傍にいて下さい』って

 本当は頭を下げて頼む方なんだと思ってる。

 


 実力と必要性。


 それを完璧なほどに自分の力として

 持っているメリサは、俺にとっては

 信じられないほど脅威的で大切で

 そして尚且つ、必要不可欠な存在なわけで……。

 

 実際メリサが、どれほどの

 武力を持ってるか……なんて、

 対決した事が ないから分からないんだけれど

 そんじょそこらの『普通の兵士』では歯が立たない。


 俺はそんなメリサに、生まれた時から

 守られているんだ。

 

 

 

「……おはよう。メリサ」

 

 ……だから俺は、そんな

『驚異的な存在』の機嫌を(うかが)うように

 そっと呟いて、顔に掛かった髪を

 掻き上げながら起き上がる。

 

 頭痛は、どうにかおさまってきているようだ。


 まだズキズキするけれど

 倒れ込むほどじゃない。


 俺は少しだけ、ホッとする。

 やっぱり寝すぎたんだろうか?

 


 ……こう見えてメリサは、怒るとすごく怖い。

 

 俺相手に本気を出すことはない……とは

 思うんだけど、少なくとも、その実力は

 騎士職レベルにある……と思われる。


 こんな俺だけど、一応はゾフィアルノの嫡出子。

 それなりの武芸を叩き込まれているけれど、

 それでも尚、脅威を感じるくらいにメリサは怖い。


 だから、逆らわない方が身のためだ。

 俺は肩をすくめる。

 

「……」 

 ……人知れずビビりながら

 俺は静かに身を起こした。

 

 良くなりつつはあるけれど、以前体は重い。

 たくさん休んだはずなのに、おかしい。

 これは絶対におかしい。

 

 どうにか起きれはしたけれど……思考がまだ

 追いつかない。


 頭の中が(かすみ)が掛かったように

 ぼんやりとしていて、まるで

 雲の上にいるみたいだった。

 

 俺はひとまずベッドの上に座り

 軽く溜め息をついて、ぼんやりと辺りを見回した。

 

 

 

 俺は、寝ている時も女の姿……なわけがない。

 さすがに素に戻って、ぐっすり眠る。

 

 ……だって、キツイんだもん。

 

 異世界……と言えども、寝る時はどこも同じ。

 この世界でも、男女とも楽な寝着で寝る。


 ……寝るんだけれど、それでも令嬢の使う寝着は

 フリフリびらびらしてるんだ。

 それ着て寝るとか、それこそ勘弁して欲しい。

 

 俺ってば、日々ドレス着て頑張ってるんだよ?


 俺の場合はそんなに締め上げないとは言っても

 あの窮屈なコルセットをするにはする。


『女性らしい体型を維持しなければ……』と言って

 メリサも当然手伝ってくれるんだけど

 それは別に有難くも何ともない。


 つけなくていいんだったら、つけやしない。

 だけど寸胴(ずんどう)に見せないためにも、

 アレ(・・)は必要なんだってさ。


 魔法でそれらしくは見せてはいるけれど

 何が起こるか分からない。


 必要最低限の装備(?)は

 必ずすべきだって言うのが、メリサのモットーだ。

 

 ……あー。ところで『モットー』ってさ、

 日本語じゃないっての知ってた?


 まさかのイタリア語なんだって。


 俺、ずっと日本語だって思ってた。

 日本語でも英語でもない。……なんでイタリア?


 ……ってまあ、それはいいとしてだ。

 とにかく! ベッドの上は保護魔法が強固だし

 女性だって装飾を凝らさない

 質素な寝着を愛用する高位貴族は多いから、

 いつも頑張っている俺が男に戻っていたとしても

 いいんだよ! なんの問題もないんだから。


 だから俺はここぞとばかりに

 好きな格好で眠るわけなんだけど……。

 だけど……。

 

 

「……あれ?」

 

 この時俺は、はたと気づいた。

 俺って、着替えてんじゃん?

「……」 

 自分の着ている寝着を見て、俺は目を丸くした。

 

 夜会に着ていった

 あのクリーム色のドレスではなくて

 ちゃんと普通に、いつもの寝着に着替えていた。



 夜会会場では、婚約破棄の断罪される場だという

 認識があったから、いつもより

 質素なドレスを選んでいた。

 

 コルセットもつけてはいたけれど

 そんなにキツイものでもなかったし

 フリル少なめのストレートラインのドレス。


 ぶっちゃけそのまま寝たとしても

 問題なかったはずなんだけど

 でもちゃんと着替えさせてくれていたんだ。

「……」

 そっと髪と頬に触れる。

 

 頬はつるりとしていて

 化粧の『け』の字もないし、荒れてもいない。

 髪だって石鹸のいい香りがした。


 ……ってことはアレだ?

 フィデルが着替えもしてくれたって事になる。


 それともメリサかな?


 ん? いや待て、その上、お風呂まで

 入れてくれたってこと?

 俺、それなのに全く起きなかった?

 それなのに、そこまでしてくれたの?

 

「……」

 俺は上目遣いで、そっとメリサを覗き見る。


 ……メリサはそれに、気が付かない。

 いそいそと朝の支度の続きをしていた。

 

 

 普通だったら、これほど大きな屋敷になると

 大勢の侍女や従者が働いている。


 だけどここは別邸になる。

 本来『(あるじ)』が住むべき本邸じゃなくて

 別邸だ。


 いわゆる休息のためだとか

 余暇のために使われるこの別邸には

 今は俺とメリサしか住んでいない。


 手入れのために、ごくごく稀に

 耳の遠い じいちゃんがやって来るけれど

 でもそれだけだ。


 だからその分の負担が全てメリサにのしかかる。

 それを苦もなくやってのけている。

 ……本当に驚異的な存在。

 

 

 何故そんな所にいるのかって?

 

 そりゃ『楽』だからだよ。

 多少言葉や態度を荒くしても許される。

 好きな料理だって作れるし、

 たくさんの使用人の目から(のが)れられる。

 

 そりゃそうだよね?

 天下のゾフィアルノ侯爵家の令嬢だよ?

 人目を引かないわけがない。

 

 日々、誰かしらの

 好奇の目に晒されている俺としては

 私生活ぐらい のんびりゆっくり過ごしたい。


 その上俺ってば、秘密抱えてるんだろ?


 普通の令嬢と同じになんて、

 過ごせるわけがないんだ。多くの侍女や従者を

 抱え込む甲斐性なんてものは

 ハナから持ち合わせていなくって

 息が詰まるようなこの貴族社会も、

 本当は俺の性には合わない。


 だから、本邸からこの別邸へと移り住んだ。

 


 ここへ来る時に俺は

『メリサだけいればいい』って、そう言った。


 そう言って俺はメリサだけを連れて

 この別邸へと引き籠った。

 

「……」 


 ……ただ。

 ただね、ここへ引っ越す時

 ゾフィアルノ侯爵家の護衛隊や使用人の間から

 そのことに対する反対の声が上がった。

 

 いくら敷地内だとしても、仮にも俺は侯爵令嬢。

 その令嬢が本邸を出て別邸で過ごす。


 しかも連れて行く使用人が、

 乳母のメリサたった一人。


 それはどう考えても有り得ない話しだったし

 ましてや俺が『護衛兵はいらない』と

 言い放ってしまっていたから問題になった。


 護衛兵の中で、不満を口にする者たちが出てきたんだ。

 

 ……暗に『お前たちは役立たずだからいらない』って

 言ったも同然だしね?

 ……後で気づいたけどね。


 俺ってさ、今もだけど

 当時も相当な子どもだったから

 そんな事に気づきもしなかった。


 そりゃ怒るよね、そんな事言われたら誰だって。

 

 だけどさ、だからって連れていくわけにもいかない。

 俺の秘密をばらす事すらできない。

 だって無理だろ?


 なんて言えばいい?

 本邸だと男になりづらいから苦しいって?

 本邸では心穏やかに過ごせないって?

 それこそ失礼だろ?

 

 自分のしてしまった事に後悔はしたけれど、

 改めてその理由を伝えることも出来なくて

 黙っていたら、だんだん護衛兵たちが

 (わめ)き始めた──。

 


 ……いや、実際には

『喚き散らす』なんてことはしない。


 彼らもそれなりの地位がある貴族たちだ。

 だから彼らは真顔で、静かに眉をひそめた。


 それから無言の圧力。

 直接俺にではなくて、メリサに。


 

 感情を見せないって、ホント怖いよね。

 静かな殺気を感じて、俺はゴクリと唾を飲む。

 どうにかしてメリサを守らなくっちゃって

 思ってた矢先だった。

 

 

 

『……フィリシアさま。

 ご自分のお立場をご理解なさっておいでですか?』

 

 

 

 ある日俺は、ゾフィアルノ侯爵領内にある

 兵士たちの鍛錬場へと視察に出掛けた。


 一緒に行ったのは俺とメリサ。

 それから数人の護衛騎士と侍女たちをつけていた。


 さすがに視察では、『メリサだけでいい』なんて

 ワガママは通じない。


 そしてこの時、案内を務めたのは隊長であるリアム。


 リアムは辺りが静かになったのを見計らって

 冷たくそう俺に言い放った。


 一気にその場が凍りつく。


 俺は目を見張った。

 どうにかしなくてはと思ったけれど、

 まさかこんな形でその機会が訪れるとは

 思ってもみなかった。

 


『リアム。わたくしは……』

 

 咄嗟のことに、何か言わなければと

 口を開きはしたけれど、何も言えない。


 その頃にはもう、自分のしてしまった事に

 気づいていて、反省していたから。


 だから俺は、リアムに対して言い訳すら出来なかった。

 

 黙り込んだ俺を見てリアムは、

 これ見よがしに深い溜め息をついた。

 

『フィリシアさま。

 ゾフィアルノ侯爵家は、

 ただの高位貴族ではございません。

 国内外に武を極めた家門として

 その名を馳せております。

 その侯爵家の嫡女ともあろうお方が

 たとえ領地内であろうとも

 護衛をつけないとなると、悪評が立つ

 原因にもなりかねません。

 確かに、この地でお嬢さまを狙う……などという

 不届き者はこの領地内にはおりません。

 しかし万が一、お嬢さまが何者かに襲われた。

 もしくは襲われそうになった。

 ……ただそれだけの噂ですら、

 家名を傷つけるには十分なので──』

『──リアム卿』

 メリサが淡々とした口調で、

 リアムのその言葉を遮った。

 

『──』

 遮られてリアムは口を閉じる。


 そして静かにメリサを見た。

 さっき感じた『圧』が、更に深みを帯びる。


『……っ、』

 俺は息を呑んだ。

 

 それと同時に、本当に俺は

 とんでもないことをしてしまったんだと理解し

 深く反省する。


 もっと考えるべきだった。


 今の俺は平民じゃない。

 前世の日本人でもない。

 れっきとした侯爵令嬢なんだ。

 

 立場をわきまえず、軽はずみな行動や言動は

 時として身を滅ぼす……。


 メリサが口を酸っぱくしながらいつも言っていた。


 そして俺は、いつもその言葉を聞いては

『はいはい』と口だけで返事をしていた。


 その言葉の意味を、俺はこの日初めて理解した。

 


 人にはそれなりの立場と意地がある。

 俺は上の立場の人間として、

 それを言葉1つで無情に打ち砕いた。


 何も知らない子どもの分際で、……それでも

 侯爵令嬢として、口先ひとつで

 護衛隊のプライドを傷つけたんだ。


 リアムはリアムで、隊長として

 それを黙って見過ごすわけにはいかなかった。


 だから俺を(いさ)めた。

 ただそれだけだ。

 だからリアムには非はない。

 メリサもそこは黙って聞くべきだったし、

 メリサなら当然そうするはずだった(・・・・・)

 


 だけどこの時、メリサは反論した。

 

 それがどうしてなのか、

 その当時の俺は分からなかった。


 理解出来なくて、俺はただただ焦った。


 そしてあの時……メリサが俺に教えてくれたあの時

 生返事で返していた自分を恨んだ。

 恨んで、そのことを深く反省した。

 

 だけどもう、どうしようもない。

 口にしてしまった言葉は、

 絶対に戻っては来ないんだから……!

 

 


 メリサは落ち着きを払い、言葉を続ける。

 

『リアムさま。

 お嬢さまに対しその言い分、

 ──……失礼でございましょう?』

 

『……』

 

 言葉は穏やかだったけれど、

 メリサは有り得ないほどに目を釣りあげていて

 俺は息を呑む。

 

 

 

 ──……あぁ、やめて。俺が悪かったから。

 

 

 

『……』 

 俺はそう思ったけれど

 でも、どうすることも出来ない。


 立場上、軽はずみに

 頭を下げるわけにもいかなかった。

 


 考えなしの発言した上に、更に輪をかけて

 頭を下げる?


 それはいくらなんでも許されない。


 メリサだってそれは望まないだろう。

 だから思わず、顔を背けてしまった。

 どうすればいいか分からなくて……。

 

 

 相手は護衛隊隊長リアム。

 ただの護衛騎士じゃない。


 いくつかある護衛隊の中でも

 側近中の側近にあたる。


 父上の覚えもめでたく、その腕も確かだ。

 常に父上の傍に控え、支え守り抜いている。

 そんな存在。


 いくら有能なメリサでも、これじゃあ歯が立たない。

 

 片やメリサには爵位がない。


 元々平民の出に近いメリサと

 相手は伯爵級の貴族だ。


 一介の乳母が言葉を遮っていい存在でもないし、

 口出し出来る相手なんかじゃない。


 たからずっとこのまま

 俺が顔を背けていたらとんでもないことになる。


 俺の乳母として、メリサの地位は

 それなりに認められてはいるけれど、

 怒ったリアムがメリサを手に掛けることもまた、

 許される。


 このまま黙っていても、この場は収まらない。

 下手をすればメリサは、リアムに

 斬られてしまう可能性だって十分にあった。

 

『メリサ……っ、』 

 焦った俺は、2人の間に立った。

 

 そもそも間違ったのはこの俺だ。

 2人がいがみ合う必要なんてない……っ。 

 けれどメリサは、それを拒む。

 

 

『いいえ、フィリシアさま。

 この者の言い分は聞きづてなりません。

 

 ──卿、よろしいか』

 

 

 ギリッと睨んだメリサの目は

 リアムに負けず劣らず氷の刃となる。


『……っ、』

 息を呑んだのはリアムじゃない。

 紛れもなく俺だった。

 

 ……うわぁ、どうしよう。

 なんなのこの絶対零度の世界。

 俺は思わず身震いして後ずさる。

 

『……ええ、構いませんよ。

 一度手合わせ願いたいと思っていたところです』

 

 嬉しそうに目を細め、淡々と言葉を交わすリアム。


 うそ。冗談だろ?

 そこでメリサもまた、にやりと笑う。

 

『ではこうしましょう。勝ち抜き戦です。

 いくらなんでも乳母がいきなり

 隊長をのしてしまっては、

 立つ瀬がありませんでしょう?』

 ホホホとメリサは笑う。

 

 メ、メリサ……やめて(あお)るのは……っ!

 俺は焦ってリアムを見る。

 

 けれどリアムも涼しげに笑った。

 

 

『ええ、構いません。

 乳母殿を傷つけたとあっては

 フィリシアさまも悲しみましょう。

 それでしたら、こちらが出す部下は

 見習いまでとし、更には手加減するよう

 申し伝えておきましょう。

 

 ──あくまで(・・・・)決戦は、私と貴女ですからね』

 

 

『……』

 リアムの語尾は強い。

 

『ええ。では、それで』

 メリサは微笑んだ。

 

 

 

 勝ち抜き戦──?

 

 そもそもこっちはメリサしかいないのに、

 勝ち抜き(・・)戦もへったくれもない。


 だけど平静を装っても、多少は

 頭に血が上っていたリアムは

 そんなことは気づかないみたいだった。

 

 ……いや、もしかしたら

 気づいていた(・・・・・・)かも知れない。


 だけどあの時のリアムも、この勝ち抜き戦には

 異様なほどの乗り気を見せていて

 もう誰にも止められなかった。

 

 

   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


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