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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪魔の契約

作者: ファイ

「一つだけ願いを叶えてやる、その代わりお前の命を奪う」

なんて事を目の前の悪魔と名乗る化け物は俺に話しかけてきた。

俺は自殺願望者だ。自分の命と引き換えに何かを得れるなら安いものだと思う。

だが困ったことに何を得ようかを悩んでいるのだ、とりあえず悪魔には「待て」と言っておいた。それから悪魔は俺にずっと付きまとっている。どうやら周りには悪魔は見えてないらしい。

悪魔は度々「おい、願いはまだか?」と聞いてくるがその度に「もう少し待って」と言っている。

安楽死を頼もうかとも思った、それならば苦しまずに死ねて悪魔も契約出来てwin-winではないかとも思ったが、「ダメだ、違う願いにしろ」と悪魔に言われた。何でもじゃなかったのかよと思ったがまあいい、どうせ願いがかなったら死ぬ事には変わらないしな。

俺は日曜の朝にやっているヒーローの番組を見るのが好きだ。それを見てふと思った。

「なあ、ヒーローになりたいんだが、どうだ?」

「いいぞ、なんなら敵も一緒に出してやろう」

そう言って悪魔は指パッチンをすると、大きな地震が起きた。

外を見ると怪獣やらなんやらがウジャウジャと湧いていた。街はパニックだ。

その様子を見て俺は自信満々に外に出て、悪魔に話しかける

「なあ、変身ってどうやるんだ?」

「お前が変身するって思えば変身できるぞ、好きにしろ」

と言ってきたので、俺はとりあえず好きなテレビのヒーローの変身ポーズをとって「変身!」と叫んでみた。

ピカっと光を浴びたと思ったら、自分は自分のなりたいヒーローに変身していた。

「おー!すげー!マジで変身できるじゃん!」

「いいから、敵倒してこいよ」

俺は「へいへい」と返して怪獣たちに向かって走っていく。

ドカッバキッ!っと一瞬のうちに倒される怪獣達、どんなゲームよりも爽快だった。

すると市民達が俺の方を見て「ありがとう」と次々に言葉をかけてきたのだ。

人に感謝されるのは久々だったので少し戸惑った。

家に帰り、そういえば命を奪われることを思い出す。

「なぁ、悪魔今日は楽しかったぜ、さっさと命奪ったらどうだよ?」

そう聞くと意外な返答を受ける

「まだいい、暫くヒーローとして活躍し続けてみろ」

どうやら暫く俺の命は奪われないようだ。


それから俺は何ヶ月もヒーローとして活躍した。怪獣が襲いかかって来れば全てなぎ倒し、困ってる人がいれば助ける。そんな活動をしていた。するとめーっちゃ美少女の女の子となんだかんだ付き合えることになった。ヒーローになってからいい事づくめで俺の命が奪われるのなんて忘れた頃、悪魔が話しかけてきた。

「さて、そろそろ命を貰おうか」

「えっ、そんなもう少し楽しませてくれよ」

俺は少し焦りながら悪魔に話しかける。今人生で1番楽しい時なのにここで終わらせられるのはあまりに惜しい。だからまだ死にたくないと思った。

「お前、もう死にたくないだろ?だから今まで待った。死にたい人間の命奪っても美味しくないからな」

「ま、待てって!そうだ!お前にも楽しませれるようにしてやるよ!ヒーロー第2号とか、ヒーローの味方のゆるキャラみたいなさ!」

悪魔は冷酷に告げる

「要らない、それはお前の願い。お前が生きたい故の願い。それに言ったはず、叶えられる願いは一つだけだと」

「そんな…!嫌だ!死にたくない!変身!」

俺はヒーローに変身して悪魔に蹴りをあびせる、すると脚が曲がってはいけない方向に曲がってしまった。

「ああああああああ!!!!!」

あまりの痛みに泣き叫ぶ俺

「その力、与えたの、俺。だから俺には効かない」

「やだやだやだやだやだやだやだ死にたくない死にたくない死にたくない!!!」

「うるさい、死ね」

悪魔が開いた右手をギュッと握った瞬間。

グシャッっと音がして1人のヒーローだった男は死体すら残らず消えてなくなった

「クックック、美味しかった。次はどいつの願いを叶えてやろうかな」

そう言って悪魔はヒーローの家から飛び去って消えていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 悪魔。ヒーロー。ダメだ、今の仮面ライダーを連想してしまう。
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