あってはいたが・・・
間違ってはいなかった。ヘルメースが人のところを教えてくれる
そう言ってくれた。そう信じていたかと言われたら半々だった。
疑ったつもりもないが、信用もしなかった。
だからなのか、そこには確かに人がいたし、話している内容も分かる。
ただ、自分たちは町か。もしくは民家とかの可能性しか考えていなかった。
それが大きな誤算だったし失敗だった。だけど、それでも人がいた。
それが大事だ。たとえどんな人だろうと人は人だ。
あいつは約束を守った。どんな形であれ。
「で、どうする?、話すか、話さずに行くか」
ジンからの問いかけだった。確かにどうするか、
このまま別の人達を探しに行ってもいい。だけど、
こんなに深い森の中で果たして人は見つかるか、いな、
見つかるわけがない。そう思った。
「話に行くしかないだろ。こんな森の中じゃ他に人なんていないだろうしな」
「オーケイ、なら、どうやって話に行く?」
「流石にこの格好じゃ怪しいな、荷台に何かしらあるだろうからそれを拝借しよう」
そう言って裏側に沢山ある荷台の一つに入っていった。
全体的に見て、およそ20人から25人くらいの人だかりで出来ている。
陸船の数が全部で6台あり、価値のある宝石や絵画などで埋め尽くされちいるのが
3台、水や酒に1台、食料に1台、リーダが乗る専用が1台で構成されている。
その中の1台に入っていった。主に価値がありそうな物がずらりとあったが、
いまそんなものがあっても対して使うことが出来ない。
とりあえず目当ての服とかはなさそうだった。
「はずれだな、使えそうなものがない」
「ああ、ここにはなにもな・・・」
「い」と言おうとしたと気に、人が入ってきた。数にして2人。
体つきはむしろもやしみたいに細い。だやれなくはない。
とっさの判断で陰に隠れたからばれていないはず。
(どうします?潰してその服をもらうか?)
(今じゃない、例え成功したとしてもそのあとがどうすることもできない。
だから、今回はスルーすることがいいだろ)
そんなことを陰に隠れたエイジとジンはハンドシグナルで会話していた。
そしたら、
「なあ聞いたか、最近この辺に光が落ちたって話」
「聞いた聞いた、なんでも空から一直線に落ちたって話だろ」
「でもそのあとボスが見に行ったら何もなくて帰って来たんだよな」
「でもおかしくないか、話しによれば痕跡も何もなかったんだろ、物騒なことだよな」
そんな会話をしながら入ってきた2人はそのまま確認だけして荷台を降りて行った。
怪奇現象か何かだと思うが、俺たちには何にも影響がないだろう。
「さっきの会話どう思う?」
「どうせ偶然が重なって見えただけだろ、気にすることはない」
それでもジンは納得がいっていないみたいだ、そんなに気になることなのか、と
エイジは思った。
結局、1台目にはこれというものがなく、すぐに隣の2台目に行こうとした。
さっきの2人が入っているのは確認しているので、出てくるのを待った。
だが、出てくるまでに5分くらいかかった。
あの中にはそんなに大切なものがあるのか、行くべきか行かないべきか迷った。
他の荷台には、最低でも1人が寝ていて、空いているのはさっきいった荷台と
目の前の荷台だけだった。
「なあ、あの2人、俺たちの時は20秒くらいだけどあの荷台に5分くらい入って
いなかったか?」
「それは俺も思った、やばいものがあるのかもしれない、行くか、行かないか」
決定権をジンにあげた。何かあった時にそれで力が必要な時はジン任せになって
しまうからだ。
「行こう。俺達にはそれしかないだろ」
「死にたくはないな」
中にとんでもないものがあるかもしれないと覚悟を決めて入っていった。