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初めてのモンスター討伐


 門を通り、第二試験会場に入る。そこは今までとは打って変わった景色をしている。

辺り一帯に広がるのは、大自然である。大きな川が流れ、そこには大小さまざまな魚が泳いでいる。樹木を見れば小鳥が鳴いている。空を見ればどこまでも続く青空が広がっている。


 確かにサバイバルに向いている空間である。安全な水もあれば食料もある。数日間の生活なんて容易に出来てしまう。この作品では初めてなんじゃないかってくらいのビギナーズステージだ。


 一つ難点をあげるとすれば、それは・・・仲間が一人もいないことだ。


 そこが一番の難点で、そこでプラマイゼロになっているんじゃないかと。とりあえず作者は恨む。


 いつまでも同じ場所に突っ伏していると危ないので移動しよう。まずは無難に川沿いに移動するか。


 「にしても・・・でかいな。この試験会場。ここに目隠しで連れてこられても人工的に作られた自然だなんて疑わないぞ。金も人脈も力もある組織はやっぱやることちげーな。俺の家の扉を直すなんて悩みがちっぽけに見えてくる」


 実際すごくちっぽけなのはおいといて、自然を前にすると、どんな人間も気持ちが穏やかになる。

今後の立ち回りとかを色々と考えていたら、大体30分くらい時間が経つ。


 ふと目に入った場所が、休憩ポイントにすごくよかった。見晴らしがよく、辺りに障害物もない空間がある。ひとまずそこを仮拠点にする。


 川の水を口に含み、痺れや気持ち悪さがないか確認する。2,3回口に含み、吐くを繰り返してこの川にはとりあえずの問題が無いことを確認する。


 さらに安全を確認するなら、鍋とかで煮沸をするべきなのだが、あいにくそんな豪華な道具は持っていないので、そのまま口に流し込む。


 飲んでも特に問題は今のところ感じない。普通においしい水だ。申し訳ないが、俺は水道水も市販のミネラルウォーターも同じ味じゃね?と思ってしまう程水にこだわりは無い。


 「今の俺の手元にある物これだけか」


 ふと、そんな独り言を漏らしてしまった。古い年代物のリボルバー、マチェットの2つが俺の持ち物になる。


 上手く使えばこの試験を突破できるのだろうが、不安は大きいな。はは・・・笑えて来るよ。虚しさで。


 カサ・・・カサカサ


 何かが俺の近くで動いている。草木をかき分けて、動いている。そのわずかな音に反応し、俺はマチェットを構え、音の方を向く。


 距離は意外と近い気がする。確証はないが、こん時の人間の感は当てになる。だから慌てない。何が来てもいいように心に仏様を飼いならすんだ。


 少しづつだけど、確実に足音が近づいているのが分かる。何かが来る。こえ~よ。頼むから話の通じる奴で合ってくれ。


 ひょいっこりと顔を出したのは・・・羊だった。


 「何だ、羊か。脅かしやがって。危なく戦闘になるとこだった」

 

 たかが羊にビビるとは、俺も焼きがまわっって・・・


 その時だった。その俺の一瞬の羊を見て安心した瞬間に羊が突進してきた。


 「あああーーーー」


 叫びながら羊の頭突きをもろ横腹に食らった。めちゃくちゃ痛い。考えを改めろ。ここにいるのは俺の知ってる動物でも羊でもない。


 この中にいるのは・・・まぎれもないモンスターだ。


 どうするか。ここでこのヒツジ(モンスター?)と敵対してみて、俺の現状で勝てるかどうかの判断をするか、戦わずして逃げるか。


 やってやるよ。やりゃーいいんだろ。ここで逃げてたらこの試験合格できねえもんな。

一回の攻撃を受けたことにより、アドレナリンが出ている。


 まずは分析しろ。頭をフルに回転させろ。速度はそこまでだ。俺にしてきた突進が本気の60%くらいだと仮定すれば、それほど脅威にはならない。


 なら、遠距離から確実に殺す。


 リボルバーを持ち、弾丸が込められてるのを確認する。


 「落ち着いて、練習通りに」


 言葉にして、自分を落ち着かせる。まるでこの話の最後のページで話す決め台詞なんじゃないかって感じがするけど、まだ始まったばかりなのは心に閉じる。


 パンと、一発放つ。その弾丸は真っすぐとヒツジに向かっていく。

狙いは少しはズレてヒツジの横腹に当たる軌道だ。


 狙いは良かった。軌道も良かった。だが、そこから響いた音は・・・カン。そんな、ヒツジらしからぬ音があたりに響いた。

 

 「おい、まじかよ。何でヒツジから金属音がするんだよ。マジかよ、あいつの装甲金属で出来てんのかよ」


 ヒツジから金属音なんて聞いてないぞ。冒険者になるってのは、こんな未知の生物と戦うのか。

 

 これで、遠距離から攻撃ってことは難しくなった。近距離から攻撃するしかないか。全身が金属で覆われていたら、そもそも動くことは出来ねえだろ。てことは、少なくとも可動域は生身な可能性が高い。


 それに、俺に頭突きをしてきた頭、あれは確実に金属じゃなかった。弱点があるとすればその部分を目掛けて攻撃するしかないのか。


 ・・・今の俺が?無理だろ。戦闘経験って言えば、あのメイドくらいしかないって・・・ああ、そうか。何であのクソメイドがやたらとボッコボコにしてきたのか、今分かった。


 「私より強い相手はこの試験場には存在しません」


 ってか、嫌みったらしくて、最低なメイドだけど、最低限の置き土産だけはしてくれたって事かい。ああありがとうございます。最大限活用させて頂きます。


 くそ、少なくともあの地獄の日々は無駄じゃなかったのが悔しい。


 マチェットを持ち、ヒツジの動きを待つ。相手の攻撃を避けてカウンターを決める。


 体感にして、長いようで短い時間が流れた。見つめあう俺とヒツジ。ここで先に動いた方が負ける。

だから我慢勝負。共にそれを理解しているのか動かない。


 だが、先に痺れを切らしたのはヒツジだった。


 ヒツジが、先ほどまでとは明らかに違う全力の突進をしてきた。

肌で感じる。あれに当たれば骨折は必須。最悪死。それが脳裏によぎった。


 だからこそ、ギリギリまで待つ。限界ギリギリで避けて、最高にキレてるカウンターをお見舞いする。


 まだ・・・まだ・・・まだ・・・いまだ。


 心の中でカウントし、何とか間一髪で避ける。避ける寸前、ヒツジの前腕(関節付近)に良い一撃を入れた。


 明らかに今のは決まった。自分で気持ちいくらいの良い攻撃だった。


「これが、本気の命を賭けた戦いか」


 こんなくさいセリフを吐くくらいには楽しんでいる。相手がヒツジでなければどんなにかっこよく決まっていたか。


 そこからは単純試合だった。一撃目を貰ったヒツジは、それでもあきらめず突進してくる。そこに一撃、また一撃確実に攻撃を当てる。段々とヒツジの突進が遅くなり、しまいにはその場でうっぷしている。


 もう立つ気力をなくしている。そこにいるのは、ただのヒツジだった。


 命乞いをするわけでも無く、満足したような表情を見せるヒツジ。俺は最大の敬意をもって、首を刎ねた。


 「ありがとう」


 首は、驚くほどに切り易かった。さっきまでの金属のような感触は無い。そこにあるのは、一匹のヒツジの死骸だった。


 「お前と戦えたことを、俺は忘れない」


 そして、川辺に移動し、ヒツジの解体を始めた。内臓あたりを解体している時に、輝く宝石を見つける。


 「これが、試験官が言っていた結晶か」


 これが、ヒツジから出てきたってことは、何かしらのモンスターだってことか。

いい勉強になった。


 結晶をポケットにしまい、残りの解体を終わらせた。


 さすがに肉の量が多い。今食べれるものを食べて、あとは乾燥させて保存食にするか。


 とりあえず、日も暮れてきたし、飯にするか。火をおこし、この場所でキャンプ出来るように準備を始める。


 辺りは暗くなり、焚火だけがあたりを照らしている。そろそろヒツジ肉を焼こうかなと立ち上がって準備した時に、また草むらから音が近づいてくる。

 

 カサ・・・カサカサ


 俺は咄嗟にリボルバーに手をかざした。


 草むらから顔を出したのは・・・・

 

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