表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/60

第一試験合否

お久しぶりです。やっと研修が終わり家に帰ってきたので、またぼちぼちやっていきます


 待合室を出て、筆記試験を受けた部屋に戻る。部屋に戻ると俺たちが最後なのか他の人は席に座っている。なんだか気まずいが、取り合えず自分に割り当てられた席に座ることにする。


 待つこと10分くらいだろうか、試験官が部屋に入って来た。試験官は受けた時と同じ人である。


 「それではこれより、冒険者一次試験の合否を発表する」


 その一言で部屋の中に緊張が走る。どんな試験でも、合否の時は誰だって緊張する。そして、この中の全員が俺は受かっているだろうと慢心する。試験とはそういうものだ。


 「では、名前を発表する。アランデル・マイスター、イランイラン・ボイ、ウッド・マーマー・・・・、以上で、名前の発表を終了する」


 当然だが、俺たちの名前は無かった。しかた無かったというば、それで終わってしまうが、何か悔しかった。何でもない試験だけど、落ちれば誰だって悔しい。逆に、名前を呼ばれたものを見ると落ち着いている雰囲気を出しているが、内心は嬉しそうだ。


 この部屋だけで、合格人数は8割くらいある。そんなに受かり易かったか?冒険者試験は、それこそ第一試験の合格率でさえ確か低いはずだ。俺の記憶が確かなら20%くらい。


 ん???、なんかおかしいぞ。


 俺が何か変だと思っている時に、一瞬だけ試験官と目が合った。誰も気づかない、合った俺しか気づかない瞬きくらいの時間。だけど、試験官の目が俺には笑って見えた。


 不気味なくらいに。そして、試験官が口を開いた。


 「今名前の呼ばれたものは・・・・不合格者だ。今直ぐに荷物をまとめてこの部屋から退室願おう」


 一瞬にして部屋の空気が変わる。今まで喜んでいた奴らの表情が曇る。まるで天国から地獄に叩き落されたみたいに。


 それもそうだ。普通の試験なら名前を呼ばれるなんて合格者の発表に決まっている。それが、なんでもありの冒険者試験なら不合格者の名前を呼ぶ。そんなの公開処刑以外のなんでもない。


 この制度を作った奴は相当根が腐ってやがる。泣く泣く名前を呼ばれた人が部屋を退出していく。その足取りは魂を抜かれた人みたいに・・・


 その中の1人にジンがいる。ジンは一度こちらを見たがアイコンタクトで「しくった、メンゴ」そう言ってきた気がした。


 受かってましたみたいな雰囲気の中、フラグ通り落ちるなバカ。俺が受かるしかないじゃないか。

落ちたやつにムカついても仕方ない。ここは切り替える。


 意外な事に、結果発表のやり方に文句を言う奴はいなかった。1人くらいいると思ったが、そんなことをしても無駄だとでも思ったのか、冒険者は無理難題を突きつけられるものだと割り切ったのか。試験を受けた人の教養がある程度はあるものなのかと感心する。


 荒くれ者がなるイメージがあったが、そんなことないんだな。


 時計が5分くらい進んだ時に、続々と人が入ってきた。別の教室の一次試験合格者達がこっちに来た。全員で20人いないくらいの人しかいない。


 試験を受けた人数がざっと150人はいたから、だいぶ落ちた。


 「なんで俺が受かったんだよ?あんな試験問題で」


 疑問が深まるばかりである。


 試験官が入ってきた。今までいた人ではなく、30代くらいの女性の方だ。


 「ここにいる諸君らは、無事に第一試験を合格した。おめでとう。さて、知っていると思うが、これより第二試験についての説明を行う」


 場に緊張が走る。過去問のあった第一試験と違い、何も説明がない、まして試験官に左右される試験なんて対策のしようがない。ここにいる全員が今一度耳を傾けたであろう。


 「質問よろしでしょうか?」


 パッと試験官がしゃべる前に手を上げた青年がいる。見るからに若い。まだ中学生と言われても信じる。それくらい若い。


 「いいだろう。言ってみろ」

 「この第二試験では・・・死人が出ますか?」


 それは、誰もが思ってはいたが口にはしない、しないようにしていたことだった。若さゆえにできた質問かもしれない。


 対する質問を受けた試験官は、表情ひとつ変えずに口を口を開いた。


 「出るか出ないかで言えば・・・出る。当然だ。冒険者になるならそれ相応の覚悟を持たないとならない。だけど、それは最悪の結果だ。()()()試験を受ければ死人は出ない」


 そう、試験官は答えた。


 「まず、自己紹介をしよう。今回の試験の代表を務めるエリナ・サデックだ。晴れて合格した暁には君たちの教育係になる。名前を覚えといて損はないぞ。では概要を説明する。プリントを」


 そう言い、扉近くに立っていた別の人がプリントを配り始めた。


 渡されたプリントに見ると、驚くほど内容が書いて・・・ない。

第二試験の説明と渡されたプリントなのに、日時と場所しか書いていない。


 え?・・・もう試験がっ始まってるってことか?


 疑問が頭をよぎっていたら、試験官がしゃべり始めた。


 「見てもらったら分かる通り、何も書いていないのが分かるはずだ」

 「これは、もう試験が始まっているってことですか?」


 さっき質問した人と違う人が質問した。


 「ふん、いや、そのまんまだ。まだ・・・何も決まっていない。以上だ。集合は6時間後に書いてある場所に来てくれ。では」


 ヒュ~~、って効果音が付きそうなぐらい軽い足取りで部屋を出て行った。


 もう・・・頭が痛い。適当すぎだろ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ