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過去問の内容


 自宅に着いたのは午後3時過ぎになる。家に帰る道中には何もイベントは無かった。


 まだ夜の稽古まで時間があるので、ソファーに腰を掛けながら第一試験の勉強をする。今から頑張ることに、はたして意味があるのかは謎だ。


 実際にどんな問題が出るのか参考書を見ると結構面白い。最初の前半部分は簡単な基礎問題、最後の方の問題が応用問題になっている。満点を取ることは難しいが、0点を取ることも無い。そんな作り手の意思を感じる。


 基礎問題に関しては、全体的に高等学校で習う範囲内だ。実際これを冒険者になって使うかどうかは知らんが問題自体は簡単だ。


 逆に後半部分の応用問題は範囲でいえば大学、とまでは言わないが良い大学を目指す学生が解けるような難しい問題になっている。


 大体テストがどんな感じで出るか理解はした。


 例えば地理の問題だと


 第一問 地層ができる順序は基本的にどうなるか?

 A. 上の地層が古く、下が新しい

 B. 上の地層が新しく、下が古い

 C. どの順番にもなりうる

 D. 火山活動によって逆になることが多い


 第二問 地層が横に連続していると考えられる法則はどれか?

 A. 地層の重なりの法則

 B. 地層の水平堆積の法則

 C. 地層の連続の法則

 D. 地層の傾斜の法則


 この問題の答えはB,Cになるが、こんな事知っていても冒険に役立つのか?

おう、この地層はまさか・・・みたいな展開、実生活で起こらないし、知らなくても生きていける。

難しいと考え過ぎていたか。


 ちゃんと学生時代に勉強していますよね、という確認がメインなのかもしれないな。

だとしたら、落とす問題ではなく、教養があるかどうかの確認がメインのテストなのかな。


 応用問題は逆に、知っていないと解けない問題になっている。4択なので運で当たることもあるかもしれないが、それでも当たりにくい。


 応用問題 第一問 ある地域で、下から順に「礫岩 → 砂岩 → 泥岩 → 石灰岩 → 凝灰岩 → 砂岩 → 泥岩 → 石炭層 → 凝灰岩」が重なっている地層が見つかった。

この地層から読み取れる過去の環境変化として最も適切なのはどれか?


 A. 火山活動の継続と乾燥化の進行

 B. 河川・海洋・火山・湿地・火山という環境の変化

 C. 湖から海への変化とその後の火山活動

 D. 海洋環境が続き、乾燥した環境に変化したことを示す


 応用問題の解答はBになるが知らないと解ける訳がない。

でも、結局これが解けても役立つのかマジでわからん。いつこの知識を使うんだ?


 解けなきゃ冒険者になれないなら、頑張って勉強するしかないか。

冒険者になる理由が壊れた玄関の修理って言うなんのネタにもならん理由なのがネックだ。


 過去問を眺めていたら時刻が6時を回ろうとしていた。

集中していると時間が経つのが早い。


 ジンがソファーで横になっている俺の方に来た。もうそろそろ夜練が始まるから庭に来いとのことだ。

手に持っている過去問を机に置き、腰に装備しているリボルバーに弾が入っているか確認する。


 弾は入っていなかったので装填した。そしてリボルバーを腰にしまう。少し厚手の服なので上から被せれば装備しているかどうか分かりにくい。


 リボルバーの存在を悟らせないことが肝心だ。クラリスに勝つためには。

 

 靴ひもを固く結び、手にマチェットを持って庭に向かった。


 庭には準備していたのかジンがやる気満々だ。朝は酷いやられ方をしたからか、リベンジしたくてウズウズしている。勝機があるってことか。


 そして感じのクラリスは、普段と何にも変わらない。買い物をしている時、食事を作っている時と同じで、仕事モードな雰囲気を感じる。


 「では、夜練を始めます。どちらから先に始めますか?」

 「俺が先にやるぜ。今なら勝てる気がする」


 ジンが先に声を出した。手に買ったばかりの槍を持ち、それをブンブン振り回している。

ジンって槍を使った事あったっけ?

 俺の記憶が確かなら、嗜む程度でそんな自信を持てる技量なんて無かったはずだ。


 「武器は使って構いません。私は使いませんがね」

 「相変わらずムカつくな。その一言必要か?勝てばそれでいいんだよ」


 本来の目的からズレているな。元々試験の訓練からクラリスに1勝するに変わった。

そういう俺も1勝するために全力を尽くすから、人の事は言えないか。


 「では、始めますか。好きに動いてください」


 クラリスが開始の声を掛け、ジンが槍を突き刺した。

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