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必要な物を②武器屋での買い物


 戦いの準備と言ったら武器屋がセオリーか。家から近くといえば近く(歩いて20分くらい)の距離にある。行ったことは無いので、品ぞろえも何も知らない。


 武器屋の目の前に来た。ここにあったのか。思ったよりも大きい店だな。


 カランカラン 扉を開けて店に入った。


 「いらっしゃい」


 店内には店員のおじさんが一人いるだけだ。客は俺しかいない。店員と一対一なのは何かと気まずい感じがする。


 最初に目に入った目の前にあるショーケースを見ることにした。値段が馬鹿みたいに高い武器が並んでいる。

 3つ武器があり、剣と鎌と斧が入っている。なんか見るからに神々しい感じがする。値段がそれぞれ400万、700万、1200万になっている。入る店を完全に間違えたな。帰るべきか。


 なんか店を出るにも気まずさがある。店に客が一人しかいないこの状況は何かやだな。


 ここまで来たんだ。面倒だが仕方ない。聞くか。1万で買える武器は何かあるか。


 定員のいるレジに向かった。見た目は40代の男性だ。鍛冶師なのか筋肉質な鍛えられた体をしている。


 「どうかなさいましたか。値引きはしませんよ」

 「そんなんじゃありません。あんな高い武器なんて買えませんよ、そうじゃなくて予算に合った武器を紹介してもらえないかなと」

 「予算はいくらだい」

 「1万」

 「正気か?う~ん・・・そうか」


 もの凄く悩んでいる。そもそも1万で売れる物が無いのかもしれない。命を預ける武器を探して、それが1万なのは想定外なのかもしれない。

 

 「わかったけど。あんちゃんそもそも武器なんて持てんのか?見るからにそういう経験無いだろ」

 「まあ、武器を使う経験なんて微塵も無い。それがどうした」


 やはり武器屋だけあって人の事をよく見てる。長年の感か?俺が武器を使えないのを見抜いた。


 「だったら、これなんかどうだ。筋肉とか経験なんていらない武器だぞ」


そう言ってレジの裏の棚から出てきたのは小型のリボルバーだった。見るからに古い。手入れはされているが年代物だ。


 「こいつはあんちゃんみたいな武器を扱えなくても、経験が無くても使える武器だ。物自体は古いが手入れはしっかりしている。コルト・ニューハウスって言う代物だ」

 「状態は良いな。シリンダーの容量は5発か。口径は?」

 「基本は38口径か、41口径になる。38口径の方がおすすめだな。値段的にも」


 確かに扱えない剣とかを買うよりもずっと良い。狙ってトリガーを引けば距離が少し離れていても問題ないのが良い。当たるかどうかはこの際捨てる。


 腕がないなら距離を出来るだけ近づいて撃てばいい。そうすれば馬鹿でも当たる。


 でも、なんでこんなに今の俺に合っているものを提供出来る?


 「どうだ、これなら・・・そうだな、7000円くらいでどうだ。予算にも合うだろ」

 「確かにいい。だけどなぜここまでしてくれる。はっきり言えばその優しさが少し怖いぞ」

 「疑問か?別にたいした理由は無い。このリボルバー自体はそもそも売り物じゃない。売ってもよかったが売れない代物だった」

 「売れない代物?」


 売れないってことは、それだけ大切な物だったのか。それを俺に売ろうとしているのか。


 「売れないっていうのは、この店のコンセプトや客層とは違うから売れないってことだ」

 「あ~なるほど、そっちの売れないか」

 「この先ある武器屋を知っているか?」


 この先にある武器屋っていえば、あの量販店みたいな武器屋か。知ってはいるがこういった命を預けるような武器とかを買うなら利用したくは無いと思っている。


 「あっちの武器屋は基本的に工場での生産をメインでしていて、それによって値段が結構安くなる。その反面うちの店は完全な手作りの一級品を取り扱っている。だからどの武器も値段が高い」

 「だから、こういった偶然にも入ってしまった客でも、大切にしようってことか」

 「そういうもんでもないさ。俺は人を見る目はあると自負している。あんたとは今後もいい関係を築いた方がいいって俺の能力が言っている。それが理由だ」


 ここまで話がスムーズに進んだことも、俺の事をなぜか信頼していることも、この店主が持っている能力が関係していたのか。それが何なのかはわからないが、人の事を識別する系なのかもな。


 俺は今の話を聞いても、難しい顔をしている。それを見て店主が更に言葉を続けた。


 「なら、今回のこのリボルバーを安く売るのに条件を付ける。今後最低一人この店に客を紹介してくれ。ここに置いてある武器を買えるような顧客を。それを条件に安く売ろう」

 「わかった。その条件で頼む」


 そして会計を済ませた。手元には3000円しかない。後は残ったこの金をどう使うか。

 

 ベルトホルスターを引き出しから出した。サービスにこれも付けてくれるそうだ。そして弾もつけてくれた。40発程くれた。上手く使えるようになるための練習も兼ねてくれた。


 「何から何まですまないな。今日あったばかりなのに」

 「これも何かの縁だ。大切にしたいと思っただけだ。余り気にするな」


 人の好意は受け取った方が良いのは親からの受けおりだ。大切にしよう。


 「結局、ここで武器を手に入れてそれを何に使うんだ?まあ商売がら深いことは聞かないようにしているから答えなくてもいいぞ」

 「そんな大層な理由じゃないさ。冒険者試験を受けようとしていて、その準備だよ」

 「なるほど。第2試験に向けてってことか」


 店主も納得したのか、それ以上話しかけてこなかった。


 俺は貰ったホルスターを腰に巻いて、リボルバーを中に入れた。余り武器を見せびらかして歩く趣味は無いので上着で上手く隠せるように少し上の位置に付けた。

 

 店主に軽く頭を下げて、武器屋を後にした。

 


 

この話に関しては、大筋は変わらないですが、店主とのやり取りがもっと増える可能性があります。

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