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売った金で買った物


 俺たちが昨日行った店にまた来ることになった。

理由は、俺たちの借金返済のために、部屋から持って来たものを売るため。


 「また、この店に入るのか、なんか入りにくいな」


 昨日の今日で同じ店に入るのはなんか恥ずかしい。


 それでも、俺たちには時間がなかった。恥ずかしさを押し殺して店のドアを開けた。


 カランカラン、扉を開けた時、そんな音がした。


 「いらっしゃい。なんだね、またあんたらかい。じいさんなら下にいるよ」

 「それはどうも、なら下に行きますね」


階段を下りた先に昨日いたじいさんがいた。


 「また来ていただけて光栄です。後これは名刺です」

 

 そう言われて、名刺を受け取った。


 「なんで昨日渡さなかったんですか?」

 「いえいえ、ここに来るお客さんは一回来て来ない客が多くて、渡さないようにしたんですよ」

 「ここが若干不気味だからか」

 

 名刺には、名前が書いてあった。 


 【職業・雑貨屋 名前・ビクトル・ボート】


 「さて、本日はどのような用件で」

 「それなんだが、ジン出してくれ」

 「おう、これなんだが、これって売れるか?」


 布に入れていたものを出した。ビクトルさんがめっちゃ驚いている。


 「()()()また、凄いものを売りに来ましたね」

 「こんなもの買い手なんてるのかねえ」

 「いるんじゃないか、高く買い取ってくれよじいさん」


 ビクトルさんが手持って査定している。時間がかかりそうなのでその辺を見ることにした。


 「暇だな、売った金でなんか買ってくか」

 「買うとしたら奴隷か」

 「欲しいのか、奴隷。買って帰ったらディーアが切れるぞ」

 「でも、ここで買えるもので、便利な物って奴隷くらいだろ」

  

 雑貨屋地下室にある物は、大体危険な物しかなく、おいそれと買った場合捕まるし、

実用的な物なんて無い。精々奴隷を買って、仕事をさせるしかない。 

 

 品に関しては、まあまあ揃っている。多種多様な人種。動物。モンスター。

あのじいさん中々いい腕してる。今後のためにいい関係を作っていきたいとこだな。


 「エイジ、これなんかどうだ、年齢はそこそこあるけど、何より安い」

 「おい、マジで買いたいのかよ。しかもそこそこって見た感じ70歳以上だろこのババア」


 ジンが買いたいと言ったのは、体がボロボロで、死にそうな感じのババアだった。

だけど、値段が5万円。奴隷を買うと考えれば相当安い。


 家事全般を任せるとしたら安いかもしれないが、住む場所もないし、現実的には厳しいな。


 「いいじゃねえか、俺たちがやる家事全部任せることが出来る、しかも5万だぞ。

これは買いだろ」

 「そんなに家事やりたくないのかよ、分かったよ。はぁ、でも問題が2つある」

 「なんだよ、何が問題なんだ」

 「1つ目、今日売った物で借金を返すが、お金が余るかどうか。

お金が余らなかったらそうしようもない。2つ目。こっちの方が問題だ。ディーアが許すかどうかだ。

聖女という立場の人が奴隷を許すとは思えない。あの頑固頭を説得できるかどうか」

 「説得はやってくれるんじゃないの。お願いします、俺じゃできないですよエイジ様~」

 「気持ち悪いんだよ、自分で欲しいんだろ、だったら説得までしてみせろよ」


 実際奴隷を買ったら、返してきなさいとは言わないだろうな。協会で保護するのが一番ありそうだな。それに、それに買わなきゃよかったって後悔するくらい説教するんだろうな。


 後ろからビクトルさんが歩いてきた。


 「ここにおりましたか。査定が終わりました」


 結果が出たそうだ。俺たちが持ってきたものは一体いくらになるのか、ここの金額で

俺たちの運命が決まる。


 「緊張するな、奴隷買えるかな」

 「まだ言うのかよ。諦めろよ」


 ビクトルさんが査定書を出してきた。その金額はなんと


 「「53万」」


 どっかの帝王かよと思ってしまった。


 そんなことよりも、あんなものがこの金額。世の中って俺が考えるよりイージーゲームなのか、

そう勘違いしそうし、汗水たらして働くのが馬鹿らしくなってくる。


 「やべーなおい、これで俺たちみんなハッピーじゃねえか」

 「よかったよかった」


 がははははは、そんな嘘くさい笑い声を2人して出した。

 

 「1つ目は何とかなるぞ」

 「最悪だよ、なんで足りちまうんだよ、これならちょっと少ない方がまだよかったよ」

 「じいさん、このババアの奴隷、3万にしてくれねえか」


 ジンがビクトルさんに交渉し始めた。5万の奴隷を3万で買おうとしている。


 じいさんが一瞬だが、笑った気がした。見間違いだったか?


 「この奴隷を3万で、う~ん、まぁいいでしょう。3万で手を打ちましょう」

 「本当にいいのかよ、3万で」

 「私としても、買い手がずっといなかったので、苦労してたんですよ。なので

この値段なのですが。皆さん不気味がって買わないんですよ」

 「買って帰ろう」


 ジンが勝手に決めやがった。まあこうなっては仕方ない。こっちが折れるしかない。


 「では、連れてきますね」


 ビクトルさんが一旦離れた。


 問題が一個解決して、二つ増えてしまった。住む場所はどうするべきか。

これは最優先の問題だ。


 「はぁ、問題を解決するために来たのに、問題を増やして帰ることになるとは

思ってなかったよ」

 「いいじゃねえか、俺の()()()正しければ面白くなるぞ」

 「当たって無かったら、ただ金を無駄にするだけだぞ」

 「人生は博打だろ、楽しまなくちゃ」


 それから5分くらいしたら、ビクトルさんが帰ってきた。


 「お待たせしました。まずはこちらです」

 

 そう言われ、札束が入った袋を渡された。50万入っていると思われる。


 「ご確認しますか?」

 「いや、いい。このまま持って帰るよ」

 

 じいさんを信頼するという証明になればいいなと考えての発言だ。


 「そしてこちらが、奴隷の首輪のカギになります」

 

 カギを渡された。予備も含めて2つある。


 「そのカギは、この首輪を開けるのに必要になります。予備も含めて2つしかないので

無くさないように気を付けてください」

 「わかりました。気を付けます」


 用事もすべて終わったし、来た道から帰ろうとした。


 「お待ちください。表からでは目立ちます。裏口をお使い下さい」

 

 案内された裏口は、結構大きかった。人間以外も入れるようにするためだろうか。


 出口は、ちょっと離れたところに繋がっていた。


 「では、私はここまでです。今後ともよろしくお願いします。ではまた」

 

 ビクトルさんは案内を終えたとばかりに帰っていった。


 ジンが口を開いた


 「さてここからだ、どうなることやら」

 「さて、始めるかあ」


 そういってババアについている首輪を外した。


 首輪は奴隷を意味する。ならば外した場合、そのものは奴隷では無くなるということ。


 外した次の瞬間、ババアは俺の腹をパンチした。

めっちゃ痛い。とても70には見えない。


 「思った通りだ。このババア強い」


 良いパンチが入ったことで確信した。


 

 

 


 




 


 

 

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