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雑貨屋


 知らない店がそこにはあった。

他の建物と、何ら変わらない建物のはずなのに、どこか心弾む何かがあった。

 

 だからこそ、中に入ってみたくなるものである。

知らない土地で、知らない店に入る。それはなんだかわくわくするものがる。


 カランカランカラン。扉を開ける。


 店に入って、目に入ってきたのは、沢山の雑貨だった。

主に、置物を中心としていて、値段で言えば、あまり高くないものが多い感じがした。

 

 小さい小物から、大きなものまで沢山ある。


 「雑貨屋なのかな、ここは」

 「そうっぽいな、見ていくか?」

 「それもそうだな、ここまで来たんだし」


 そういって、俺とジンは店内を見ることにした。


 店の中には、ばあさんが一人いる。これはすべてばあさんが作っているのか?

謎である。俺たちが入ってから一回も話しかけてくることも、顔を合わせてくることもない。

だけど、確実に目では俺たちを追っている。警戒しているのか?

よくわからないばあさんだな。


 目の前に小さな置物があった。なんとなく手に取ってみたけど、よく出来ている。

大きさは片手に乗るサイズで、石に剣が刺さっているオブジェクトだ。


 これがトイレにあれば面白いんじゃないかなと思う。


 値段も1200円となってお手頃だ。ここまで来たし何かの縁かもしれない。

買おうと思う。


 ジンも何かを手にもって見ている。あれはテントウムシ?に見えなくもない何かの

生き物のおきものだ。買うつもりなのか?


 「ジン、それを買うつもりなのか?」

 「ああ、良くないか、このカブトムシ」

 「テントウムシじゃないのかそれ」

 「そうか?正直何の生き物なのか分からない」

 「やめとけ、値段が高すぎる」


 ジンが買おうとしているのは、なんと4000円もする。

そして、俺たちはレジに向かった。


 「これをいいですか?」

 「1200円になります。袋はそうしますか?」


 ばあさんが初めて喋った。


 「お願いできますか」

 「わかりました、少々お待ちください。」


 そう言われて、レジに1200円置いた。

その時、ばあさんの奥の方に、下に行く階段が見えた。


 店の中では見えず、レジに来て初めて見えた。


 その階段は、普通に見たら何の変哲もない階段だけど、俺たちは理解した。

この店からなる、よくわからないオーラ、俺たちがこの店に引き付けられたオーラの

正体は、この階段の先にある。


 確信はない。これはただの感だ。だけど、時には感だって馬鹿にならない。

ジンも、階段の先に何かがあるのを理解したっぽいな。


 「やはり、あなた方は、そっちの人間でしたか、この先がきになるのでしょう」


 俺たちに背中を向けているばあさんが俺たちに話しかけてきた。

背中を向けていても、見えていたのか。怖いな。


 客をずっと見ていたのは、警戒していたからか。窃盗ではなく、階段のことを守っていたのか。

このばあさん、いま気が付いたが、服の中に短刀を持っている。


 相当に強いかもしれない。ばあさんが戻ってきた。

買った商品が壊れないように梱包してくれたらしい。


 「あなた方が警察の人間ではないというのは、なんとなくですがわかります。

そして、色んな事に理解があることも」

 「何を言ってるんですか」

 「さあ、なんでしょう。階段を下っても構いません。覚悟があるのなら」

 「いこうぜ、エイジ。この先がやっぱり気になる。


 ジンとは同じ考えだった。大体の予想はつくけど、この目で見るのとでは

全然違う。


 「これをどうぞ」

 「ありがとうございます」


 買った物を袋にいれ、俺たちは階段を下りた。


 その先には、じいさんがいた。

身長はあまり高くはなく、上にいたばあさんの夫な感じがする。

丸いサングラスをかけて、髭を生やしている。


 「これはこれは、随分と若いお客が来たもんだね」

 

 ただ、警戒した。この人が何者なのかがわからないし、ここがこの人の

ホームでもあるから。


 「そう、警戒しなさんでも、何もしませんよ、さあさあ、こちらです」


 そういって、更に先に案内された。


 その先にあったのは、ケージだった。沢山のケージがあり、そこには沢山の人がいた。


 ここは奴隷市場だった。


 まあ、大方予想道理だった。だから、そこまで驚くこともなかった。

 

 「これは奴隷かい?」

 「ええ、それはもう、一級品ですぜ旦那」

 「俺たちが奴隷を買えるように見えるかい」

 「今は買えなくても、あなた方は買いにくる。そんな感じがしますね」


 この国では、奴隷の存在はまず認められていない。当たり前かもしれないが、こういった感じで

穴がある。主に誘拐などでは足が付きにくいが、ばれるかもしれないので、この国では、親に売れれたり、貧困でどうしてもお金が必要になって自分を売るなどするのが一般的な奴隷の回収方法になっている。


 奴隷と言っても、一般的な日常が送れるくらいの待遇はもらえる。環境が一気に変わると

自害する可能性が高くなるからである。


 だから、食事などは三食がついてくるし、一般会話も教えられる。

だからこそ、あまりの貧困な家庭だと、自ら来ることがある。


 「驚かれないんですね、ここを見れば大体の人は驚くんですけどね」

 「まあ、予想道理だったからかもしれない」

 「ここを予想出来ること自体が、大したもんですね」


 ここは、入り口が奴隷のスペースなので、奴隷だけが商品だと思ったが、奥に行って分かった。

そんなことはない。奴隷以外にも、武器、珍しい生物など。一般では入手が出来ない物が売られている。


 「裏市場ってとこか」

  

 ジンがじいさんに聞いている。


 「まあ、そういったとこですね、主に顧客が欲しがるものをなんでも仕入れるのが

仕事ですから」

 「用意できないものはないってことか?」

 「ええ、お時間さえいただければ、大抵のものはご用意できます」

 「俺たちが、商品を売ることも出来るのか?」

 「ええ、出来ますとも。ただ、値段はその物の流通や価値などで変わるので、珍しいものや、

一般的に手に入らない物を持ってくるのをおすすめします」


 珍しいものや生き物を持ってくれば、俺たちの借金が返せるかもしれない。

残り限られた期間で返すには、これしかない。


 全部とはいかないが、ある程度の場所を案内された。


 色んな、薬品がある棚や、毒など、一般では手に入らない代物だった。

そして、ぐるっと回って入ってきた入口に戻ってきた。


 「まあ、あなた方が、お金を持っていないのはなんとなくわかります、本日は顔合わせ程度ですが

あなた方と話せてよかったです。またの来店をお待ちしています」

 「「また来ます」」


 そういって階段を上がって店を出た。


 

 

 



 


 


 



 


 



 


 


 

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