図書館
この家に来てから、大体一か月くらいが経過した。
仕事はディーアが顔を聞かせてくれて、何とか飲食店のキッチンにつくことが出来た。
職業経験がほとんどなかった俺たちが、何とかアルバイトという形で仕事に就いたのは、
ディーアの信頼からだった。
飲食店と言っても、居酒屋とかではなく、麺類を専門としているお店だった。
朝、7時くらいに起床して、朝ご飯を食べ、家やその近所などを掃除、週に2回くらいは協会に
行く。そして、10時にバイト先に行き、一日殆ど働き、深夜12時に家に帰る。
休日は、図書館や、家事などをして過ごしている。
これだけ聞くと、まるで自分たちはモブみたいな生活をしている感じが凄い。
主人公かって突っ込みたくなる。
身の周りの物は、ディーアに借金という形で落ち着いた。なんだかんだ色んなものがそろってきて、
生活には困ることが無かった。
休日に図書館に行っているのは、俺たちはこの国について何にも知らなかったから、
知識を広げるためであり、今日は休日なので、ジンとともに図書館にいる。
「モノローグで沢山図書館にきた感が出てるけど、俺たちまだ5回目だぞ」
「いいんだよ、そんなのは、俺たちは勉強をしに来た。それだけで頭が良さそうな感じが出るだろ」
「それで、何の本を読んでんだよ?」
「「家のお掃除隅々までこの本一冊で賄える」」
「どうよ、生かすだろ」
「この国何にも関係ねえ、せめて歴史とか読めよ」
そんな雑談をしていた時、後ろから怒られた。
「ここでは、私語は禁止です」
「「すいません」」
そう答えるしかなかった。
今の自分たちに置けれている事、そう、借金である。
ディーアに対しての借金が2人合わせて50万ある。
これは、建て替えてくれたお金、迷惑料などもろもろ含めたものになっている。
アルバイトの給料が大体10万あるかないかくらいしかない。
一発で返すためには、これしかないって考えで、パチンコに使って、ほぼなくなってしまった、
そして、その期限が今週に迫っている。
一か月お金を稼いでも足りない。それもそのはずである。
なぜ10万しか稼いでないかというと、ディーアの紹介で最初は、月25万稼ぐように
してくれた。だけど、流石に体がきついからシフトを減らしてくれということを言ってたら、
思ったよりも休んでしまった。
そう頑張っても、足りない。そしてあの人怒ったら怖い。だからこそ
何とかして金を稼がないとならない。
「どうすっか」
「ア0ムはどどうかな?」
「それもダメだった。昨日行ったけど、身元が謎すぎて無理って言われた」
「銀行強盗」
「時間がなさすぎる。最低一か月は欲しい」
「釈放された後みたいに、スリは?」
「50万は集まんないだろ」
借金を返さないといけないけど、返すことが出来ない。
「終わったな、どうしようもない」
「楽して金を稼ぐには、図書館になんかそういった本ないかな」
「転売は?」
「元になる物もないし、買う金もない」
そんな話をしてた時、またも後ろから声をかけられた。
「あの、そろそろ閉館のお時間なので、ご退出していただいてもよろしいでしょか?」
「あ、もうそんな時間ですか、わかりました」
「直ぐにどきますね」
そういって図書館から出た。行くとこもないのに。
「もう、そんな時間か、俺たち図書館に大体10時間くらいいたんじゃないのか」
「その間、本当になんもしなかったな」
「これから、どうする?」
「飲む金もない。どっか行く金もない。かと言って帰りたくはない」
「本来は、今日もシフト入ってたから、まだバイトしてると思ってはずだしな」
そのため、今帰ったら怪しまれる。
そんなことを考えながら、いつもと違う道を歩いている。
知らない道を歩くと、意外と時間の経過が速い気がしたからである。
「何にも考えずに歩いていたけど、ここどこだ?」
「ああ、全く知らないとこにいるな、俺たち帰れるのか」
「この年で迷子はなんか恥ずかしすぎるわ」
そんな不安がありながらも、更に歩き、いつの間にか、一目置く、店があった。
外見はどことなく周りの建物に溶け込んでいるが、明らかに何かが違う、そんな
オーラがあった。やばい感じがプンプンである。
そんな店を見つけてしまっては、行ってみたくなるのが人間の心理である。
「行ってみか」
「おう」
そういって、店の中に入ってみる気がした。
前回投稿から四か月もたっていて驚きました。
気長に見てもらえたら嬉しいです。