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金稼ぎ

 

 約2か月地下での労働生活を得て、ついに地上に出ることが出来た。

扉を出た先には・・・何もなかった。


 「何にもないな」

 「ああ、畑、田んぼって言えばいいのかな、まあ、なんもないな」


 誰かしら知り合いとかが向かいに来てくれることは無いとわかっていたけど、

人っこ一人いないとは思っていなかった。

 

 「とりあえず、人がいるところにいこう」

 「了解」


 そして、とりあえず歩き始めた。


 まず、何よりも大切なのはお金である。

今回の労働に対する対価が、2人合わせても5万円行かないくらいしか貰えなかった。

理由は刑務所でもお金が使えたから、娯楽と食い物にほぼほぼ使ってしまった。


 それは、後々何とかするしかないにしても、住む場所だけはどうにかしなくてはならない。

人の家を奪ってもいいが、そんなことをすれば足がつくし、近隣住民にも顔を見られるから

余りいい案ではない。考えても仕方ないな。


 「住む場所をどうして行きたい?」

 「というと?」

 「俺たちの()()はあるにしても、最低限の場所は欲しい、だから一つの場所に

腰を落とすか、点々と住処を変えるか?」

 「最初は一つの場所でいいと思う、そこから拠点を増やしていこう」


 それで行くことにするか。まあ、自分だといろいろ考えて決断が難しかったから、

多分何もか考えずに言ったと思うけど、最初はそれでもいいのかもしれない。


 「分かった、最初はそれで行こう」

 「おうよ、まだまだ先は長いんだから気楽にいこうぜ」

 

 確かにそうだな。そう思った。


 なんだかんだ言って、町が見えてきた。


 「おいおい、どんな町だろうな、なんだかわくわくしてきたぞ」

 「そんなどっかにいそうな主人公のセリフいってんじゃねえよ」


 今までいた場所が言ってしまえば、農業とかを中心にしている感じがして、人がいなかった。

農家は朝が早いっていうから、いないのも納得が出来た。


 そして、この国に来てから初めてまともな人と初対面が出来る。

(盗賊も刑務所関係もみんなまともじゃないからそんなのはノーカンだ)


 人が沢山いた。何やら賑やかで、活気が良かった。

だけど、抱いた感想はいたってシンプルだった。


 「・・・・・・普通だな、何か人間以外を期待してたけど、そんなのいないな」

 「ああ、人がいるだけだ」

 

 見たことない生物とか、悪魔とか、モンスターがいると思っていたけど、

そんなことはなかった。

 

 町の人は、徒歩だったり、船で場所を移動している。

俺たちからすれば普通だ。


 なんかショックだ。


 (この世界では、船を使って移動します。船が宙に浮いていて、車みたいに

移動すると考えてもらって大丈夫です。基本は小型船です。)


 当たり前なことに絶望してても仕方ない。前を向くか。


 「よし、それじゃ金を稼ぎますか。そのあと住みかな」

 「はいよー--」


 とは言っても、俺たちが最初から真面目に金を稼ぐなんてそんなことはない。

この世界で一番簡単な稼ぎ方。スリをする。人の財布をちょっと拝借するだけさ。


 とは言っても、普通にすれば、ばれることもある。昔からこういったことを

ずっとしてたとはいえ、気づかれたりすることだってある。


 だから、より気づかせないためには・・・・


 「ちょっと、あのコンビニでトランプを買ってくる」

 「じゃあ、俺は帽子を買ってくる」


 そういって、コンビニでトランプを買ってきた。その辺に売っている

600円くらいの普通のトランプだ。

 

 ジンも帰ってきた。買ってきたのはハット帽子だ。


 そして、人道理があり、少し空いたスペースがあるところに移動した。


 「さて、始めますか」


 そういって、帽子を裏にして地面に置いた。

そう、俺たちがやろうとしているのは路上パフォーマンス。

内容はトランプでのマジック。


 さてさて、客がいないとどうにもならない。

1人目が肝心だ。


 あそこに一人でいる、10歳くらいの女の子がよさそうだ。


 「よってらっしゃい、みてらっっしゃい。世にも珍しいマジックを

これから始めるよーーー」


 そう大声で言った。


 「そこにいるお嬢ちゃん、見ていかない、そんなに時間は取らせないよ」


 女の子はあたしに言ってんの?みたいな反応をした。

そして、こっちに来た。


 「あの、何をするんですか?

 「マジックさ、さあ始めよう」


 ここから、普通にマジックをする。そして注目を集めて、沢山の客を呼ぶ。

それが俺の役目。


 「まず、ここのトランプから一枚引いてくれるかな」

 

 一枚引いた。トランプは、ババなしの52枚となっている


 「引きました」

 「そのカードを僕に見せないように自分で見て欲しい」

 「わかりました」


 そういってカードを見た。


 (スペードの3だ)


 「覚えたら、それを裏向きこの束の好きなところに戻してくれるかな」

 「じゃあ、この辺に」

 「1~10の中で、好きな数字はあるかい?」

 「7が好きです」


 そう言われて、7回カードをシャッフルした。


 「当然、このカード一番上には、君が選んだカードは無い」

 

 そして、カードの束の一番上をめくった。

そこにあったのは、ハートの8だ。それを確認させてからカードを戻した。


 「でも、カードの近くで一回、指パッチンをすると」


 カードの近くで一回。指パッチンをした。


 「ここには、あなたが選んだカードがあるはずだよ、めくってみな」


 女の子はそんなことはないと思いながら、カードの一番上のカードを

めくった。


 そこにあったのは、スペードの3だった。

 

 「え・・・・なんでなんでなんで!!!!」

 「これが、マジック」


 女の子はたいそう驚いた。何が起きたか分かっていないからだ。


 女の子が大声で驚いたことにより、周りでは何があったんだと、一瞬足を止めたりして、

こちらに興味がわいた人が何人かいた。その中の一人に声をかけた。


 「じゃあ、次はお兄さんに選んでもらおうかな」


 ちょっと興味があったからこそ、直ぐに来てくれた。


 数回、色んなトランプマジックをしてる内に、俺の周りには大勢の見物客がいた。

始まりはたった一人でも、こんなに大勢が集まった。


 そろそろ、ジンの出番だ。


 俺がすることは大勢の客を集めて、その視線や意識を向けさせること。

人間は何かに集中したり、考え込むと近くのことがおろそかになる。


 そうなったところで、ジンが見物客の財布を盗む。

シナリオ道理だ。

 

 手先は器用だからこど、バレルことはない。それをより完璧にした形だ。


 開始から大体30分くらいが立った。もう十分だと目で合図が来たので、引き上げる。


 「本日は沢山の方々に来ていただいて大変うれしく思っております。

ですが、そろそろ時間が来てしまったので、ここらへんで終わりとさせていただきます。

本日はありがとうございました」

 

 沢山の財布をありがとう。人としてクズかもしれないが、これも生きるためだ、

仕方ないこと。


 建物の間で、ジンと合流した。


 「今回もばれなかったな」

 「いあ~~~良かった良かった。でもお前ばれたことないだろ」

 「まあ、そういうなって、人の財布なんて久々だからヒヤヒヤしたぜ」

 

 そこには、約15個くらいの財布があった。


 「結構取ったな、結構な額になるんじゃないか」

 「だといいぜ、なんせ金持ってそうな奴しか選ばなかったからな」

 

 そして、財布の中を拝見した。


・・・・・・    ・・・・・・   ・・・・・・


 「ち、これもしけてやがる」

 「こっちもだ、財布一個に一万も入ってないじゃねえか」

 「どれもこれもだめだ。そこそこの大人の人間が財布に1万も入ってないって

どうなってんだ、この町は」

 「結構高そうな財布を選んだんだけどな、どれもは外れだ」


 トータルで10万行くか行かないかくらいしか収穫が無かった。

 

 「帽子の方はどうなんだ}

 

 こっちの金は、ちゃんとした人からもらった金だ。

 

 「こっちの方は、大体3万ちょっとだ」

 「金額はスッタ方があるけど、そっちは日給3万か、ちゃんとした方が儲かるのかな」

  

 そんなことは時と運によるだろ。財布にもしかしたら10万入れてるやつもいるかもしれない。

  

 「まあ、今回はこの金で住むとこも食事も何とかなるさ」

 「今日は何食べるか、久々に串焼きなんていいじゃないか」

 「そうだな、今日はビールが上手そうだ」


 何食べよう、明日何しよう。そんな話を楽しくしている時に、そいつはやって来た。


 今日という日が終わろうとする時に、絶好調から、一瞬で絶望に変わった。

そこには、俺たちが完璧と言ってもいいくらい誰にも気づかれづに財布を取った

ことに、気づいた奴がたった一人いた。


 「出所して、少しはましになったと思ったけど、やっぱりあんたたちはクズね」


 場が凍った。その場にいたのは、俺たちがどんだけ気配を消しても

見つけてきた、胸なしの小さな聖女だった。




 

 


 

 

世界観的には、現代に近い感じで考えてもれえれば、まあところどころは違っていますが。

この世界は基本的になんでもありなんでw

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