表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/60

1人にバレた

最近はエルデンリングにはまっている。そんな人間です。


看守がやってきた。

 「全員そこに並べ。10秒以内だ!!」


 その一言で乱闘していた奴らが一斉に壁に向かっていき、並んだ。

その言葉を発した人物こそがピック・マークレットなる人物。


 ここの看守長である。この地下施設における絶対的な力、権力を持っている人物である。


 30代くらいの男性で、ピックと名がついているが、お腹はそこまで出ていない。


 「さあ、いまの起きた暴動、乱闘における主犯は誰だ?」

 

 今回の乱闘に係った人が一斉に下を向いた。なぜなら自分ではない。

そう思ったからである。


 「いないなんてことがあるか?そこのお前はどうなんだ、声を出してよいぞ」


 そういって並んでいた丁度真ん中にいる人物に問いかけた。


 「いえ、自分ではありません。自分は巻き込まれただけです」

 「ほう、巻き込まれた、だが、手は出したんだよな」


 そう言って話しかけた受刑者の溝に思いっきりいいパンチが入った。


 「そうか、この中にはいないか。まあよい、もう教会に行かないとならない。そのあとに

話を聞こう。ここにいる奴らの番号をメモしておけ」

 「了解しました、看守長」

 「よし、歩いてよし」

 「「サー-」」


 (嘘をつこうがつかないがそんなものは関係ない。乱闘が起きたその事実がある以上はそう

対処しなくてはならない)


 看守長になるだけあって、しっかりと人のことを見ているし、馬鹿ではない。


 殴り合い、喧嘩、そんなものは些細な出来事で起きてしまう。絶対にするなとはこの仕事をしている以上言わなければならない。だが、殴り合いの喧嘩の方が幾分かましだ。


 もしこれが、精神的な部分で喧嘩が起きていたら、証拠も出にくいし、ケアもしにくいからな。


 (まあ、今日は時間はかかるがあの人に相談しよう。)


 そう思いながら看守長は教会に歩いて行った。


・・・   ・・・   ・・・   ・・・   ・・・


 ジンとエイジが広場の茂みに隠れようとしていた。


 この教会がある場所は、天井が開いていて、外の光が入ってくるだけでなく、教会の周りには

季節に合った色んな花がっ咲いていた。


 花が咲いている先には人が隠れることが出来そうな茂みがあった。


 「とりあえずあの茂みに隠れよう、終わったタイミングでまた合流すればばれることはない」

 「そもそもだ、あそこまで今日が嫌な理由が分からない。なんでだ?」

 「そこなんで、そもそも教会に行ってただ懺悔するだけだ、想像道理なら自分の罪を反省したり、

悩みを打ち明けたりする場だ、だが、あそこまで露骨に嫌がるなら何かがあるはずだ」


 考えられる可能性はいくつかある。例えば、教会では神に感謝を、そして捧げものを、

なんて言い始めて、誰かひとりの命を毎回捧げていたらそりゃ最悪だ。


 協会に行くたびに誰かが死ぬっていうことだからな。


 もしそんなのならば俺たちみたいに逃げる奴だっていてもおかしくない。


 「ここで何時間くらいつぶれるかだな、それ次第で今日の作業の内容が変わる」

 「出来るだけ時間を食ってくれることを願うばかりだ」


 ここに来てから約1週間になる。刑務所なんてそう来るところじゃないが、

俺たちが悪さや問題をしなければ大体1か月程度でここを出ることが出来る。


 俺たちの扱いが犯罪者ではなく、ただの難民扱いなはずだ。


 善良な人間であることが証明できればそれでいい。

そりゃ、ここから先のことを考えなくちゃならないが、まずここがどこなのか、

それ自体が分かっていない。今大切なのは今日を生き抜くこと、それだけだ。


 「まず、今日のことはばれないようにしないと、教会で懺悔をしないことが

どれほどのペナルティーになるか分からないが、そんなものばれなきゃ問題ない」

 「そんなに重くないんじゃね、こんなの。そんなの小学校で朝の朝礼に参加しないのと同じだろ。

あのなげえ校長の話を聞きたくないと同じで、どうせ毎回行くのがだるいだけだろ。」

 「かもしれないな、確かにあれは参加するのが面倒だ・・・・・」


 一瞬で息を飲んだ。このエリアにおいて、人が来ない場所をそれとなく選んでいる。

人が余り来たがらない日陰、それに茂みの奥。足跡で道がないことからここには人が

ここ数週間来ていない。 


 俺たちは足跡が残っているなんてそんな間抜けなこともしていない。だからこそここに来る

メリットが存在しない。


 なのになぜここに人が来た。


 俺たちは会話をしてるとは言え、常に警戒を怠っていなかった。

それは見つかったりばれたりしたら面倒くさくなるからだ。


 自分の部屋でエッチな本や動画を見ている時のごとく、誰かが階段を上がっている

音に敏感なように、上がってきた瞬間には隠して何もしていない状況を作っているように

俺たちは警戒はしていた。

 

 それなのに、ここにいる、すぐそこに謎の人間は俺たちのすぐそこにいる。

階段を上がっていたり二階にいるんじゃなくて、もう俺の扉の前にいるように。

 

 その存在に気付かなかった。


 「それで、今日の作業がどうかしたんですか?お二人さん?」


 ばれている。これは完全にばれている。声がした位置的には2mもない位置にこいつは

いる。


 声からして、こいつは女性だ。なんとなくの感じだが大体10代後半から20代前半。

重要なのはこんな事じゃない。

 

 なぜ、俺たちが2人だとわかったのかだ。確かに、こんなところで独り言を喋っている寂しい奴かも

知れない。会話が少し聞こえて2人とただ、適当に言ったかもしれない。


 違う、こいつはなんていった?

 (今日の作業がどうかしたんですか・・・って言ったんだよな)


 ならおかしい。こいつに気付いた時の会話ではないからだ。

だとしたらこいつは、ずっと近くにいたのではないか?


 俺たちは摘んでいるのか。


 そう思って二人でアイコンタクトをして茂みから出た。




 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ