教会に行くまで
金曜日がやってきた。
この日は朝飯を食べたら、そのまま仕事にはつかずに教会に真っ直ぐと向かった。
協会は、いつもの行動範囲からは少し離れるため、看守と一緒に歩いて向かう。
協会自体は、この地下牢獄に存在するらしく、罪を犯した人の懺悔を聞く、
そして、自分の罪を再確認して更正するのが狙いらしい。
「おいおい、俺たちって行く意味あんのか?」
「ないな、犯罪なんて犯してないし、犯すつもりもないし」
「なら、ここから逃げないか?、逃げれば今日の半分は自由行動が可能になるぜ」
「看守の目が割とあるな、だけどそれはいいかもな」
そうして、移動中、今日は教会に行かないことを決めた。
ただ、具体的な案は何もない。さて、これからどうするか。
まず、看守の数が今回は多い。見える範囲でも、7~8人はいる。
ということはこの先、見えない範囲にはその数倍くらいの人数がいると考えてもいいのかもしれない。
それもそうか、この道にしか犯罪者がいないなら、この道だけを見張ればいいだけだもんな。
そりゃ多くはなるな。
「この道、一本道だよな」
そうジンに言われた。この道は確かそうだった。
「この道は一本道だとは思う。他の抜け道はなく、帰る時もこの道を使うはずだ」
やっぱり、この列からの脱出は無理だと考えた方がいいな。
「俺たちは今、全体で言うと列のどの辺にいるんだ」
そう俺はジンに質問した。
「確か、俺達の位置は前の方だったはずだ。今は見えないが後ろに結構な人数がいるはずだ」
「何か考えついたのか?」
「まだ、確定じゃないが、これからいく教会がどんな所かによるな」
「何をするつも・・・・」
ジンが話したタイミングで、看守が近くなって、話を変えた。
「ホウレンソウってどんな意味があるんですか」
「なんだい、そんなことも知らないのか、放置、連休、早退、の略だよ」
「そうなんですか、いや~勉強になります、流石ですエイジさん」
「それほどでもないさ、ジン君」
「「えへへへへへへ」」
(ホウレンソウは絶対にその意味ではないだろ)
看守がそんなことを考えながら先に行った。
「俺たち、す~げ~馬鹿だと思われただろ」
「あれくらいでちょうどいいんだよ、無理に会話をやめると怪しまれるからな」
「そろそろ見えてくるはずだ」
そう言われて、目的地に着いた。
とても大きな教会だった。そん所そこらの教会よりは大きい。
それもそうだ、これだけの犯罪者を一つの教会に入れるんだから、大きいのは当然かもしれない。
色は、白色をベースにして、青色がところどころに使われている。
そして、それがあるこの場所もすごい。
建物は地下に作られていると思ったが、天井だけは青空が見える。
天井に大きな穴が開いていて、そこから日の光が入ってくる。
そん場所に今俺たちはいる。まあ、あの建物には入るつもりもないんだけど。
「で、結局何をすればいい」
「ああ、簡単だ、殴りあえばいい」
そう俺が言って、ジンの肩に一発いいパンチを決めた。
(いってえな、いきなり何しやがる)
パンチを受けたジンが今度は反撃と、俺の横腹に蹴りを入れてきた。
(うっっ、きついのが来たな)
それを見ていた周りの奴らが集まってきて、俺たちの喧嘩を止めようとした。
その止めようとしてきた人たちを、俺たちは殴った。
殴られた人が、今度は俺たちを殴ろうと拳を振るった。
そしたら、その拳は俺たちとは違う人に当たった。
その結果、受刑者が受刑者を殴るという連鎖が起きて、小さな大乱闘が起きた。
人数にして、20人くらいが殴り合いをしている。
その騒ぎを駆け付けたのか、看守が来たが、人数が足りないと思ったのか、応援を呼んだ。
看守が大勢こっちに来ていて、そこに看守がいない穴が出来た。
そこを2人の受刑者が走っていった。
それが俺とジンだった。




