刑務所の1日
ここでの生活はいたってシンプルだ。どこの刑務所でもあるような生活に近かった。
朝6時起床。大きな笛の音とともに起こされ、すぐさま点呼が始まる。
牢屋内には、2人部屋が基本であり、俺はジンと一緒になっていた。
多分理由は、この前付けられた番号が原因だった。
ただただ、看守が面白がって、シコシコとイクイクは一緒だろみたいな感じで決められた。
そして、点呼が終わったら、直ぐに掃除が始まる。基本掃除は午前、午後に一回ずつ
やることになっている。午前は自分の使っている牢屋、そしてその廊下の掃除が
基本になっている。
6時30分、朝食が始まる。基本的に牢屋の飯なので全くと言っていいほど美味しくない。
ここに来て、最初に食った飯は、ビシソワーズだった。ただ、あれがこの世界に来てからの
初めてのまともな食べ物だったので、周りが引くぐらい泣いた。
普段なら絶対にそんなことはなかった。周りは飯の不味さに泣いたと思っているが、
加工食品のありがたさを知って泣いていたとは誰も思わなかった。
8時、仕事が始まった。仕事と言っても俺たちの担当はただ岩とか土を掘って、
大きな塊や、きれいな石が出てきたらそれを運搬するだけの簡単なお仕事だった。
体だけが疲れていく、この仕事をずっとやり続けるのはつらかった。
1日目の時には、もう限界という名の筋肉痛がひどかった。
やっていけば何とかなれるものかとも思っているが、まだここに来て3日目、
なれるはずもなかった。
「この運搬をいつまでやるんだい、きついってもんじゃないぜ」
「仕方ねえだろ、だけどあっちよりはいいだろ」
そういって俺は指をさした。その方向では、また違う仕事をしている人たちがいた。
それはライン作業だった。
流れてくるものを一つずつ足していき完済させるあれだが、何を作っているのか?
それが分からなかった。
何に使うかも、何のために作っているかも分からない何かを、ただ永遠に作り続ける
だけだった。
「あれは何なんだい?、作っている奴らに聞いても全くわかんねえって言ってやがった」
「意味が分かんね、ここで俺たちが穴掘りする理由も、向こうで作っている何かも、
ここは何だ、楽園はどこに行った。俺たちの物語はいつ始まるんだ、一応この作品の
主人公と、パートナーだぞ、そりゃ登場人物が全く増えないよ。でもさ、それは作者が
名前考えるの苦手だから仕方ないだろ」
「おい、何言ってんだよ、あんた一応主人公だろ」
「愚痴言わないとやっていけるか」
そんなこんなで、休憩、お昼休みが12時からあって、およそ5時くらいに
全体の仕事が終わる。
そこから風呂、夜飯、自由時間があり、10時には就寝が始まる。
ここでの生活は、明日で4日目。曜日にして金曜日だ。
何があるのか、明日は今日とは少しだけ変わる、朝に仕事がなくなり、
教会に行かなけれがならない。そこで、自分たちのやってきた悪事に
関しての懺悔をしなければならない。
ただ、ここでの俺たちの罪っていったい何なのか、まったく分からない。
だから懺悔する必要性もない。
それでも、仕事が半分休めるのはいいことだ。
それなのに、周りの奴らから話を聞くと、この日が来てしまった。
みたいな顔をする奴しかいなかった。
「明日、何があるんだ、仕事が半分休めてやったー、最高、ハッピー、みたいな
日じゃないのか?」
そういったジンの疑問はわかる。けど誰もその何かを喋ろうとはしなかった。
「まあ、常に最悪は想定しておかないとな」
「そういうもんかい」
ここでの最悪はなんだ?刑期がのびる?痔がひどくなる?
まさか、まさかまさか、針の山での懺悔。それは確かに地獄だ。
そんなことするなら仕事の方がいい。
そういうことなのか、分からない。考えれば考えるだけ色んな事が
頭に浮かんでくるせいで、明日が怖くなってきた。
そんなこんなで金曜日が来てしまった。