決断
まず、結論から言うと彼女は助けない。
それは、ジンが予想していたとうりだと思う。
俺たちには、彼女を助ける理由が存在しないからだ。
だからこそ、最後にかけた言葉にも意味がある。
普通なら、「気を付けて」と言われたら、「ありがとう」と返すのが
普通だと思う。それなのに「君もな」と言った。それに、もし俺たちに助ける気があるなら
彼女の名前を一番最初に聞くはずだ。
なので、、最初に見たときから助ける気はなかった。
残酷かもしれない。でもそれも運命だ。
たった1人を助けるために20人を相手にするほどの力は持っていない。
何より大切なのは自分たちの身の安全だ。
俺たちは正義の味方なんてそんなものにはなれないし、
なりたいと思はない。
家族さえ守れれば、それでいい。
これが、エイジとジンの考え方。生き方だ。
だからこそ、次にすべきことをしないとならない。
「アーバンって名前がこの盗賊の親玉らしいな」
「まず服は何とか手に入れたから、怪しまれることはないだろう」
「接触して、まずは町か何か、集落でもいい。人が集まっているところに行きたい」
「了解隊長、異論はないぜ」
そう言って、とりあえず「アーバン」に会うことが決まった。
少し歩いて、火の番をしている数人のところに行ってみた。
「でさ~そん時になんて言ったと思う?」
「お前の脳みそカタツムリより回転速度おせえよ!ってか」
「「わはははは~」」
そんな会話をしていた。一体何の話なのかとても気にはなった。
酒の匂いが凄かった。正直1杯や2杯なんてものじゃないなとさえ思える。
近づいて行った時に、その1人がこっちに気づいた。
「あ~ん、見ねえ顔だな、てめえら」
「最近は入った新人のエイジです、そしてこいつが」
「新人のジンギって言います。先輩に挨拶しておこうと思いまして」
普通なら、例え新人が入ってくるなり情報が入っているはずだ。
だけど、この人たちには現実も幻想も区別がつかない。だからこそ
運がとてつもなく良かったといえる。
「そう~か、新人か、なんか新しく入ってくるみたいな話聞いたような
聞いてないような、どうだったっけな。まあいいや」
「そうですよアーバンさん、今はそんなことどうでもいいじゃないですか」
「今は酒を飲みましょうよ」
そんなことを周りの奴らが言って、直ぐに酒を飲み始めた。
ファーストコンタクトはとったし、このまま退散しようとした時に、
「ほら、お前らもいよ、新人なら沢山話さないとな」
そう、アーバンが言ってきた。この人、割と新人にやさしい
いい人なのかもしれないと思ったが、こいつら盗賊だよな、
盗賊ってもっと野蛮で、人を人と思っていないような集団じゃないの
とも思った。
だが、断る選択肢は俺たちにはない。
座っている1人が確実に腰の剣に手を置いている。
いつでも抜ける体制でいるから、確実に俺たちが断ったらその剣を
抜くつもりだ。
はなから断るつもりもないが、この人たちの機嫌を損ねたら
いつ首が飛ぶか、たまったもんじゃない。
だから考え方を訂正する。こいつらは紛れもなく盗賊だ。
気に入らなかったら殺す、そんな考え方しか持たない
野蛮な連中だ。
「ご一緒させてもらいます」
そう言って、これから言葉に気をつけないいといけない、
一つでも間違えたら首が飛ぶ、死の接待ゲームが始まった。
ジンとアイコンタクトをしながらその席にについた。
ギャグが思っているよりも書かれていないと思いますが、
現実的に物語を始めてみたら、想像以上に進展しないんです。
もうちょっとしたら日常パートになると思います。
(あまり期待はしないでください)