第1話 始まり 2
お待たせしました。
これからはこの時間に出そうと思います。
これが異世界転移ならば、もう元にいた世界に帰ることはできないだろう。
そう考えると仕事を探す他に方法は無いだろう。流石に銃があるとはいえ、異世界ならば冒険者位はあるんじゃないかな?
街の中へ入ると、そこは酷い有様だった。
ホームレスらしき者、親に暴力を振るわれる子供、飢えて食糧を求める者。
俺はこの人達に話しかける勇気がなく、足早にその場を去った。
更に先に進むと、軍の駐屯地の様な場所があった。
銃声が聞こえる。射撃訓練でもしているのだろうか。
まともな職はないのだろうか。
右に進むと、工場のようなものがあった。何を作っているのかは分からない。
その近くに農場もあった。その他にこの街には何も無い。軍か、農場か、工場か。俺には三つしか選択肢が無い。
農場に向かった。死ぬことも無いし、ここは比較的楽だと思ったからだ。
ただ、痩せ細った老人や十歳くらいの子供が一心不乱にクワを振り、耕しているところを見、農場での仕事は諦めた。流石にここで働いて俺が生きていける気がしない。
工場に向かった。働きたいと何度も言ったが、誰も耳を傾けない。それぞれの作業に没頭していた。
工場での労働も、農場での労働も、働かなければ両方命に関わるのだろう、狂気じみていた気がした。
残ったのは軍隊のみだ。見に行き、引き換えせないようなことは無いだろう。一度見に行ってみようか。
軍の駐屯地らしき所につく。警備が厚そうで入る事は難しそうだ。
「身分証を出せ」
「はい」
身分証を手渡す。多分突き返されるんだろうな…。
「15歳か。軍人の試験を受けに来たのか?」
「え、あ、はい」
成り行きではいと言ってしまった。この人顔が怖すぎて俺に有無を言わせないような感じがするんだよ。
「入れ」
まあ入るしか無いよな。軍の駐屯地に入っていく。中は射撃訓練場や演習場、そして寮などがあるみたいだ。
「ここだ」
「失礼します」
通された部屋に入ると、殺意の権化みたいなすごく怖い男性が座っていた。
「入隊希望か?」
「はい」
「銃器を持ったことは?」
「ありません」
「今から適性試験を始めるが、自分にあっている武器などは分かるか?」
「村でクロスボウなら使いましたので狙撃銃なら使えるかもしれません」
「ほう。では狙撃銃の試験を受けてもらおうか」
狙撃銃…。やはりこの世界にもあるのか。実銃を持つのは初めてだが、何故か使える気がする。軍に来たのは正解だったかもしれない。
「ここだ。これが狙撃銃だ。持ってみろ」
重っ。実銃はこんなに重いのか。まあ大丈夫。ゲームの通り撃てばいいだけだ。それにしてもこの銃…何処かで見たような気がする。
思い出した!マクミラン TAC-50だ。この世界の年代が分からなくなってきた。ずっと第一次世界大戦あたりだと思っていたが、衛兵はAKらしきものを持っていたし、この銃は地球なら1980年代に作られているはずだ。
まあ良いか。今はこの試験に集中しよう。
「あの的を狙え。前2つを当てられれば合格だ。1番奥はやっても良いが多分無理だろう」
ほう。1番奥は無理…か。ただ、俺の感覚では手前2つは500,700m、一番遠くでも1200m位だろう。そして的は人間の頭の10倍ほどはある。俺はゲームでは2500mまでは敵に当てられる。現実でも、半分なら行けるだろう。
ダァーーーンッ。カチャッ。カチャッ。
先ずは一発。イージーだな。
ッダァーーーンッ。カチャッ。カチャッ。
やはり当てられる。本来ならここで試験は終了だ。ただ、どうしても奥の的に挑戦してみたい。
「良くやった。合格だ」
「奥の的に挑戦しても宜しいでしょうか」
「ああ、やってみろ」
ッダァーーーーンッ!カチャッ。カチャッ。
「良しッ!」
「見事だ。ちょっと後で会議室まで来てくれないか」
「了解しました」
ここまでは好印象の様だ。狙撃部隊は後方支援だし、過酷なことは無いだろう。これからは軍人として頑張っていこう。