春麗会の招待状
だいぶ期間が空いてしまった上に短めです、次回からは長めにかけるように頑張ります…
「招待状?」
はて招待状が届くような催しがこんな時期にあったかしらと首をかしげる。
控えめな装飾ながらも気品あふれる雰囲気を漂わせる封筒を開けるとそこには春麗会のご案内と書かれていた。春麗会…?なんだそれはとそばに控えるメイドへ目をやる。
「七鳳会のご子息、ご息女方を中心に大手企業の方々まで…。主に春から入学されるお子様方の顔合わせを目的とした会にございます。」
な ん で す と
七鳳会を中心に?大手企業のご子息ご息女を対象とした顔合わせ会??
そんなもの物語の登場人物とエンカウントしまくるに決まっている。というか学園の初等部ほとんど会うんじゃないか?
この物語で登場する学園は二つ、凰蘭学園と桔梗院学園なのだがどちらも所謂金持ち学校である。一部の企業の子供は、大手企業との縁を得たいがために自分の企業と関わりのある大手企業の子供が通う学園にわざわざ通わせたりもするが、七鳳凰まで来るとそんなことはあまり気にしなくてもよいため単に学園が近い方を選ぶことが多い。
ゆえに藤院家だけ凰蘭へ通い、そのほかは桔梗院に通うことが多くなっており、代々その家の子供たちがそうしてきたためこれが常識となりつつある。
凰蘭では藤院家にゴマをすりに行く…というかもはや藤院家が一強なのは明白だとは思うが、その他の七鳳会は桔梗院に進む。
つまり数が多い分チャンスが増える。すなわち何が言いたいかというと桔梗院にくる生徒は凰蘭よりもお近づき目的でくる生徒が多いのだ。
そんな子供たちが大勢揃う会ということは、これすなわち取り巻き審査会では???内定取りにくるのでは???
ギギギ…とぎこちない顔で微笑みながらやんわりとその趣旨を聞く。
「これって…この会でその、学園で過ごすお友達とかに影響したりはしないのかしら…?」
「そうですね。ある程度はするかもしれませんが、あくまで顔合わせですからお嬢様の立場的にはあまり気にする必要はないかと思われます。お相手の方は別かもしれませんが…。」
つまりあっちは割と必死ですよと、そう言いたいんですね。
明らかに面倒だという気持ちが表情に出てしまったのだろう、メイドがすかさずフォローを入れてきた。
「お嬢様は主に七鳳会の方々との顔合わせがメインでよろしいかと!ほかの方々は学園に入ってから親睦を深めても遅くはないですから。」
それもそれで面倒なんだよなあ…思わずため息が出そうになる。
とりあえず私がこの体に入ったことによりあいまいになってきた礼儀作法から叩き直していくことと表情筋づくりが目下の目標となりそうだ。春麗会まではまだいくらか時間がある、それまでには何とかしなければ。
「そういえばあなたって、えっとどっちかしら。」
少し申し訳なさそうに尋ねるとメイドはきょとんとした顔になり、それからふふっと笑って「気にしなくていいんですよお嬢様」と言って名前を答えてくれた。
「私が花那です。できるだけお顔で判別できるようになってくださるとうれしいのですが…それができるのは旦那様と奥様ぐらいしかおりませんからお気になさらないでくださいね。今日は前髪左わけが花那で右分けが加那ですので頑張って見分けてください!」
かわいらしい笑顔を向けながらエールを送る花那。聞くところによると一日ごとに気まぐれで髪形を変えるそうで。
…なるほど、双子を見分けるのも当分の目標となりそうね。
お読みくださりありがとうございました、これから無理のないペースで更新を続けていく予定ですのでよロしければまた覗きに来ていただけると嬉しいです。