気まぐれな時間③
朝早く起きるのは慣れた。
朝の6時半からロードワーク、それを週5。
今日も日課を消化していく。
バンテージをカバンに詰め込み家を出る。
向かう先はもちろんジムだ。
ジムの会長からは、そろそろプロテストを受けないか?と声も掛かった。
キックボクシングのプロテストは筆記と実技がある。
たぶん大丈夫だろうと楽観的に考えている。
早くライセンスが欲しい。
形に残る物が欲しかった。
いままではプロテストなど興味は無かったが、最近になってようやく実感が湧いてきたのだ。
格闘技しかないと。
約3年ジムに通っているし自信もあった。
ジムに着きストレッチをしてバンテージを拳に巻いた。
軽くシャドーボクシング、サンドバッグを叩いていると会長から呼ばれた。
「土居。ミットやるからリングあがれ」
サウスポーに構え、ジャブを繰り出す。
ワンツー、フック、ロー、ミドルと手数は増えていった。
今日はコンビネーションを中心に練習していく。
自分の得意ブローは左ストレートからの返しの右フック。
しかしこれだけではダメだ。
様々な引き出しが必要になる場面が必ず来る。
1発、1発を確認しながら、会長とのミット打ちに熱が入っていった。