マリオネット飛翔
怪奇現象とやらがようやく発生し始めた。
朝のニュースを観ていると、小動物の死体が大量に発見されたみたいだ。
この場所から、差程も遠くない廃ビル付近に様々な種類の動物が変わり果てた姿になって倒れているらしい。
愉快犯の仕業だろうとニュースキャスターは報道していた。
「なぁあんた、これってたぶん例の怪奇現象なんだよな?言わなくても感じるよ。いまのあんたの顔、アホみたいに真面目だからな」
肩に力が入りすぎたと苦笑いして如月は冷蔵庫から牛乳を取り出した。
「九分九厘、間違いないだろうな。死骸の打撲痕や血の散り方、これは叩きつけられるとこんな感じになる。かなり強い力で、だ。さらによく見ると、野良の動物ばかりで鳥類もいる。撃たれた跡や罠の跡がない、血こそ出ているが綺麗な死に方。違和感を覚えないか?」
如月は牛乳をパックのまま飲み干して、タバコを手に取りライターをカチカチ鳴らした。
「動物を何らかの方法で捕まえて絞め殺した後に叩きつけたとか?出来ないことはないだろ?餌で呼び寄せるとか方法はあるんだから」
私なりに意見を述べ、冷蔵庫から牛乳を出して飲み干してやった。
パックのままで。
「まさにそこだな。辺りに餌の形跡は無かった。予め捕まえていた動物を廃ビル付近に運び殺した?答えはノーだ。車のタイヤ跡も無いし面倒すぎる、しかもあの量だしな。結論から言わせてもらう。彼等は自殺したんだよ」
動物が集団自殺だ?
しかし、あの如月が自殺と言い張るなら必ず根拠があるはず。
私は知らずの内に興味を唆られ、前傾姿勢で説明を待っていたのだった。