目覚め②
この世界は私がいた世界とは違う。
パラレルワールドと解釈すればいいらしい。
この長身の女は謎だ。
博士、魔術師、やぶ医者、好きに思えと。
……自分でやぶ医者と言うあたり、お茶目な気質なのか。
魔術師というのも馬鹿らしいが、ふざけているのだろう。
何故、私がココに来たのか。
呼び出された理由としては、私の世界で魂と肉体が別になった者を対象としたらしい。
つまり死人。
生きた人を呼ぶと、その人が元いた世界から居なくなる訳だから納得出来た。
死人は都合がいいらしい。
嗚呼……私は死んだのか。
たしか、ビルから飛び降りた様な記憶がある。
どうして自殺などしたのかは思い出せなかった。
右足が義足なのは飛び降りた時に、使い物にならないくらい潰れてしまっていたから拵えたと言っていた。
この女、なかなか腕は良いみたいだ。
他にも傷付いた部位はあったはずなのに、見事に回復しているからだ。
まあ私の事はいい、要約すると今いる世界では怪奇現象なるものが多発しているという。
それを解決する為に呼ばれたという事。
如月がサポートして、私が現場に向かうと。
お前がやれよと言うと
「私はサポート専門なのだ」
の一点張り。
いまはゆっくり休み、事件に備えた。
その日の夕食はビーフシチューだった。
こいつ私の好物まで把握しているのかと考え、ますます変態だなと心底思うのであった。