目覚め
鳴海 冬子
それが私の名だ。
まったく不思議な事ばかりだ。
いきなり訳の分からない場所にテレポートしたような感じだ。
日本なのは確かだが、本当に意味がわからなかった。
気がつくと建物の中で、周りにはよく分からない機会がたくさんある。
なんだか実験室みたいな、そんな雰囲気を醸し出している。
目の前には白衣を着た長身の女がいる。
とりあえずその女に尋ねる。
この意味不明な現象を。
「やあ、はじめまして。わたしは如月 風香と言う。きみは…フユコか。戸惑っているだろうが、落ち着いてほしい。まぁお茶でもどうぞ」
なんだ、このオバサンは。
下手くそな作り笑いしやがって、お茶なんぞ飲めるか。
怪しい女を見つめ、私は舌打ちをした。
どうでもいいから元いた場所に帰せよ。
「怖い顔で迫るなよ。私、泣くぞ?フユコ、きみには私のパートナーになってもらうんだから仲良くしよう。もちろん、きみの事なら何でも知っているよ。
体にある黒子の数もね」
ニヤニヤと怪しい女は笑った。
……………………は?
パートナーだ?
ほんとに訳が分からない。
私は近くにある椅子に腰掛け、足を組んだ。
何故か足が冷たい、それに違和感。
鉄の様な硬さも感じた。
ロングスカートを捲り、足を見てみる。
一瞬、吐きそうになった。
「どう?その右足。素敵だろう?私が丹精込めて作った義足だ。ん?声も出ないのかい?あ、吐くならバケツあるからそこにしなよ?」
勘弁してくれよ………。
なんで足が義足になってるんだ。
情報が処理しきれなかった。
他の部位を確かめる。
どうやら右足だけが、私ではなかった。
「初めての………転送?召喚?まあなんでもいいか。フユコ、きみで良かったよ。発狂された場合の措置は未使用で済みそうだし」
頭が真っ白とはコレか。
さらに如月風香と名乗るものは話し続けた。
「とりあえず、ほらお茶。冷めないうちに飲みなよ。聞きたいことは山ほどあるでしょ?まずはお口を潤して、喋ってる時に噛まないようにね」
私はティーカップを手渡され、両手で握りしめた。
ひと口、いただく。
そして私は落ち着いた口調でこの不思議な現象について再度、質問するのだった。