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優等生は誰がために  作者: うえりん
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第四十三話 黒歴史

姫宮さん、暴走!


※姫宮さんと風間くんの能力名、とあるサイトで作ったものを、ちょっと変えました。もしかしたら、類似したものを誰かが使っているかもしれません。心当たりがある方、読んでみたいので、作品名を教えてくださると嬉しいです。

「さっきから木我沼くんみたいなしゃべり方になってるわよ? 遠慮しないで。もう思いついたわ」


 ちくしょう! これだから天才は!


「『星海より遣われし新たなる秩序〝完全(シス)論理(テム)〟世界は再構築される!』・・・・・・やっばい。これ最高」


 ・・・・・・痛々しい名前してるだろ? 僕の二つ名なんだぜ、これ。


 ぞっとするほど中二。


「うん。姫宮さん。この話はここまでにしておこう――そうだ! 訊きたいことがあるんだ! 来週は雫の誕生日だよ! 当日予定ないって言っているから、彼女の家に行こうと思うんだ。姫宮さんも一緒にどうかな? プレゼント渡そうよ!」

「あら。それは是非参加させてちょうだい。そのときに彼女の二つ名も考えれば、きっと喜んでくれるわ!」

「待って姫宮さん。ちょっと落ち着いて」


 結局なにかに目覚めた姫宮さんは、まごうことなき中二病患者になってしまった。


 翌週にはマジで手首に包帯を巻き、目には眼帯までつけて来たのだから恐ろしい。しかもそれらについて訊かれると、


「別に。傷は大したことないの。問題はむしろ心の方。私の感情はあのとき死んでしまったの・・・・・・」


 と言って教室を震撼させたという。


 なんという痛々しさ。こんな絵に描いたような中二病、今どきライトノベルの世界でもそうそう見ない。


 彼女の異変はすぐに学年を飛び越え学校中に知れ渡り、休み時間には教室の前に人だかりができていた。


 もっとも当の本人はなにも感じていないらしく、つんとすまし顔で窓の外を見ていた。感情が死んでいるのだ(笑)。


とはいえ、こうも騒ぎが大きくなってしまっては教職員も放ってはおけない。昼休みには生活指導の川村先生がやって来て、彼女を生徒指導室まで連れて行った。


 なぜか僕まで捕まった。


 姫宮さんは生徒指導室でも己のキャラ設定を貫き川村先生を悲しませた。さすがに見るに堪えなくなった僕は、土曜日の件を先生に話した。


 最初は家族との絶縁によって精神に変調を来したのかと顔を青くしていたが、実はまったく関係なくて僕が悪乗りさせた結果だと判明したときには胸倉を掴まれ「貴様ァーッ!」と怒鳴られさらには顔面を殴られてしまった。


 僕も一応武道の黒帯なのだが、あのときの先生には敵わないと思い知らされた。



 とにかく怪我してないなら包帯と眼帯をとれ! 


 そう言われた姫宮さんだったが、そこで凄まじい抵抗を見せた。


 この封印は二つ同時に解いてはいけない。絶対(アイス)零度(キャン)の(ド)()が暴走し、辺り一面が(とき)の流れから隔絶された氷の世界に閉じ込められるらしい。僕は爆笑し、また川村先生に殴られた。


 なんとか包帯と眼帯を取り除いたはいいものの、静まれ我が邪眼と呪われし右腕(?)的なことを言って苦しみだしたので、やむなく彼女は早退させることとなった。


 姫宮さんの家までは川村先生が車で送り、そこからつきっきりで中二病の治療に当たるという。


 正直やり過ぎました反省しています。


 僕はと言えば先生に殴られた顔がかなり腫れたので、包帯と眼帯でぐるぐる巻きになってしまった。おかげで僕まで中二病扱いされる始末だ。僕には完全(シス)論理(テム)なる能力などありはしない。


 姫宮さんは三日間学校を休んだ。


 家庭内の問題によって精神的に不安定になったという噂が流れたが、実は川村先生による懸命の治療によって見事正気に戻り、己の奇行を振り返って布団の中で悶絶していたというのが真相である。


 ともあれ学校に復帰した姫宮さんは学校中の話題をかっさらいクラスの人気者となれたようだ。


 みんな気を遣って話しかけてくれると喜んでいた。それでいいのかと思ったが、もちろん口に出すことはしなかった。


 もうすぐゴールデンウィークである。雫の誕生日は目の前だ。


中二病発症して早退、教師も巻き込んで大騒ぎって、考えただけでゾッとします。

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