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優等生は誰がために  作者: うえりん
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第四十二話 能力

姫宮さん、迷走。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・訳を聞こうか」

「いやほら。私ってば今さっき、家族を捨てたじゃない? 清々したって気持ちがあるのはわかるわよね?」

「うん」

「でもね? ふと思ったのよ。家族を捨てたのに、なにも感じない。私って感情ないのかしら? もしかして私、人間じゃない? 感情のない私カッケー! って。これって中二病患者が言う台詞まんまじゃない」

「・・・・・・かもね」


 僕は必死で笑いを堪えていた。


 確かにその通りだ。想像するとおかしい。


「どうしましょう。このまま暗黒面に落ちたら・・・・・・。そのうち手に包帯巻いたり眼帯つけて学校行っちゃうのよ。でも私は恥ずかしくもなんともないのよ。だって心なんてとっくに死んでて、感情は跡形もなく消え去っているのだから・・・・・・・っていう設定!」

「ぶあっはっは!」

「なに笑ってるのよ。私は真剣なのよ! このままじゃ私・・・・・・痛い子になっちゃう!」


 今でも十分痛々しいよ。超ウケル。


「大丈夫大丈夫。気にすることないって。なにしろほら、君自体が中二病の権化みたいな人だから。今さら誰も気にしないって」

「なによあんた、馬鹿にしてんの?」

「まさか。君ほど中二病患者の妄想を体現したかのような人は、他にいないよ。成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群。おまけにお金を稼いで自立して、とうとう感情とともに家族まで捨て去った孤高の存在。実力が伴った中二病だね。例え君が暗黒面(笑)に落ちたとしても、みなが君を肯定するよ。だから安心して欲しい。むしろ、中二病を発症した方が人気者になれるかもしれない。ちょっとやってみたら?」

「・・・・・・マジで?」

「マジで」

「えー、でもなー。やっぱ恥ずかしいって言うか」


 ちょろいなこの子。


「大丈夫! とりあえず決めポーズと決め台詞。あとは二つ名だね。痛・・・・・・かっこいいのを考えよう。今は氷の姫だから、ルビ振ってフローズン・プリンセスとかどうよ?」

「それじゃまんまじゃない。あなたセンスの欠片もないわね」

「なら、姫宮さんならなんてつける?」

「そうね・・・・・・〝覚醒(リリース)〟なんてどうかしら? 感情を亡くしたことで、真の力を思う存分発揮できるって意味があるわ。今の私にぴったり!」

「ぶっは!」


 ノータイムで二つ名どころか設定まで考えたよこの人。ヤバイ、面白すぎる!


「なによ。そんなにおかしくないでしょう」


 いや、おかしいから。笑い過ぎてお腹痛い。


「いやいやぷくく・・・・・・。さすがは姫宮さんだなって思ぶふっ! 僕ではそんなかっこいい二つ名考えつかないものあっひゃっひゃ!」

「でしょ? でもこれはね。実は二つ名じゃなくて能力名なのよ! どう? 驚いた?」


 出た能力! しかも二つ名考える気満々だ。欲張りだこの子。


「へ、へ~ぐっふ! ふ、ふふふ、二つ名はなんていうんだいひひひひひひ!」

「さっきから変よ風間。いいわ教えてあげる。ズバリ!『久遠より飛来せし新たなる燈火! 絶対(アイス)零度(キャン)の(ド)()。今、人類の新たな歴史が始まる』どうよこれ? マジヤバくない⁉」

「ヤ、ヤ、ヤバイ、マジヤバイ・・・・・・・! レベルが高すぎる・・・・・・!」

「そ、そんなに褒められたって嬉しくないんだからね! ふんだ!・・・・・・よし。ツンデレキャラで決まりね」


 キャラって言っちゃったよこの人! しかもこれ絶対学校で披露しなきゃ収まらないでしょ! 黒歴史確定っしょ! 


 この人天才だ。ずば抜けて優秀な人だと思っていたけど、才能が間違った方向に進むと、こうも面白いのか。


「すごい・・・・・・すごいッスよ姫宮さん。もう無敵っスよ」

「ふふん。そこまで言ってもらえると悪い気はしないわね。特別にあなたの二つ名も考えてあげる」

「いや、自分、ダイジョブッス」


すごい能力とか考えられる人尊敬します。

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