第二十話 プレゼント会議②
ほぼセリフです。
「お、一昨年は電化製品だった。これもなぜか喜ばれなかったけど」
「ふーん。女の子に贈る物としては確かに微妙ね。ちなみになにを送ったの? ヘアアイロンとかドライヤーとか?」
「マッサージ器だよ。肩がこるって言い始めた頃だったから、ちょうどいいかなと思って」
「あら、あんたにしては気を遣えたじゃない。あの子胸大きいものね。でも喜んではくれなかったんだ」
「そうなんだよ。なぜか一度突っ返された。『こんなものいらない!』って」
「なぜかしら。心当たりは?」
「それがさっぱりなんだよ。ちゃんと女性用を送ったはずだから、使えないわけじゃなかっただろうし」
「・・・・・・ん? 女性用? マッサージ器なのに?」
「うん。手のひらにすっぽり入る大きさで、丸くてかわいらしいピンク色をしていた。通販で購入したんだけど、圧倒的な振動数で天にも昇る気分を味わえるとのレビューが――」
シュン!
貫手だ! 目を狙ってきた!
かろうじてかわしたが、前髪が数本宙に舞った。
「うあああああああああんた! なんつーもんを贈ってんのよ! んなもんもらってどーしろってのよ⁉」
「そりゃ使ってもらって、感想なんかを言ってもらえれば本望だけど」
「言えるかアホ!」
「言えるだろう。気持ちよかったとか、くせになりそうとか」
「お前わざとか! わざと言ってんのか⁉」
「だからなにが」
「ああもう、ホントになんてことなの・・・・・・」
「でも最終的に受け取ってくれたから、きっと使ってくれてると思う。月島さんは物を大切にするいい娘さんだからね」
「使うとか言うな・・・・・・ち、ちなみになんだけど、使い心地とか聞いたりした?」
「もしかして興味あるのかい?」
「はあ⁉ ねーし! ちっとも興味なんかねーし!」
「そうか。それは残念。家にもう一つあるから、よければあげようと思ったんだけど」
「え。マジで? じゃなくて、なんであるのよ」
「妹にもプレゼントしようと思って」
「アウト! 倫理的にアウト!」
「けれど、いざ渡したら『乙女には早すぎます・・・・・・』って言って、結局押入れの中に」
「妹ちゃんそのとき小学生よね・・・・・・ダメ兄貴め」
「と、こんな感じで僕のプレゼントは彼女に不評らしいんだ。そこで女の子である姫宮さんに、助言を求めたいというわけなのさ」
「・・・・・・ええ、これ以上聞いていられないくらい不憫だもの。あの子の心の平穏のためにも、私が一肌脱ぐわ。毎年トラウマとともに年を重ねて来たのかと思うと泣きそうになるわ・・・・・・」
「そんなに悪いことしたかなぁ? どれも一応、利便性という点においては、そのときそのときで最適なものを選んだと思うけど」
「・・・・・・風間、よく聞きなさい。女の子は無駄なものをこそ欲する生物なの。アクセサリーとかアロマとかね。それらを自己投資という名目に位置付け、無駄だとは決して考えないのが女の子という生物よ」
「なんてことだ。目から鱗とはこのことだ。しかしなぜ無駄なものを欲しがるんだい?」
「もちろんおしゃれのため。綺麗になるための、自分への投資よ。服然りアクセサリー然り。すべては自分を美しく見せるために必要なものなの」
「なるほど。つまり女の子の第一目標は、自分が綺麗になること」
「大きく外れてはいないでしょうね。感性の違いはあれ、美への追及は女性の永遠のテーマですもの」
「なんだかすごい。感動した。姫宮さんもそうなの?」
「私は元から綺麗でかわいいもの。最低限のおしゃれができればそれでいいわ」
「へー。やっぱり姫宮さんて美人なんだね。薄々そうなんじゃないかなーって、実は思っていたんだ」
「なんで薄々なのよ。そこは一目見て気づいときなさいよ」
「いやほら、僕にとっては妹がナンバーワンでオンリーワンだから。世界一かわいいよ。写メ見る? マジ天使だよ」
「絵に描いたようなシスコンっぷりね。一緒にいさせるのが心配になるくらい。親はなにも言わないわけ?」
「僕の家は両親いないんだ。と言っても、別に死んでいるわけではなくて、別居中ってだけなんだけどね」
「あらそう。余計に心配だわ。児童相談所の番号を教えてあげなくちゃ」
親の話をしても顔色を変えなかったのは、姫宮さんが初めてだ。
彼女のこういうところが、僕は好きだ。
風間くんマジなにしてんの。




