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第6話「妖精の名前」
「私の名前は
フィリン・フラワー・シール」
昨夜別れ際に妖精は
そう教えてくれた
コーヒーの香り
焦げたパンにバターが染みこむ
ミルクを注ぎながら敦子が言う
「あのね内緒なんだけど
パパにだけ教えてあげる
庭にねシールがいるんだよ」
「シール?そうか
ママにも教えてあげないとね」
懐かしそうに微笑んだ
「パパは知ってるの?
いやパパは見たことが無いんだ
ママのお友達だったはずだよ
敦子くらいの時のね」
「フィリン・・・えーっと
フィリン・フラワー・シール!」
「そう、その名前をママから聞いたことがあるよ」
ねえ今度その妖精に会ったらママの話しを・・・
少し聞いてもいいと思う?」
「もちろん たくさん聞いて
パパにも教えておくれ」