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第4話「妖精の様式」
「あなたはだあれ?」
冬の蝶に問いかける
敦子の赤い頬は
花びらの吐息がコートする
「私が見えるの?
私の声が聞こえるの?」
妖精は敦子に応える
「歌で目が覚めて呼ばれている気がしたの
お友達になってきっと良いお友達になれるわ」
敦子はうなずいて
部屋から外へ手を伸ばして
妖精を手のひらに招いた
妖精は遠い過去から一つの魂を
繰り返し灯しながら今を過ごし
ひと時を子供と過ごして
記憶の中に足跡を残していく
妖精は花を咲かせて
季節は繰り返すと教えてくれる
悲観するすることは無いよと
敦子は温かな手で妖精をそっと抱いた
妖精は敦子の頬に光る涙を抱いた