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プロローグ 男

誰もいない

休日の会社の営業部署内。


カチカチとリズムを刻む

時代遅れの時計の針に。


少し耳を傾けながら、

来週のプレゼン資料を

カチャカチャと打ち込んでいく。


デフォルトの

聞きなれた携帯の着信音。


またこの音か…。


ウンザリしながら、

着信先を見ると例のお得意様からだ。


どうせ例の商品の

クレームに決まっている。


営業という仕事も慣れてしまえば、

感情を押し殺して、

謝ることに抵抗はなくなる。


が、やはりこの瞬間だけは、

嫌悪感が湧いてくるのが、

人間というものだ。


ふぅっと息を吐き、

気持ちを切り替えると同時に、

着信に出る。


とりあえず相手の言い分を

すべて聞く振りをしながら、

平謝りに次ぐ平謝り。


午後13時から約15分。


こうした仕事に慣れすぎると、

どこに自分の感情を持って

行けばいいのかたまに分からなくなる。


先ほど入れたばかりのコーヒーは、

言われなくても温度が分かる。


飲む気は当然起きる筈もないし、

もちろん数分前の集中力も、

どこか彼方に失せていた。


とりあえずネットニュースの

最新の記事をサーフしながら。


生き抜きという倦怠時間に突入。


会ったことも見たこともない、

くだらない芸能ネタに、

反応し慣れている自分に嫌気が刺す。


大物女優とアーティストの結婚。


自分とはまるで

かけ離れたドラマチックな

世界の話に祝う気持ちも

当然冷めている。


結婚、か。


社会人8年目、

今置かれている現実は、

思い描いていた理想とは、

まるで方向性が異なっている。


女性を好きになる暇と

余裕さえ今の自分には想像が出来ない。


恋って、そもそもなんだっけ。


異性に好意を抱く仕方すらも、

答えが今の僕には分からない。


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