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 第三話 二人の闘い

「第二話 二人の闘い」

 ゼロは、二人の闘いを終わった後に、自室に何とか帰って、ベッドにすぐさま寝ていた。

 「シャドウか・・・」

 シャドウの、魔騎士をやめるやつには負けないという言葉が、レッドの脳裏に引っかかっていた。

 「俺は魔騎士をやめるために戦っている。確かに、そんな奴に、一生懸命魔騎士をやっている奴が負けたくないのは普通か・・・」

 いつもどうり、魔騎士をやめるべきなのか、そうでないのか悩むレッド。

 そして、ある魔騎士のことを思い出した。

 「カリバーさん」

 カリバーというコードネームの魔騎士は、レッドの師であり、父親を見捨てて殺した魔騎士でもあった。

 レッドは、カリバーをしたっていた。だから、その分父親を見捨てたという事実が、レッドを悩ます。

 「なんで、カリバーさんが親父を裏切った?なんで・・・俺は、どうすればいいんだよ」

 自室で悩みもがくレッド。

 カリバーは敵だ。だが、カリバーは魔騎士を今やっていない。それに、何所にいるかも不明だ。死んだとか死んでないとか。 

 「復習もできない。復習できたら、すっきりするはずなのに」

 再び悩むレッド。

 そんな悩むレッドの前に、ある魔騎士がやってきた。

 「み、ミスト」

 そこにいたのは、コードネーム ミストという男だった。

 「よ、レッド。悩んでるんじゃないかな?と思って」

 ミストの能力は霧を操れる事。そして、なぜか人の感情も少しなら分かる。

 「俺、本当に魔騎士をやめるべきなのか、分からないんだ。人を守ることは素晴らしい事だ。だけど・・・」

 「ま、そう悩むなって。それと、一つだけ言うけど、レッドに魔騎士をやめてほしい槇氏は、誰もいない。それだけだ」

 そう言って、霧になって消えたと思ったら、再び現れた。

 「あ、もう一つ。ゼロって魔騎士は、誰かのために戦っている。じゃあな」

 ミストは、今度は本当にレッドの自室から消えて行った。

 「何だよ、あいつ」

 でも、レッドは正直うれしかった。

 ミストは嘘をつかない男だ。

 そのミストが、自分の事をやめてほしい人間がいないと言ったのだ。レッドは、悩んでいたので、アクアやブラストなどの魔騎士が、自分の事をどう思っていることなど気にしていなかった。だから、余計嬉しくて、少し照れる。

 「ゼロが誰かのために戦っている?」

 なぜミストがそんな事を言ったのかはわからないし、ゼロが誰をなぜ守っているのかは分からなかった。

 「そういや、俺は誰のために戦ってるんだっけ」

 そんな疑問の中、レッドは熟睡した。

      *

 「レッド!」

 突然だった。熟睡しているレッドが、何者かによって叩き起こされた。

 「ん?アクア?」

 なぜか消したはずの電気は付けており、急に光を浴びたせいで、目がくらんで、それがアクアのかは、確信ではなかった。

 「そう、アクアよ。指令が来たわよ。イブリ―スを超える、イフリートが十年ぶりに出たって。それで、私とレッドが火山に向かえって。

 「まじかよ。今何時だ?」

 レッドは時計を見ると、まだ夕方の六時だった。レッドは、疲れていたので、もう夜な感じがしていた。

 「大丈夫?イフリートとイブリ―スは似ているから、イブリ―スを倒したことあるのは東京でレッドだけで、水の能力を持つ私が選ばれたらしいの。リードしてよね」

 「イフリートだったら、皆で行けばいいんじゃねえか」

 「皆、バトルで疲れているの。それに、レッドの邪魔になるだけでしょ」

 「俺も疲れてるって・・・」

 そう言いかけて、ベッドからレッドは立ち上がると、妙に体が軽くて、痛みや疲れが吹き飛んでいた。

 「アクア、回復してくれたのか?」

 水の能力を持つアクアは、回復する事もできる。

 「うん。早く行くよ」

 そう言って、レッドをひっぱって、アクアは火山に向かった。

 火山に着いた二人は、来る途中に使ったバイクを、火山のマグマがない陸地に置き、火山を上って行った。

 「なあ、アクア。熱くねえか?」

 火山の温度は、六十を超えていた。会うな状態だ。それに、鎧も来ているので、暑さで焦げそうな気分のレッド。

 「赤いくせに」

 「赤いのは関係ないだろ。赤が、炎って誰が決めたんだよ」

 「はいはい」

 アクアは涼しい顔で言った。水の中でも冷たい冷水を操るアクアは、体内の水分を冷水に変えて、暑さをしのいでいた。

 「いいよな」

 それを、羨ましそうに見るレッド。

 そんな二人のもとに、火山の流れだすマグマから突然現れた、マグマを身にまとった小型のモンスターが、何体も現れた。

 指令は、大型のモンスターが観測されたときにしか起こらない。なので、指令にないモンスターがいてもおかしくはない。

 だが、おかしいのは、その量だった。モンスターの数は、ざっと三十体と言ったところだろう。

 そのモンスターは、すぐさま二人をかこった。

 「行くぞ!」

 「分かったわよ」

 二人は背中を合わせ、モンスターに向かっていった。

 「おおおお」

 中に高く飛んだレッドは、モンスターの一隊に、炎の剣で相性が悪いアグルを叩きつけた。

 だが、その威力はやはり強く、相性が悪くても、一撃で粉砕した。

 「何?」

 レッドが突然驚いた。

 それは、そのモンスターが闇に包まれて、消えて行ったからだ。

 「おい、アクア。こいつら、ダークの手下みたいだ」

 「そうみたいね」 

 アクアも気づいたようだ。

 そして、数分後。

 あの大量にいたモンスターが、死体もなく消えていた。

 「やったわね、レッド」

 アクアは、自身の武器の、ポセイドンと呼ばれる、水属性最強の槍を背中に収めた。

 「やっぱり、お前のポセイドンはすげえな」

 ポセイドンで、モンスターの三分の二は倒した。やはり、神の名がついてあるだけあると感心するレッド。

 「レッドもすごいわよ。炎で、炎を倒しちゃうんだから」

 「そんなことあるか?」

 少し嬉しがるレッド。

 「嘘」

 「な!」

 「ふふ」

 戦闘の終わった二人は、そんな話をしていると、それは突然やってきた。

 「ドスン」トいう鈍い音とともに、人間型の五メートルを超える竜魔人 イフリートが姿を、火山の天辺から飛び降りてきたのだ。

 「な、これがイフリート」

 見た目は、レッドが何体も倒してきたイブリ―スに似ていたが、その威圧感と大きさははるかに勝っていたのが感じられる、二人の闘争本能。

 「行くわよ、レッド」

 「おお」

 二人は、再び武器を抜くと、最初に動き出したのは、炎の塊と言っていいイフリートの弱点の、水を操れるアクアが動いた。

 ポセイドンを持っていない、左手をイフリートの左足に向けると、そこから大量の水流が流れ出し、イフリートの左足にかかった。

 二人とも、ダメージを与えたと思っていたが、なんと、アクアの冷水が、イフリートに触れた瞬間、蒸発したのだ。

 「何度あんだよ」

 イブリ―スの体温は、これほどではなった。やはり、十年に一度しか現れないといわれているイフリートの強さは、伝説級の中でも別格のようだ。

 「私は、できるだけ冷たい水にするから、その間、イフリートの気を引いて」

 「分かった」

 レッドは、アクアの作戦に従うと、アクアから離れて、できるだけイフリートの四つもある目玉に、自分をおわせた。

 「グオオオオオ」

 噴火したような雄叫びをあげたイフリートは、目だけではなく、体ごとレッドに振り向いた。

 「来やがれ」

 イフリートは、右のマグマの鉄拳を、挑発しているレッドに叩きつけた。

 「くそ」

 レッドは、左に全力でジャンプして避けた。だが、レッドはそれで恐怖感を覚えた。

 イフリートの鉄拳が、当たった地面が、マグマのように溶けるように煮えたぎって行ったのだ。

 「まじかよ。あんなの食らったら、マルコ下だろ」

 「はあああああ」

 レッドがビビっていると、イフリートの後ろから、強烈な水が放たれた。

 「グオオオオオ」

 極限まで冷えたアクアの冷水は、さすがのイフリートの体温よりまさり、元々水が苦手なので、かなりのダメージを与えた。

 そんな、イフリートに初ダメージを与えた時だった。

 なんと、再びマグマから、大量のモンスターが飛び出してきたのだ。

 「何?」

 「ヤバいわね」

 そう、二人が小型のモンスターに目をやっていると、イフリートが、レッドに向かって、再び鉄拳をかました。

 「うわ」

 レッドは、その攻撃に気付き、イフリートに目をやったが、もう遅かった。イフリートの鉄拳、レッドに襲いかかった。

 「レッド」

 吹っ飛ばされたレッドを目で追うアクア。

 「間一髪」

 吹っ飛ばされ、地面に倒れたレッドの左手には、かなり分厚いが真っ黒焦げになっている盾があった。

 レッドは、イフリートの鉄拳が襲いかかる前に、赤い盾を出したのだ。

 「良かった」

 アクアが安心した時に、それを狙ったかのように、小型のモンスターたちが、アクアに押しかかった。

 「きゃ」

 思わずポセイドンで自分を守り、目をつぶった。

 「ガルウウ」

 その瞬間、あちらこちらでモンスターの泣き叫ぶ声が聞こえた。

 「誰?」

 目を開けたアクアの前には、一人の魔騎士の背中があった。

 「・・・」

 そして、悲鳴を上げ倒れたモンスターたちは、闇に帰って行った。

 「ぜ、ゼロ?」

 その人物がアクアの方を振り向くと、その人物が分かった。 

 その人物は、無口な魔騎士の、アクアに勝ったゼロだった。

 「・・・」

 ゼロは、アクアをじっと見ると、そのあとにレッドがいる方を見た。

 アクアもつられて見る。

 そこには、イフリートに再び襲われているレッドの姿だった。

 「レッド!」

 アクアはレッドを助けようとした。だが、アクアも女性だ。さっきの恐怖で、足が自分の意志では動かなかった。

 「・・・」

 それを見たゼロは、俊足でレッドに駆け寄り、愛刀の零式で、イフリートの左足を、食べ物を切るかのように切り裂いた。

 そして、イフリートの体から左足が離れると、イフリートは体制を崩した。

 「・・・」

 そのすきに、ゼロは身軽に軽やかに中に飛ぶと、イフリートに右肩に乗り、右肩を今度は切り離した。

 「グオオオオオ」

 あまりの痛みに、叫ぶイフリート。

 「あの刀、イフリートの体温を食らっても、変化しない」

 レッドが言った通り、零式は普通にモンスターを切っているかのように、何も変化していない。零式は、封印刀と呼ばれる刀で、モンスターの能力を低下させる事が出来るのだ。

 「・・・」

 そして、仕上げにと、イフリートの頭をはねた。

 ゼロは、倒れるイフリートからジャンプし、再びレッドの前に現れた。

 「お前、何者だ?」

 「・・・」

 レッドの質問に答えようとしないゼロ。

 そしてそのまま、ゼロは帰ってしまった。

 「なんで、助けに来てくれたんだろう?」

 普通、指令が来た者しか、大型のモンスターが現れる所には行かない。だが、ゼロは指令もなかったのに、二人のもとやってきたのだ。

 「俺が、弟に似てるらしい」

 ゼロが言っていたことを思い出したレッド。

 「でも、それだけで、そんな仲良くない魔騎士を助ける?」

 「さあな・・・俺には分からない」

 そして、二人は、ゼロに借りができた。

       *

 二日後。

 予選Aブロックの、決勝戦当日になった。

 バトルドームにすでについいているレッドは、毎度同じの控室のベンチに座っていた。

 「ゼロか・・・」

 二日前の事をふと思い出したレッド。

 そして、ミストの言葉も思い出した。

 ゼロは、誰かのために戦ってるということ。それが、レッドには引っかかっていた。

 「トントン」

 試合当日だというのに、他のことで悩んでいるレッドの控室が、叩かれた。

 「スタンバイお願いします」

 そう、スタッフがドア越しでいい、スタッフは帰って行った。

 「考えても仕方ない。行くか」

 毎度同じく、レッドは買ってい置いたトロピカを飲み、バトルドームに来るたびに座っているソファーに向かった。

 「誰だろうな」

 だが、そんな事を言って、ソファーに座るレッドだったが、おおよそ検討していた。

 「それでは、予選Aブロック決勝戦。選手の発表をしたいと思います。最初の選手は、この前イフリートを倒した、レッドー」

 ゼロはすぐ帰ってしまったので、二日前のイフリートを倒したのは、レッドになっている。

 レッドは否定したが、皆謙遜だと思い、信じなかった。

 そして、レッドはソファーから立ち上がり、闘技場に姿を出す。

 「対する相手は、無名な魔騎士、コードネーム ゼロ」

 そう、レッドの相手は、自分を助けてくれたゼロだった。

 ゼロも闘技場に姿を現す。

 レッドはゼロだってことが分かっていた。アクアとは同じAブロックってことは知っていたので、そのアクアを倒したゼロはAブロックということだ。そして、あの強さはだれにも負けないと思っていな他ので、決勝戦の相手はゼロだと分かっていた。

 だが、改めてゼロと対面していると、緊張してくるレッド。

 「なあ、ゼロ。なんで、お前は俺を助けてくれた?お前は何を守ってる?」

 「・・・」

 答えないレッドは、答えない代わりに、両目と右手の人差し指を、MCに向けた。 

 「わ、私ですか?」

 「・・・」

 黙ってうなずく。

 「わ、分かりました」 

 そう言って、MCはスタッフから手渡された、資料をあわてて読み始めた。

[えーゼロ選手の願いは、弟さんを目覚めさせることです。ゼロ選手の父は、借金を残して家を出て行き、母は借金が返せなくて自殺。妹さんも後を追うように事故で亡くなり、ただ一人の家族の弟も、病気で植物状態。弟さんはどんな」儀実を使っても目覚めないそうで、なんとか借金返済をしたゼロ選手がいくら出そうと弟さんは直りません。ある日、弟さんが入院している病院が襲われ、弟さんはさらに深手を負い、ゼロ選手は魔騎士は何尾立ってるんだと思い、自分で弟を守るといって、魔騎士になったそうです」

長い分を読み上げたMC。それと同時に、会場も多少ざわつく。

 「そうだったのか・・・」

 そのとき、レッドは思った。自分は何おやっているんだと。

 ゼロは弟のために戦っている。だけど、俺は自分のために戦っている。

 そう思ったとき、自分が子供のころ人助けをやりたいと思っていたことを。俺は、非とぉ助けるといすばらしいことを、やめようとしてた。

 そして、レッドは人を助ける魔騎士を続けると。

 そう決意したレッドの目は、少年のように輝いており、悩みとともに緊張もほぐれた。

 「ありがとう。ゼロ」

 「?」

 レッドの心の中で思っている事が分からないゼロは、不思議そうな顔をする。

 「それでは、バトルスタート」

資料をスタッフに渡したMCがそういうと、ざわついていた観客の声が、歓声へと変わったとき、最初に動いたのは、血だらけの戦士レッドだった。

 だが、そのレッドが抜いたのはアグルではなかった。

 レッドが抜いたのは、神炎という刀だった。なぜ刀に変えたのかというと、ゼロが刀だということは知っていたので、ならばそれより短いアグルより、刀のほうがいいんじゃないかと思い、イフリートの素材をすべて使い、炎属性が入った神炎を作ったのだ。

 神炎を右手で抜いたレッドは、まだ零式をぬいてないゼロに向かって、刀の刃をを右にして、走っていった。

 神炎の刃が、ゼロの左わき腹に襲い掛かっていく。

 だが、ゼロはピクリとも動かない。

 そして、神炎の刃がゼロにあたるとき、見えない速さでゼロは零式を抜き、零式の刃を左に持っていき、神炎の煮えたぎ刃を防ぐと、あまりにも強い神炎の火力によって、二人の間に爆破が起きた。

 「ぐ」

 すぐさまレッドは両手で防いだが、その威力はイフリートの炎と同じ火力なので、その爆風も大きく、レッドは後ろに吹っ飛ばされた。

 だが、煙が消えて現れたのは、無傷で零式を構えているゼロだった。

 「すげえ」

 ゼロは爆発が起きることが最初から分かっていたのか、刃と刃がぶつかった瞬間、後ろにバックステップしたのだ。それを分かったレッドは、敵ながらあっぱれと感心した。

 「ちょっと、火力が強かったな」

 神炎の炎は、その火力を触れているものの意思で変えられる。なのでレッドは、火力を最大から中火にした。

 そして、レッドは再び神炎をゼロに向かって振るった。

 ゼロも再び零式でガードした。さっきと違ったのは、神炎かあら炎は巻き起こったが、マッチ程度のものだった。

 零式から神炎を離したレッドは、左から今度は振るい、ゼロに防がれると、流れるように神炎を右に移動し、右から神炎を振るう。

 「・・・」

 だが、それもゼロは平然とした顔で防ぎ、今度はゼロが零式を振るう。

 「く」

 ぎりぎり神炎で防ぐと、その炎で小爆発を起こし、その爆風に乗って後ろに下がった。

 「さすがだな、ゼロ」

 体制を立て直したレッドは、自分の前に赤いレンガをいくつも出し、寿命が短い赤い階段を出し、そのふらつく階段をすばやく上り、すべて上ったときに、階段をけると、怪談は崩流れ星のような速さで、ゼロに向かって急降下した。

 「はあああああ」

 急行している中で、神炎を振りかぶり。ゼロに振るう。

 だが、その急降下して重圧がかかった斬撃を、いとも簡単に零式で防ぎ、レッドを弾き飛ばした。

 「う」

 弾き飛ばされたレッドは、地面に足を突き、地面に足が少しめり込みながら、後ろに下がっていく。

 「・・・」

 やっとゼロは自分で動き、零式を構えて、鎧が薄いせいか、レッドよりはやい速さで、レッドに向かっていった。

 「おおおおおおお」

 レッドも自分にはしてくるゼロに向かって、神炎を右横から振るう。

 「・・・」

 だが、ゼロはそれを軽く中に飛んでよけて、なんと刃に乗り、刃を走っていきレッドの顔を、踏んで、後ろに回った。

 そして、背を向けているレッドに斬撃を繰り出した。

 反応できなかったレッドは、背中に零式の斬撃を食らい、前に切り飛ばされた。

 「ぐ」

 鎧の上からでも、直に斬られたような痛みが走った。

 前のめりに倒れたレッド。

 攻撃のチャンスなのに、さっきの場所から一歩も動かない。

 「正正堂堂てか」

 刀を杖のように使い立ち上がったレッドは、

無表情なゼロのほうを向く。

 「赤色ブレイクだ」

 壁から壁へと高速で移るレッド。

 ゼロはそれを体でも目でも追わず、正面をずっと見つめていた。

 「はあああああ」

 闘技場の天井から、正面を向いているゼロに、襲い掛かる。

 だが、ゼロはレッドが上から神炎を構えて、自分に襲い掛かってくるのは分かっているのに、まだ正面を向いている。

 「もらった!」

 そう、レッドは確信し、神炎をたたきつけ、ゼロが消えた。

 「やった」

 そう思った。

 だが、まだゼロの威圧感が残っていた。

 「何?」

 レッドはふと、横を向くと、そこには零式を構えているゼロの姿があった。

 「・・・」 

 さっきレッドが斬ったのは、ゼロのものすごいスピードによって起こった、残像だった。

 そして、ゼロは無言のまま、レッドの襲い掛かる」

 「ぐわあああ」

 零式の刃が、レッドの鎧ではなく肌に切りつけられた。

 ゼロは、その技術によって、上半身の鎧と、下半身の鎧の間に、刃を滑らせて、レッドの肌に切りつけたのだ。

 だが、レッドは体ができている。一回の斬撃では、死ぬ攻撃にはならないようだ。

 それでも、腹からは赤い血がどろどろと流れ、まさに血だらけの戦士になった。

 「・・・」

 ゼロは、そんなレッドでも容赦なく、斬りつける。斬りつけたり斬りつけなかったりと、不思議なゼロ。

 放たれた斬撃は、レッドの東部に襲い掛かる。

 だが、ワイルドタイムに早い段階で入ったレッドは、その攻撃を難なくよけた。

 「おおおおおおお」

 ゼロと距離を置いたレッドは、ワイルドタイム状態で、神炎の火力を最大にして、力を増幅させた。

 「・・・」

 だが、それを見ても逃げようとも攻撃しようともしないゼロ。

 「おおおおおおおお」

 モンスターのような雄たけびを上げたレッドは、ゼロに向かって一直線に向かってきた。

 たち構えているゼロに、右横から燃え盛る神炎が襲い掛かるが、それを体制を低くしてさらにしゃがんでよけたゼロは、零式を再び傷口に叩き込もうとした。

 だが、その瞬間。二人の間に混沌の闇の渦が現れ、二人をお互い反対側に吹っ飛ばした。

 「ぐ」

 「・・・」

 二人は壁に体を打った。

 「あ、あんたは」

 そして、小さかった闇の渦は巨大になり、そこから一人の騎士が現れた。

 そこに現れたのは、コードネーム カリバー。レッドの父を見捨てた男だ。


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