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 第二話 それが闘い

第二話 これが闘い

 

 「俺の願い・・・」

 そんな事を、思いだしながら考えているレッド。だが、まだ迷いがあった。本当に優勝して、魔騎士をやめるのかと。

 「考えても仕方ないか」

 開き直ったレッドは、テーブルのトロピカを再び持つと、一気飲みをした。

 「そう言えば、次はもう準々決勝か」

 予選Aブロックの出場者は、全部で十六人。シードがいないので、一回戦闘に勝利すれば、準々決勝になっている。

 次レッドが戦うのは、今戦っているフェンリルかオラシオンのどちらかだ。

 この大会の面白いところは、相手が分からない事。戦闘上にお互いが入らない限り、相手が知らされていない。なので、事前に作戦なども立てられない。だが、一流の魔騎士であれば、作戦などなくても、十分に戦えるものだ。

 「そうだ。鍛冶屋いくか」

 レッドは、この大会が武具変更可能な事を知っているので、モンスターの素材はたまっていたが、なかなかアグルを強化してなかったので、ナイトキャッスルにある鍛冶屋に向かった。

 会場をでたレッドは、愛用の巨大バイクに乗り、スピード違反ギリギリで走って行った。

 さっき素材といったが、モンスターには二種類存在する。

 それは、死体が残るか残らないかである。基本的には、死体は残るのだが、グロルなどの一部のモンスターは、死体になると闇に包まれて無くなってしまう。

 この、闇に包まれるモンスターは、亜騎士の頂点、コードネーム ダークが作った者だと言われている。

 だが、レッドは闇に包まれるモンスターにあまり会わないので、関係ない事だった。

 なので、素材も死体が残るモンスターの物だ。

 アグルの素材は、鉄鉱石なのどの鉱物はほとんど使わず、鉱物に匹敵するほどの堅い鎧の持ち主のイブリ―スと呼ばれるモンスターの、鱗などを主に使われている。

 イブリ―スは、伝説級のモンスターだが、実力のあるレッドが倒すには、そう難しい事ではない。

 「ん?」

 バイクのバックミラーを見たレッドの目に映ったのは、狼型のモンスターの大軍だった。

 「なんで、街に?」

 モンスターは、街以外の草原や山などのバトルフィールドに存在する。自分たちを殺す人間の近くに、わざわざ行くモンスターはほとんどいない。何度か、巨大なモンスターが人間が暮らしている所に侵入した事はるが、大勢の力で全て防いでいた。

 「ガルルルル」

 歩道にいる人や、車に乗っている人などは、そのモンスターに気付き、叫び声をあげ逃げていく。

 だが、モンスターは真っ直ぐ、バイクに乗っているレッドに向かってきていた。

 「何なんだ?」

 レッドはバイクのアクセルを切り、スピード違反でもかまわないから、百キロほど出した。

 だが、モンスターたちもスピードあげてきて、今にも追いつかれそうだった。

 「だったら」

 マックススピードまで出したレッドは、少し切り離すと、グルッと反回転して、襲いかかってくるモンスターの方を、バイクの正面にした。

 「ガルルル」

 「行くぜ!」

 バイクを左手で片手運転し、右手で鞘にしまってあるアグルを抜き、モンスターたちに走って行った。

 モンスターたちも、向かってくるレッドに襲いかかって行った。

 そして、レッドはアグルで全てのモンスターにアグルを切りつけた。まさに神業。

 「グルルルウ」

 モンスターたちは、悲鳴のように泣き叫び、闇に帰って行った。

 「闇?ダークのか。だが、なぜ俺を狙う?分からないな」

 さっきのモンスターたちは、亜騎士 ダークが作り出したものだった。だが、レッドを狙った理由は不明だ。

 レッドは、取りあえず再びバイクを回転し、ナイトキャッスルに向かっていった。

      *

 「よ、隼人」

 ナイトキャッスルに着いたレッドは、すぐさま自室に戻り、素材が入っている宝箱のようなものを思っていき、鍛冶屋を営んでいる、従弟の大門字 隼人のもとにいった。

 ここは日本なので、魔騎士以外の人は、十通の日本の名前だ。

 鍛冶屋は、ナイトキャッスルの一回の右はじにあり、一つの家ほどの起き差で、鉄と硫黄のにおいがする。暑さも、鍛冶職人かここにきてなれている魔騎士でないと、耐えられないだろう。

 「今日はなんだ?レッド」

 「アグルを強化してほしい」

 そう言って、先ほど使ったアグルをさやから取り出し、レッドと隼人の間にある鉄のカウンターに置いた。 

 「分かった。炎属性も加えるか?」

 武器は、ある段階まで強化されると、モンスターなどが使う攻撃の、属性というものを取り付けられる。強化したものや、上物じゃないばあい、属性に耐えられず壊れてしまう。

 「ああ。これ、好きに使ってくれ」

 そう言って、巨大な箱をアグルの隣に置いた。

 「ああ。できるだけ強化していいんだな?金は高くつくぞ」

 「金ならある」

 「時間は?」

 隼人は、レッドが大会に出ている事を知っているので、次の試合までに出来上がらせないといけないと思い、聞いた。

 「いや、確か今日は思う試合はない。明日までにできれば十分だ」

 「オッケー。じゃあ、やっとく」

 そう言って、隼人は箱とアグルを同時に持つと、鍛冶屋の煙の中に消えて行った。

 「よし、買い物でもするか」

 レッドは、アグルと素材を預け、市場に出かけた。

 「何買うか。まずはトロピカだな」

 トロピカが三度の飯より好きなレッドは、腹が減っているよ言うのに、フルーツジュース専門店に向かった。

 「おっちゃん。トロピカ、一つくれ」

 フルーツジュース専門店の屋台の店の前に来たレッドは、メニューを一切見ないで、トロピカを頼んだ。

 「あいよ」

 そう言って、屋台の主人がいい、すぐさま作ってくれた。

 「いくら?」

 「百二十円」

 「あるかな」

 よりについている小さなポーチを探り、財布を出して、小銭袋を覗き込んだ。

 「あった」

 そう言って、レッドは小銭を取り出して、カウンターに出そうとした時だった。

 「グルルルル」

 なんと、何所からともなくモンスターの雄叫びが聞こえた。

 「何だ?」

 レッドはすぐさま、声の方を向くと、さっきのモンスターと同じ、狼型のモンスターだが、三メートルほどのモンスターが、市場のど真ん中に存在した。

 「きゃあああ」

 そんな声とともに、すぐさま市場の人たちは、裏の道に逃げて行った。

 「おっちゃん。おいとくぞ」

 レッドは、カウンターにお金を置き、トロピカを受け取ると、武器を持たないまま、モンスターに向かっていった。

 「狙いは俺だろ」

 「グルルルル」

 向かってくるレッドに気付いたモンスターは、巨大な二つの前足で地面を蹴り、レッドに飛びかかってきた。

 「く!」

 レッドは、モンスターが飛びかかってくると、サッカー選手のような見事なスライディングをして、モンスターの腹の下を通り、後に回った。

 「こっちだ」

 スライディングの体制から、起き上がったレッドは、モンスターとは逆方向に逃げて行った。

 「ガッルルルウルル」

 巨大な雄叫びをあげたモンスターは、逃げるレッドに走って行った。

 「はあ、はあ」

 レッドが、いくら足が速いかと言って、鎧を着ているので、スピードと体力が落ちて行った。

 「グルルルウ」

 距離が十メートルになると、モンスターは再び走ったまま飛びかかってきた。

 「くそ」

 左にレッドは急カーブし、裏路地に入って行った。

 「皆、もっと逃げろ」

 モンスターが通れない細い道をレッドが走っていると、逃げ惑う人々が見えたので、非難を呼び掛ける。

 レッドは裏路地を抜けると、隣の市場に入り、そこにはモンスターが待ち構えていた。

 「ち」

 舌打ちをしたレッドは、モンスターが待ち構えてない方に逃げていく。

 モンスターも、全力で襲いかかってくる。

 「あった」

 走っているレッドが見つけたのは、ナイトキャッスルの駐車場に置いてある、バイクだった。

 それに急いで乗ると、鍵を入れ、トロピカを持っているので片手で運転して、すぐさま駐車場から出て、モンスターから再び逃げて行った

 「これで、おしまいだ」

 マックススピードで走っているレッドは、後から追いかけているモンスターの方を、反回転して向いた。

 そして、さっきのモンスターの大軍に突っ込んだように、巨大なモンスターに走って行った。

 モンスターも勢いをつけ、レッドに走って行った。

 「そりゃあああ」

 バイクに乗っている途中で、バイクから落ち、バイクはクラッシュしながらモンスターに滑って行き、モンスターにぶつかると爆発し、モンスターもろとも焼き尽くした。

 そして、炎が巻き上がる中、それを包むように闇が現れ、炎が消えたと思ったら、モンスターの死体も消えていた。

 「ダークか。なぜ、ダークが?もしかして、何かをたくらんでいる?これは序章に過ぎないのか?」

 レッドは亜騎士 ダークのことを悩みながらも、手に持っているトロピカをのんだ。

       *

 

 隼人が今日中に強化してくれたアグルを受け取り、金を払い、ナイトキャッスルの自室に戻って行った。

 自室は五畳ほどの部屋で、ベッドと鎧や道具、あとはテーブルぐらいしかない。

 「はあああ」

 鎧を脱ぎ、壁に立てかけ、私服に着替えたレッドはベッドに座り、トロピカを再び飲んだ。

 そして、中央の机にトロピカが入ったプラスチックの言えものを起き、ベッドに寝転がった。

 「疲れた。それにしても、あの闇のモンスター何なんだ?やはり、言い伝え通り、亜騎士のダークなのか?ああ」

 考えるほど分からなくなっていくレッドは、黒い髪の毛をかき、ぼさぼさにした。

 そんな時だった。「トントン」と、レッドの自室のドアが叩かれた。

 「はーい」

 ベッドから起き上がったレッドは、ドアの小さな穴を覗き込んだ。

 「ゼロ?」

 そこにいたのは、無口で何を考えているか分からない、コードネーム ゼロだった。

 「入っていいよ」

 レッドは、ゼロがなぜ来たのは分からないが、取りあえず中に入れた。

 ゼロはレッドの部屋に入ると、テーブルの横に正座をして座った。

 「なあ、ゼロ。何しに来たんだ?俺たち、喋った事あんまないし、友達でもないだろ?だから、気になって・・・」

 レッドとゼロは、仲がいいどころか、衝突することもあった。

 「・・・」

 質問に答えないゼロは、その場から立ち上がり、壁にかけてあるカレンダーに向かった。

 「ん?」

 カレンダーの前にいったゼロは、無言である所を指差した。

 「一か月前?」

 そう、ゼロが指差したのは、ちょうど一か月前の所だった。

 「・・・」

 ゼロはカレンダーから、レッドの方を向き、黙って頷いた。

 「ああ。俺が、ワイルドタイムに入って、確かお前が助けてくれたんなったよな。そうだ、お礼がまだだったな」

 「・・・」

 再び頷いたゼロは、次に食べるしぐさと、金を現すマークを手で表した。

 「つまり、おごれと」

 「・・・」

 ゼロは、またもや無言で頷いた。ゼロは、助けたから何かお礼をくれと思い、ちょうど腹が減った時にレッドの部屋を発見したので、寄ったのだ。

 そして、レッドも腹が減ったので、昼を食べに、ナイトキャッスルの食堂に向かった。

 レッドは、食堂のど真ん中の席に座り、ゼロもその反対側に座った。

 「何食べる?」

 「・・・」

 ゼロは、テーブルに置いてあるメニューを手に取り、うどんの写真の所を指差した。

 「うどんか。分かった。勝手くる」

 そう言って、レッドはカウンターの方に向かっていった。

 今はちょうど昼なので、人が多いかと思われるが、そうでもなかった。コスモバトルを見に、バトルアリーナ付近で食事を済ます魔騎士が多いので、ほとんど貸し切り状態だった。

 そして、レッドが二人分の食事を一人で持っていき、ゼロは届くとすぐさま橋を割り、吸い込むように食べた。

 「腹、減ってたんだな」

 そう言ったレッドが頼んだのは、真っ赤で見るからに辛そうなカレーだった。

 ゼロはそのカレーを、目にはしたものの、あまり気になっていない様子。

 「ゼロ。このカレーは、俺専用のカレー、レッドスペシャルだ」

 レッドはスプーンをとると、カレーを食べ始めた。

 「ふん」

 その、ネーミングのなさに、鼻で笑ったゼロ。

 「何だよ。でも、笑うは笑うんだな」

 笑うといっても、鼻笑いだが、笑っているには違いないので、意外と思い、ずっとゼロの顔を見ながらカレーを食べている。

 それには、ゼロは気にも留めず、うどんを次々と食べ始めた。

 「なあ、ゼロ。なんで、俺を助けてくれたんだ?」

 ゼロとは話す機会がほとんどないので、今聞いておこうと、ずっと気になっていたことを、聞くレッド。

 「弟に、似てるから・・・」

 そう、小さく呟くゼロ。

 「やっと、喋ったな。そうか、弟がいるんだ。じゃあ、弟に感謝しないとな」

 「?」

 「だって、弟に似てなかったら、お前は俺を助けなかったんだろ。だったら、俺に似ている弟に感謝だろ」

 ニッコリ笑って見せるレッド。

 「・・・」

 またもやレッドを無視して、うどんを食べ続ける。

 「何だよ。喋ったかと思ったら、また無視して。それで、弟は元気なのか?」

 そう、レッドが軽く質問すると、ゼロは立ち上がった。

 「・・・」

 そして、うどんを一気に食べると、食堂を出て行ってしまった。 

 「おい。なんだよ、あいつ。もしかして、弟の具合でも悪いのか?」

 そんな事を思いながら、激辛のカレーを再び食べ始めた。

 レッドは、カレーを食べ終わると、出で言ってしまったゼロの分までかたづけ、自室に戻って行った。

 「ん?」

 ナイトキャッスルの廊下を、食べ終わったレッドが歩いていると、前からアクアが歩いてきた。

 「お、アクア」

 「あ、レッド」

 なぜか、アクアの表情は暗かった。

 「どうしたんだ?元気なさそうだけど」

 「う、うん。私、負けちゃった。願いはないけど、いざ負けてしまうと、何か元気が出なくて・・・」

 「アクアが、負けた?」

 レッドは、アクアが女性で一番強いと思っている。男性の中でも、かなり強い方だ。その、アクアが簡単に負けるはずはない。そう思ったレッドは、「冗談だろ」と、詳しく聞いた。

 「お前の、対戦相手って、誰だ?」

 「ゼロ・・・」

 「ゼロ?」

 大声をあげてしまったレッド。ゼロが強いのは、ワイルドタイムの自分を倒したことで分かっていた。だが、それが本当か分からなかったので、まだ半信半疑だった。だが、相棒のアクアを倒したということで、ゼロの強さが分かった。

 だが、レッドがゼロのことで知っているのは、一か月しか魔騎士をやっていなく、特別な訓練も受けていないことだった。

 「うん。一瞬だった。一瞬で、控室に転送されて」

 アクアは、明らかに顔色が悪かった。

 アクアは、願い事はないと言っていたが、相棒のレッドにはアクアの本当の願いが分かっていた。

 恋をする事だ。 

 アクア、十四歳で子どもを出産した。

 その相手は、半年間ぐらいまでは育ててくれたが、父親が飽きたと言って、アクアと赤ちゃんを置いて出て行き、そのあとアクアは、一人の男性とあったが、その人は結婚詐欺市で、金もとられた。

 そのあと、三度目の正直と、一人の男性と付き合った。その男性は、赤ちゃんもちゃんと見てくれて、経済力もあった。

 だが、ある日赤ちゃんとともに事故に巻き込まれ、亡くなった。

 それからアクアは、恋をやめることにした。

 そして、幼馴染のレッド魔騎士をやらないかと言って、今は戦闘が恋人になっている。レッドは、自分の仕事を減らすためにアクアを誘ったのだが、そのおかげで今のアクアがある。

 だが、アクアは二十歳だ。恋もしたくなる。だから、優勝して、本当の恋をするつもりだったのだろう。

 「アクア」

 「き、気にしないで、私が弱かったの、ゼロは強かったは」

 「そうか。ゼロ・・・あいつはいったい何者だ?」

 そんな疑問の中、一日が立った。

 そして、コスモバトル二日目。今回レッドは、勝ち進めば二回戦うことになっている。

 「よし、行くか」

 鎧を着て、強化されて炎属性が入ったアグルを腰に収め、バイクで会場に向かった。

 「対戦相手は、誰だ?」

 レッドは少し、対戦相手が誰なのか知らされていないので、気になりながらバイクを運転していた。

 「よし、勝つぞ。俺の願いのために・・・」

 バトルドームに着いたレッドは、バイクから下りると右手拳を握りしめ、心に言い着させ、控室に向かった。

 控室は、昨日と同じ場所だったので、迷わず行けた。

 「アグル」

 控室に入ったレッドは、腰に収めてある、隼人の手によって強化されたアグルを、部屋の電気にかざすと、アグルは電気を受けて、赤い輝きを放った。

 「勝つ!」

 レッドは準々決勝の時間になったので、アグルを鞘に戻し、万全の態勢で、通路のソファーに向かった。

 「それでは、コスモバトル二日目の、最初のカードは、血だらけの戦士と恐れられる魔騎士 コードネーム レッド!」

 MCが昨日のように声を張り上げると、歓声が巻き上がり、レッドは戦闘場に足を踏み入れる。

 「行くぞ!」

 レッドは、気合いを入れるために、右手の握りこぶしを天井に向けると、歓声が強まる。レッドは、勝つと前もって宣言してるのも同然の行為をした。

 「その対戦相手は、閃光の使者 気高きオラシオン!」

 歓声の中姿を現したのはフェンリルに勝ち、マントをなびかせながら登場する、オラシオンだった。

 「フェンリルに勝ったんだな」

 「ああ。俺は、エクスカリバーを手に入れる。悪いが、お前の願いはかなわない」

 「それはどうかな」

 プライドの高いオラシオンを挑発するレッド。だが、オラシオンはビクともしない。

 「それでは、バトル開始」

 「行くぜ!」

 最初に動き出したのはレッドだった。レッドは、燃え盛るアグルを勢いよく抜き、余裕の表情を浮かべているオラシオンに、音速の速さで走っていき、燃え盛る斬撃を放った。

 「ふん」

 オラシオンは中高く飛び、レッドの斬撃を軽くよけた。その時に、青いマントがなびき、一瞬レッドはそっちに注意を向いてしまった。

 「行くぞ」

 静かに言ったオラシオンは、鉱物をふんだんに使った、黄色と白のレイピアを抜くと、自分のマントを見ているレッドに向かって、強く素早い突きを放った。

 「く!」

 それを、兜ギリギリで避けたレッド。兜にも少しかすったので、兜をしていなかった場合、かすり傷を負うだろう。

 そして、レッドは鋭い突きを避けると、勢いよく後にジャンプし、後の壁に空中で足をつき、勢いよく蹴っ飛ばし、突き避けられ地面に足をついているオラシオンに向かって、アグルを振りかぶりながら飛びかかった。

 「ふん。甘い」

 レッドは、オラシオンに近づくと、再び斬撃を放ったが、オラシオンは斜めに飛んで避けると、素早く天井を向いているレッドの背中の上に移動し、レイピアを刺した。

 「ぐッ!」

 鎧のおかげで、突き刺さりはしなかったが、突きの勢いでレッドは腹から地面に叩きつけられた。

 オラシオンは、レッドの背中を蹴ってジャンプすると、少し距離をとった。

 オラシオンの能力は、聖なる光。聖なる光により、身体能力など体の能力が、ワイルドタイムと匹敵するほどに活性化する。聖なる光事態で、攻撃することも可能だ。

 「まだまだ」

 立ち上がったレッドは、アグルを構え、オラシオンに走って行く。

 「懲りない奴だ」

 オラシオンも、レイピアをフェンシングのように構え、向かってくるレッドに何度も連続で突きを放った。

 だが、レッドは正確に確実にその突きを走りながら避けると、オラシオンの腹に、アグルを叩きこんだ。

 「何!」

 さすがにオラシオンはよけれず、燃え盛る斬撃は、オラシオンの腹にクリンヒットして、炎が巻き上がった。

 「すげえな」

 その炎の量に、自分でも驚くレッド。

 「ぐう」

 オラシオンは、火事が起きるほどの炎をかき消すと、レイピアを持っていない左手を、レッドにかざした。

 「ヤバい」

 オラシオンの能力と、戦闘スタイルが分かっているレッドは、すぐさま左手がさしていない方に移動した。

 「ち」

 レッドがさっきまでいた場所は、急に光に包まれ小爆発した。

 「行くぜ!」

 小爆発を先読みして避けたレッドは、音速でオラシオンに走ると、二人の距離が近くなった時に、空中に飛びながら、強化されたアグルを叩きつけた。

 「く」

 その攻撃を、オラシオンがレイピアで防ぐと、アグルの炎属性が発生し、ぶつかったことで起こった火花と一緒に、燃え上がり、二人の顔を炎の熱さが襲う。

 「く!」

 熱さに耐えられなかったオラシオンは、アグルをレイピアで弾くと、レッドの腹を蹴り、自分を炎から離れさせた。

 「まだまだだ」

 今度はレッドが左手をオラシオンに向けると、オラシオンの前で一瞬だけ炎が巻き起こった。

 レッドは炎を出せるが操れないので、炎は一瞬で消えてしまった。

 「はあああ」

 オラシオンも、左手をレッドに向けると、同時に光と炎をだし、巨大な爆発が起こり、煙に、会場は包まれた。

 「おーと、どういうことでしょか。まったく、様子が見えません」

 そうMCが実況すると、客席も騒ぎ出す。

 「おおおおおお」

 そんな中でも、レッドの勇ましい雄叫びが聞こえた。煙の中でも、戦闘は行われているようだ。

 そして、数分後。

 二人は同時に煙から飛び出し、煙はようやく消えた。

 「やるな、レッド。だったら、はあああああ」

 オラシオンを、聖なる光が包み、オラシオンの体は光り輝いて行った。

 これは、聖なる光をかき集め、一撃に込めていた。

 「だったら」

 レッドも、ラストスパートでワイルドタイムを発動し、力を蓄え、アグルをしまい、赤い大剣のマゲリマムを両手で構える。

 「行くぞ。レッド」

 「おおおお」

 そして、二人は武器を振りかぶり、お互いに走って行き、レッドは強力な斬劇を。オラシオンは、急所を正確に狙う鋭い突きを放った。

 そして、その勝者は・・・

 「決まったー。勝者は、コードネーム レッードー」

 そう、今回の勝者は、レッドだった。

 そこには、オラシオンの姿はなく、レッドの姿しかなかった。

 「よっしゃー」

 マゲリマムを戻したレッドは、右手を始まる前にやったように、掲げた。

 そして、レッドは通路に戻って行った。

                *

 試合会場を後にしたレッドは、通路を歩いていると、そこにあるソファーに座っている、ある魔騎士に目がやった。

 その魔騎士は、黒に赤い線が入った貫禄のある鎧を着用していて、通り過ぎるレッドを睨んでいた。

 そして、控室に入ったレッドは、睨んできた奴のことを思いだした。

 「何だ?あいつ。いかにも、亜騎士って感じだったな」

 レッドがそう思ったのは、黒い鎧が闇をイメージさせたからだろう。だが、ここにいるということは、あの魔騎士は、コスモバトルの参加者の、正式な魔騎士だ。

 「ま、いっか」

 そう言って、兜を外したレッドは、前もって買っておいたトロピカをとり、体を回復するような気持よさそうな表情しながら、トロピカを飲んでいる。

 「何とか、勝てたな」

 勝ったので安心したのか、一息ついた。

 オラシオンの攻撃の前に攻撃できたからよかったものの、もうちょっと攻撃が遅ければ、レッドが控室に戻されただろう。

 そんな時だった。

 突然、控室のドアが叩かれた。

 「誰だ」

 座っていたベンチから立ち上がったレッドは、ドアを開けると、そこにはフェンリルとオラシオンがいた。

 「二人とも、どうしたんだ」

 「いや、俺はオラシオンに勝ったて聞いたから、お目どうって言おうと思ったら、オラシオンがいたんだ」

 オラシオンを不思議に見ながら言うフェンリル。

 「レッドには負けたからな。だが、俺はもっと強くなれる気がした。だから、その礼を」

 「そうか、取りあえず入れよ」

 そうして、二人はレッドの控室に入って行った。

 「ごめんな、オラシオン」

 「なぜ、レッドが謝る?ああ、エクスカリバーの事か。気にするな。そんなものに頼らずとも、俺は強くなる」

 淡々と語るオラシオン。

 「そうか。そうだ。こんなことも聞くのはなんだが、フェンリルの願いはなんだったんだ?」

 フェンリルはオラシオンに負けたので、願いはかなわないので、少し控え目で聞くレッド。

 「俺か?俺は、ありったけの金よ。金があれば何でもできる」

 そう、ニヤニヤしながら言うフェンリル。

 だが、レッドはそれが願いだとは思わなかった。

 フェンリルの願いは、母親を見つけることだ。

 甘えん坊で、ガキみたいなフェンリルを、づっと面倒見てきた母親がいた。

 だが、その母親は、なぜかフェンリルのもとから去り、それから一度も会ってなかった。

 あまりその事を思い出したくないフェンリルは、嘘をついたのだろう。まあ、金がほしいというのも、嘘ではないが。

 「そうか・・・」

 嘘だと分かっているレッドだが、気を使い、そっとしておいた。

 「まあ、俺らは、敗れた。お前は、願いをかなえろ」

 こんな事を言っているオラシオンだが、本当はレッドには負けてほしかった。そのために、全力の全力で戦った。だが、オラシオンは負け、レッドは願いを叶えるために戦う。

 そして、二人が帰ると、再びドアが叩かれた。

 「レッドさん」

 その人物は、ブラストだった。

 「おお、ブラストか。どうした?」

 「僕、負けちゃいました」

 「そ、そうか」

 「はい、ゼロさんに。でも、あの人と戦ってみて、何かを感じたというか、何かを背負って戦ってる気がして。あ、いえ、たぶん気のせいですよね。それだけ、伝えに来ました。まえ、レッドさんとゼロさんが一緒にいるところみたので・・・それでは失礼します」

 そう、ブラストは一方的にレッドに言うと、すぐさま帰って行った。

 「ゼロか・・・あいつのことは、何か引っかかるんだよな」

 この前のようにゼロのことを考えると、魔またまたドアが叩かれた。

 それはスタッフで、スタンバイを城ということだった。

 「よし、行くか」

 そう言って、兜をつけたレッドは、あの白いソファーに向かった。

       *

 ここは闘技場。

 レッドはMCに紹介され、早くも入っていた。

 「レッドの相手は、影の支配者 コードネーム シャドウ」

 MCに紹介され、レッドの反対側から出てきたのは、さっきレッドをにらんだ、黒い鎧を着た魔騎士だった。

 「お前、シャドウって言うんだ」

 「はい。僕のコードネームは、シャドウ。僕の願いは、魔騎士のトップになることです」

 ていねいな口調で、とんでもない事を口にするシャドウ。

 「ずいぶんな野心家だな」

 「ふふ。あなたは、聞くところに言うと、魔騎士をやめようとしてるらしいですね。僕は、そんな人には負けません。僕の力を、僕をいじめた奴に、認めさせるために」

 感情を出しだしたシャドウ。シャドウは、ブラストとは反対で、子どもの頃いじめられていた。だから、強くなろうと魔騎士になったのだ。だが、いじめっ子は認めてくれないアから、トップに君臨して、認めさせようとしているのだ。

 「そうか。確かに、俺はやめようとしている。だが、そのためなら勝つ」

 「それでは、始めたいと思います。バトルスタート」

 MCが開始の合図を言って、最初に動いたのは、武器を持ってない格闘戦を得意とする、シャドウだった。

 シャドウは、右手の小手の丸くて赤く光っている部分を押し、レッドにそれを向けると、黒い破壊光線が発射された。

 「何?」

 その破壊光線は、影の力でできており、油断しているレッドの腹に直撃し、レッドは壁に背中をぶつけた。

 「やるじゃねえか」

 「そうでしょ。これが僕の技、シャドウバーストです」

 このシャドウが来ている鎧は、ウレイドルと呼ばれる黒狼で作られたもので、シャドウの能力に合わせて作られたもので、この鎧はシャドウの力と直結しており、各部分の赤く光っている部分を叩くと、それの部分の攻撃を繰り出せる。右手は、影の力の破壊光線のようだ。

 「やるじゃねえか」

 レッドは、背中を壁から話すと、アグルではなく、右手に赤い巨大な手裏剣を出すと、近距離が得意な事が、武器を持っていないことから分かったので、手裏剣をシャドウに投げ飛ばした。

 「シャドウバーストです」

 シャドウは、左足をできるだけ上げ、その赤い丸の部分を押し、影の力を左足から黒い波動として出した。

 半月型のした黒い波動は、左足で何もない所に蹴った八回と同じ、八つ飛ばされた。

 そしてその斬撃は、赤い手裏剣に全てあたり、勢いを止められた手裏剣は、地面に落ちて行き、レッドのもとへ帰って行った。

 「はああああ」

 レッドは、やはり近距離が得意なので、左足をあげているシャドウに、アグルを抜いて音速ではなく、光速で走った。

 そして、レッドはシャドウに近づくと、右からシャドウのわき腹に叩きつけた。

 だが、シャドウはそれより先に、手際良く左足を地面に置いて、右足を置いて、丸い部分を押し、レッドの頭に右から蹴り飛ばした。

 そのシャドウの蹴りの方が早く、レッドは攻撃を与える前に、再び壁に吹っ飛ばされた。

 「負けるかよ」

 レッドは体制をたてなおすと、もう一本アグルを自分の能力で出し、余裕のシャドウ再び走って行った。

 「何度来ても無駄です」

 その突進を、右斜めに避けたシャドウは、すぐさま左斜めに飛ぶと、シャドウの背中が、レッドの背中と向かい合い、シャドウは勢いよく反回転して、レッドの脇腹を後から、カオスバースト状態の右足で蹴り飛ばした。

 「ぐわああ」

 嘘炉から攻撃されたレッドは、何が起きたのか訳が分からず、また壁に激突した。

 「終わりです」

 左手をシャドウバーストしたシャドウは、その左手の平を、闘技場の地面に叩きつけると、そこから影がレッドに向かって伸び、レッドにたどり着く前から、影から黒い槍が、何本も生えてきた。

 「くそ!ぐわあああ」

 避けようにも、壁に激突し立ち上がれないレッドは、その槍をまともに食らうと、その威力で中にあげられた。

 「まだ、生きてますか。では、カオスバーストです」

 今度は右手をカオスバーストさせ、空中で無謀なレッドに、破壊光線をお見舞いした。

 それをまともに体全体で受けたレッドは、まだ控室に転送されず、客席と闘技場を区切る、壁の上の高い所に張り付けられている、鉄の網にぶつかった。

 「まだですか」

 なかなか、転送されないレッドに、いらつくシャドウ。

 そして、レッドが網から壁に移って、ずるずると落ちて行くときに、シャドウは後の壁にバックステップし、壁をけり落ちて行くレッドに、カオスバーストした右足の裏で、壁にめり込ませるように叩きこんだ。

 「ぐは!」

 口から、少し血を吐き出すレッド。各当選なので、刃物と違ってすぐには死なないのだ。

 「まだ耐えますか」

 シャドウは左足で壁を蹴り、後に一回転しながら戻った。 

 そして、レッドはようやく地面に体がついた。

 「け、ひでえな」

 左手で口の血をふき、立ち上がるレッド。こんなものじゃ、トップレベルのレッドはやられない。

 「おおおおおおお」

 雄叫びをレッドが開けると、一瞬でこの闘技場が赤く塗りつぶされた。

 「何?」

 レッドが、赤の絵具で壁と地面を全て塗ったというより、そこに出して自然に塗られたのだ。

 そして、全身赤いレッドの居場所は、シャドウにも観客にも、一瞬でもわからなかった。

 「何所だ」

 カメレオンのように隠れたレッドは、見つからないうちに背後に回り込み、二本のアグルをシャドウの背中に叩きつけた。

 「ぐわああ」

 初ダメージを受けたシャドウは、斬劇とともに、レッドのように壁に吹っ飛ばされた。

 「ワイルドタイム」

 勢いに乗って終わらすつもりのレッドは、さらに赤くなった。だが、絵具の赤い色とは違った赤なので、シャドウにも観客にもなんとなくわかった。

 「やっぱり、やりますね。シャドウフルバースト」

 シャドウは立ち上がると、胸の真ん中の赤い丸い部分を押した。

 そうすると、シャドウの体は、闇ではなく自分の影に包まれると、影が消えた後は黒くかがやいている。

 そして、右手が巨大な剣の刃になったシャドウ。

 そして、一本は鞘ではなくい空間にしまい、もう一本のアグルは鞘におさめ、マゲリマムを出した。さっき、大量に絵具を出したので。マゲリマムを出すので精いっぱいだった。

 そして、シャドウが走りだすと、レッドも走りだし、右手の刃をシャドウはレッドに叩きつけた。

 だが、それをワイルドタイムによって、簡単によけ、すぐさま背後に回ると、車道が振り向くまでに、マゲリマムに力をため、車道が振り向いた瞬間、マゲリマムを叩きつけた。

 「な!」

 そう、シャドウは吐き捨て、消えて行った。

 レッドが、ワイルドタイムで勝ったのだ。

 「く!」

 ワイルドタイムを、一日二回使ったので、さすがに限界が出たのか、すぐマゲリマムは消え、すぐさまレッドは、フラフラしながら、控室に戻って行った。

 レッドは、こうして予選Aブロック決勝戦に出場決定。


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