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(完結)『隣の席の田中くんが異世界最強勇者だった件』  作者: 雲と空
第四章:暴かれた真実と、本当の敵

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44話:城塞都市ヴェサリウス~王への挑戦~

魔族領を後にした私たちは、智謀のダリウスと共に、魔族領と人間領の境にある森の出口まで来た。


「ここから先は、私も行けません」


ダリウスはそう言って、私たちに深々と頭を下げた。


「君たちの活躍を、魔王様と城で待っています」


私たちもダリウスに礼を言い、森を抜けた。


しかし、そこに広がっていたのは、平和な人間の領土ではなかった。


目の前には、おびただしい数の冒険者が待ち構えていた。

その表情は、まるで鬼を討伐しに来たかのような憎悪に満ちている。


「どうしたんだろう…?」


私の問いかけに、ダリウスの言葉を思い出した。


「おそらく、君たちの情報が人間領に伝わっているのだろう。それも、偏った形で」


その言葉通り、冒険者の一人が私たちに向かって叫んだ。


「魔族の味方をする勇者め!神託により、お前たちを排除せよとの命令が下った!」


「神託…」


田中くんが驚きに目を見開く。


このことだったんだ、と私は悟った。

私たちが魔族に味方し、和平交渉に向かっていることを、セレスティスは察知したんだ。だから、邪魔な私たちを排除するよう神託を下したんだ。


「行くぞ!」


冒険者たちが一斉に襲いかかってきた。


だが、私たちにはもはや彼らの攻撃は通用しない。


「風斬波!」


田中くんの剣から放たれた風の刃が、冒険者たちを傷つけることなく吹き飛ばしていく。


冒険者たちは、まるで風船のように空を舞い、地面に叩きつけられては気絶していった。


「ホーリーライト!」


麗華先生の掌から放たれたまばゆい光が、冒険者たちの視力を一時的に奪う。


「ぐ、ぐああああああ!」


目を押さえてうずくまる冒険者たちを、由希子ちゃんがグローの魔法でさらに動きを鈍らせた。


「ファイアーウォール!」


お姉ちゃんが炎の壁を作り出し、冒険者たちの道を塞ぐ。


「あんたたち、あたしたちが何者かも知らないで勝手に攻撃してくるなんて、ほんっとうに馬鹿なんだから!」


お姉ちゃんの怒りの声が響く。


冒険者たちを簡単に無力化していく私たちの姿に、都市の門から出てきた兵士たちは顔色を変えた。


「撤退しろ!奴らは化け物だ!」


だが、その背後から新たな命令が下る。


「全軍突撃!勇者の力を見くびるな!」


王は、私たちに真実を語る機会すら与えないつもりらしい。


城壁の上から、王の姿が見えた。


「…なんで今さら神託なんて出したんだろうね。そもそも、私たちを魔王になんか会わせなきゃよかったのに」


お姉ちゃんがポツリと呟いた。


「もしかしたら、セレスティスは私たちに力を与えることはできても、奪うことはできないんじゃないかな…?」


田中くんの言葉に、私たちはハッとした。


確かに、もし力を奪えるなら、私たちを抹殺するのはもっと簡単なはずだ。


わざわざ人間を動員してまで私たちを排除しようとするのは、それができないからなのかもしれない。


その間にも、兵士たちは私たちに襲いかかってくる。


「由希子、田中くんと麗華先生にクイック!」


私の指示で、由希子ちゃんの魔法が田中くんと麗華先生にかけられる。


「縫合突!」


私は風のように兵士たちの間を駆け抜け、鎧の隙間を的確に突き、彼らを戦闘不能にしていった。


「雷の魔法剣!」


田中くんの剣は雷を纏い、兵士たちの剣を弾き飛ばす。


「ホーリーランス!」


麗華先生の放つ光の槍が、兵士たちを包囲し、動けなくする。


私たちに挑みかかる兵士たちは、次々と無力化されていった。


私たちは、誰一人として殺すことなく、王の軍勢を退けていく。


「…行くよ。王様と直接話そう」


田中くんの言葉に、私たちは頷いた。


私たちの力は、もう誰にも止められない。


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