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95妖精の孤独、タツヤの孤独(アリエル)

 

 あたしはすべてを理解したのです。

 村のみんなに置いてけぼりにされたというのは大きな勘違いだったのです。

 そして、薄々は感づいていたけども、あたしは人間たちの想いが具現化した存在。あたしは、人とは違う存在。


 荒廃したラビリンスをあたしは一人、半透明になりながらも、彷徨ってみたのです。

 今は、夜。といっても、昼と夜も変わりのないラビリンス。あたりはシーンとして静かなのです。それが、夜だからなのか、それとも、荒廃したからなのかは、わからないのです。

 ただ、提灯虫が瓦礫を照らす中を一人ふと、ゆっくりと浮遊しながら散歩してみるのです。


 あたしは人々の想いから作られた存在。人々の夢でもあるのです。でも、その人々の夢が潰えそうとしている。。。


 ふと、なんとく散歩していれば、瓦礫となった山の上に、一人の人影が見えたのです。

 よく見れば、その人影はタツヤに見えたのです。


「タツヤ。。。」


 あたしは、ふらっと、タツヤのそばにそっと寄り、タツヤの指にしゃぶりつきます。久しぶりの生気をいただくのです。


「なんだ、アリエルか。。。」

「なんだとは、失礼なのです。こんなに可憐な妖精が隣にいるのです。少しは喜べ。」

「勝手に生気を吸うな。。。」


 と、いつものように頭にチョップを食らわされ、指から無理矢理はがされるのです。


「寝れないのか。」

「う、うん、まぁ、というか、タツヤこそどうしたのです?いつも元気ないけど、いつもよりも元気ないのです。」

「アリエル、お前は、身体が半透明なのに元気だな。」

「なにせ、このアリエル、人々の夢の塊なのです。人々の夢を叶えるため、沢山イタズラして、ここに妖精アリと知らしめるのです。」

「おい、やめろ。迷惑極まりない。」


 バキッ


 と言って、再び頭にチョップを食らわされるのです。

 今回は音がしたのです。アリエルの頭が割れるのです。


「。。。」

「。。。」


 ただ、その後、何とも言えぬ沈黙が続くのです。 


「なぁ、お前には言ったけか?俺は何度も、この世を転生している人間なんだ。」

「前に言っていたでありますね。アイギスも言ってたのであります。」

「一回じゃないんだ。二回、とか、三回とかでもない。もう、一千回、一万回、もう、数えるのやめたさ。何回も何回も人生というのを繰り返しているとな、だんだん型にはまってルーチンになるんだ。ただ、ただ、何事もなく、ただ繰り返すだけの人生、なぁ、想像できるか?イタズラに時間が過ぎ、ひたすらに人生が終わり、次の人生を迎えるを待つだけの人生。。。。。。だけどな、今回だけは違ったんだ。」

「今回だけ??」

「あぁ、そうだ。いつもは人との交流といえば、せいぜい店員さんとの会話ぐらいだった。だけど、今回は違った。霞と会えた。若干うざいけど、アリエルとかいう羽虫のような自称『妖精』にも会うことできた。ただ、イタズラに時間が過ぎるのを待つだけじゃなかった。久しぶりに自分で意思で動いた。自分の意思でグローリーホールに飛び込み、アイギスとの戦いに挑んだ。今回の転生はいつもとは違ったんだ。」

「タツヤ。。。ちなみに、そこは『羽虫』のようなじゃなくて『妖精』そのものなのです。それで、タツヤは、この世界で、やり遂げたいことがあるのですか。」

「ある。会いたい人がいる。」

「会いたい人?」

「転生する前にいたんだ。自分がまだ若い頃にいた大学の先輩。俺はその人のことが好きだった。」

「。。。オッサンが、、、なんかキモッ。それってストーカ的な。。。」

「うるさい!わかってるさ。それぐらい。だけど、それでも会いたいんだ。」

「それで、その人はどこにいるのでありますか?」

「なにせ、転生する前の世界だったからな、わからないさ。だけどな、単なる偶然のなのか、わからないが、霞、、、霞がその先輩にとてつもなく似ているんだ。アイギスは言っていた。霞は転生者だと。まさかとは思うが、、、、でも、確証する手段がない。」

「タツヤ、、、それって、もしかして。。。」

「確証はない。確証はないが、その可能性を考えている。」

「タツヤが何回繰り返し転生をしたのか知らないですけど、もし、この人生を終えてしまったら、次はないのですよ。」

「あぁ、わかってるさ。わかっているんだ。だけど、いったい俺はどうすればいいか、わからない。」

「You、告っちゃいなよ。」

「。。。」


 タツヤはこちらはものすごい形相で睨んでくる。


「そうでなくても、事情を霞に言ったらどうなのよ。いつも、あんた、あたしのことを虫とかいう割には、弱虫の虫はあんたのほうじゃない。」

「そうだな。」


 どっこいしょと。

 あたしはタツヤの頭に乗るのです。


「どうせ、また、転生するんでしょうが。だったら、失敗しても関係ないでしょ。」

「ま、そうだな。」


 はー、てか、いったいこれは何なのよ。

 なんで、この可憐で華奢な妖精が、おっさんの恋愛相談乗んないといけないのさ。


 ブリッ


 あっ、やばっ。思わず屁が出てしまったのです。タツヤの頭の上で。


「お前、、、屁、しただろ。」

「よ、妖精は、お、おならなんてしないのです。」

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