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88転生した人間(霞)

 

 あたしもね、不思議だと思っていたのだけど、使える魔術は、どれも高度で威力があったの。そして、なぜか、人に教えられたわけでもないのに、人が知らない古代魔術も使うことも出来た。


 最初はね、


「持って生まれた天性の才能。あたしって、魔術の天才ね。」


 と浮かれていたわ。


 でもね、あたしの魔術は人よりも明らかに高度、天性の才能という意味では、その通りなのだけれど、それは才能がどうこうというレベルをゆうに超越していたわ。

 高度という次元を超越して、もはや異常というレベル。


 普段は、気にはしてなかったけど、アイギスが言うには、あたしも転生した人間らしい。


 転生すると、転生前の技量を持ちながら、新たな人生を始めることできたり、前世の記憶を持ちながら転生するのだとか。

 それって、いわゆるRPGゲームでの強くてニューゲーム、っていうやつじゃん。なんて思ったのだけど、ただ、残念なことに、あたしは、前世の記憶はないのよ。そこだけが残念だわ。


 でも、タツヤも転生者らしく、魔術は使えないけど、前世の記憶を持ってる様子だった。何度も転生することで、剣技を極めた様子。


 今は、リアっていう人の治療に専念してるわ。

 体に大きな穴があき、人間なら、生きていることが信じられないほどの大けがだった。

 リアの胸に手を起き、治癒魔術をかけると、白い柔らかい光が手を包み、リアを包みこんで、みるみる傷が閉じ、流れ出た血液が体内へと戻る。


 ただね、治癒魔術っていうのはね、相手の心にも影響するの。

 治癒魔術をしている間、あたしには、うっすらとリアって人の心の中が見えた気がする。


 このリアって人、人間じゃない。

 おそらく、あのアイギスというバンパイヤと同じ種族なのでしょう。


 けど、人間を好きになり、長年人間と一緒に溶け込みながら、なんだかんだ金儲けをしながらも、目の前で困っているとがいたら助けてあげていた。

 あなたは誰よりも心優しいバンパイヤ、とても素敵な人です。


 それが、このリアって人の約束なのでしょう。

 その子は、もう既にこの世界を旅立ったようだけど、いまだ、あの子との約束を守ろうとしている。

 その子との約束のため、今、この世界が破壊され、困っている人が多くいるこの世界で、目の前の人間たちを守るために、あのアイギスに抗った。


 治療はほぼ終わり、リアは、今はぐっすり寝ているわ。

 でもね、彼女はね、寝言をいうのよ。


「お願い。あの子の、あの子の、、との約束。。。」


 そして、寝ているはずなのに、目から一筋の水が流れていたわ。


 まぁ、こんな様子を見てしまったら、放っては置けないわよね。


「ちょっと、、、まったく、アイギスはあたしが何とかするから、金、用意しておきなさい。。。アリエルちゃん、リアって人の様子見ていてね。」

「了解なのです。。。金って、どんだけ現金なのよ。」

「はぁ?なんか言った?」

「いえ、何でも。。。」


 今は、アイギスとタツヤが交戦中。

 外から下手に魔術を撃てる状況ではないけど、ちょうど、こういう場面に最適な魔術があるの。

 これは、地面に気を使って、模様を描く。そうすると、周囲の空気から気を吸収してその場所にだけ、魔術が発動するの。

 古代魔術の一つで魔法陣と呼ばれる魔術。なぜか、あたしは、こんな魔術も知ってるのよね。

 それを発動させると、つむじ風が周囲に巻き起こり、あたしのドレスの裾が巻きあがる。


 この魔法陣は、その場所にだけ強力が重力が発生するというもの。そして、今、アイギスは、その罠にかかり、地面に伏したわ。


「なっ、くっ、くそ。今度は人間の女か。」

「ふふふ、誰かを地面にひれ伏せさせる魔術。最高だわ。」

「くそ!この妾が地面にひれ伏せるなど。貴様ら、転生しただけの人間風情が!」


 でも、さすが、アイギス。炎の魔術か何かで、あたしが地面に作った魔法陣を燃やしてしまったわ。


「ずいぶんと古い魔術を放ちおって。ババアか。」


 プツン!


 アイギスは、そう言った。

 今の言葉に、あたしの体の中の重要な糸が切れた気がしたわ。


「ババア??」


 体の中の糸が切れた瞬間、自分の体の全体が徐々に熱くなってくる。

 そして、何度も何度も、頭の中で、「ババア」という言葉だけが繰り返されていく。

 体中が熱くなっていくエネルギーを源として、あたしは、それを気へと変えた。


 リアの涙に応えるため、この街に住む人々の想いのため、というのはあったかもしれない。けどね、それ以上に、「ババア」という言葉に、全身という全身が反応して、身体が熱くなるの。


 その熱を気へと錬成し、それをゆっくりと右手の先にと、集めていきます。

 すると、どうでしょう。徐々に右手に淡い光が灯り、風が巻き起こり、あたしのドレスの裾を巻き上げます。


「き、貴様もか、くそっ、何度も転生しやがって!」


 アイギスは、そこで初めて一歩を後ずさりします。この戦いの中で、はじめて後ずさりです。


 あたしはこの魔術を放ちました。

 究極魔術アルティメイト。あらゆる魔術を超越した究極の魔術。炎、氷、雷、水、地といった属性魔術に、時空魔術、重力魔術、次元魔術、あらゆる魔術を合成し、すべてを無にする究極の魔術、それがアルティメイトの正体。


 ゆっくりと、淡い光がアイギスの方へと向かうと、一気に爆発し、光がラビリンスを包み込みます。

 アイギスの立つ地面に、複雑な模様の巨大な魔法陣が現れると、再び、淡い光はその魔法陣を目がけて中心部に収縮し、大きな光柱となって爆発するのです。


 目を開けてられないほどの眩ゆい光がこのラビリンスを覆いつくします。


 眩い光が収まると、アイギスのいた地面は、魔法陣を中心に球体状に地面が、えぐり取られていました。


「ふう。」


 そして、同時に、少しだけストレスを発散できた気分になったのです。


 でも、それでもなお、アイギスはボロボロながらも、そこにいました。

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