86転生した人間(アイギス)
我が血族はすべて消滅したと思っておったが、まさか生き残っていたとは思わんだった。
じゃが、非常に残念じゃ。妾の作りし、劣等種である人間に救われ、その人間どもに情が移りおるとは。
残念であるが、このような血族は我が最高血種として残しておくわけにはいかんのじゃ。
そう、思い、槍で最後の止めを刺したはずじゃった。
キーン!
槍ははじかれ、そして、目の前には人間がおった。名は忘れたが、先ほどまで無謀にも妾に対抗し、妾が確実に始末したはずの人間。それが目の前にいたのじゃ。
「。。。嘘じゃろ、、、、貴様、、、なぜ。」
妾が打ち漏らしたか?
いや、ありえん。
少なくとも男のほうは首を切断したのじゃ。生きている訳がないのじゃ。
それにな、あのグローリーホールとかいう大穴はな、人間ごときに登れるような代物ではないのじゃ。
なぜ、ここにいる?ありえん。
まぁ、ここにいるとすれば、おそらく、妾が通った跡をつけて、地底のアースホールを通ってきたか。
じゃが、アースホールは、地球の中心部、重力の歪みによって時間、空間が歪んでおるのじゃ。人間などの劣等種が通過できるような代物ではないのじゃが。
本当にこやつら人間か?まさか、不死身の吸血鬼か?いや、吸血鬼は妾じゃった。
まぁ、よい。一度、落ち着くのじゃ。
「まぁ、良かろう。まぁ、何年も生きておれば、たまには打ち漏らしもあるものじゃ。」
眼前の人間に向けて、赤黒い槍を高速で突き刺す。念のため、空間魔術を併用させ、眼前の人間の真正面から突き刺すように見せかけながらも、空間転移で槍の刃先を人間の背後へと転移させ、背後から心の臓を串刺しする。
これで、間違いなく、仕留め、、、、は?
「おい、バンパイヤ。あんたに脳みそあるのか?前回と同じもの見せられれば、こんな攻撃、バカでも容易に躱せる。」
目の前の人間は、妾の背後から槍を躱し、槍の柄を掴んでいた。
そのまま柄を引っ張り、こちらへと手繰り寄せ、一刀を妾に与えんとするが、そのような攻撃など、妾に効くはずがないのじゃ。さっと躱す。。。。は?
躱した直後、眼前にいたはずの人間が、なぜか背後に回っておった。意味が分からん。最高血種である妾に見えない速さで移動したとでもいうのか?
「前回は、気が動転して冷静を欠きすぎていた。今回は、冷静に対処する。」
こやつ。。。。そう、こやつは、転生した者。確か、一度ならずも、何度も転生していたと聞く。
であれば、ここまで技量を高めることができるのじゃろう。
前回は確かに冷静さを欠いていたが、さすが転生した人間じゃ。人間という劣等種とはいえ、ここまで妾を手こずらすとは。
じゃがな、所詮、転生しているとはいえ、人間、どんなに長くて百年程度の寿命じゃ。
何度か転生していたところで、所詮は千年程度で極めた技量しか持たぬ劣等種じゃ。
「何を。。。ふん、色恋沙汰ごときに、冷静を欠いていたとはいえ、さすが転生した人間じゃな。じゃがな、妾は種の起源のころからいるのじゃ。高々、数回転生して程度で、妾を甘く見ないことじゃな。」
例の人間は、何度かの転生のうちに、随分と早く移動する技を身に着けたようじゃ。ならばと、妾は相手に気づかれぬように、密かに魔術でこの空間内に結界を張っておくのじゃ。これで、どこに移動しようとも、すぐに位置を把握できるのじゃ。
「さぁ、人間よ。来るがよい。」
「あぁ、わかった。」
相手の人間の姿が消え、結界に反応がある。妾の頭上!ふん、所詮は人間、妾にはかなわ、、、、は?
妾は頭上にいると思い、槍を頭上に向けたはずじゃが、すでに、再び背後を取られ、喉元に刃がつけられておった。
意味がわからん。相手は転生しているとはいえ、劣等種の人間。妾よりも技量が上などありえん。
妾が人間に劣っているというのか?
そんなこと、ありえん。
絶対にありえん。ありえん。ありえん。ありえんのじゃ。




