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82人間を好きになってしまったバンパイヤの物語—少女との出会い(リア)

 

 魔女狩りって知ってるかしら?


 その昔ね、昔といっても、もう何百年も前のことだけど、あたしたちバンパイヤは、人間から魔女って呼ばれていた時代があったのよ。


 魔女は迫害の対象だったわ。

 まぁ、迫害されたところで、人間が魔女に勝てるわけがないのだから、放置していても良かったのだけれどね。

 一部の魔女たちはね、そのうち、人間たちは自ら戦いを起こして、自滅でもするだろうと考えて、人間の社会に影響しないように、人間住んでいる町から離れた森の中や、山の中にでひっそりと暮らしていたのよ。

 あたしもその一人。


 そのときはね、あたしは、ある山奥に住んでいたわ。

 庭を造って花を植え、生きるために必要な分だけの血肉を得ながらも、昼間はゆったりと庭園で紅茶を飲みながら過ごしていたわ。

 いわゆる、スローライフっていうやつを楽しんでいたのよ。


 ちょうど、そのときに、この山に、小さな少女が迷い込んだのよ。

 もう、何日も山の中を彷徨っていたようで、お腹をすかし、全身泥だけだったわ。

 あたしはね、その子に食事を与えて、風呂を貸して、適当な服を見繕ってあげたわ。

 そしたら、その子は「ありがとう。」といって感謝してくれたの。

 あたしは、その子を山の麓へ、返したのだけれども、その子は、次の日もやってきたわ。


 仕方ないので、一緒に紅茶を飲みながら、話し相手になってもらったり、一緒に庭でガーデニングをしたりしたのよね。

 気づけば、その子は毎日のように、あたしの山奥の住処に来ては、あたしのいいお話相手になってくれたわ。


 ちょうど、その頃かしらね。

 あたしの住んでいた地域にもね、魔女を迫害する活動が始まったのよ。


 そして、ある日、事件は起きたわ。

 村の人々は、夜、あたしの住んでいる山の麓に、みな、松明をもって、集まったわ。そして、山の周り、山の中に、油を沢山撒いて、山ごとをあたしを焼き殺そうとしたそうよ。


 でもね、そのとき、一人の少女がね、言ったのよ。


「ねぇ、こんなバカげたこと止めましょう。」


 ってね。いつも、あたしの話し相手になってくれた少女だったわ。


 山ごと焼いたところで、本物の魔女の前に人間が勝てるわけがないのだから、別に止めなくて良かったのだけど、その子はね、あたしの前に立って、必死にあたしを守ろうと、村人たちを説得したのよ。


「ねぇ、止めましょうよ。こんなこと。」

「なんで、こんなことするの?」

「お願い。こんな卑劣なことを止めて。」


 その少女は、村人たちを説得して回ります。

 村人たちは、その少女にこう言うのです。


「なんで、殺すかって?そこに魔女がいるからに決まってるだろ。」


 少女にはまったくその考えが理解できなかったようです。それでも、少女は村人たちに、焼き討ちを止めるように説得するのです。


 でもね、しつこく説得する少女に、村の人たちはこう言ったのよ。


「お前も、魔女か。」


 その子はね、村の人からお前も魔女の仲間だといわれて、迫害の対象になったわ。

 その子は、山の中を走ってあたしの住処まで来たわ。

 別にあたしのことなんて放って置けばよかったのだけど、きっと、あたしのことを普通の人間と思っていたようね。


「ねぇ、逃げて!急いでここから逃げて!」


 その子は、必死の形相であたしの急いで手を取るなり、山を下山したわ。

 でもね、既に山の中は、すでに火の海だったわ。逃げる場所なんてどこにもなかったわ。


 こんな小さな少女まで、焼き払うなんて、まったく、人間というのは憎たらしい。まったく卑劣な種族なことよ。

 でもね、そこにいた少女はこう言ったのよ。


「ごめんね、ごめんね、あたしのせいで。あたしが村の人を説得できれば。あたしがもっと早く駆けつけられたら。」


 その少女は、火の海と化した山の中で涙を流していたわ。


 確かに、人間は卑劣で愚劣な種族。でも、全員が全員ではない。


「ありがとう。ここまで心配してくれるなんてね。でも、大丈夫よ。あたしに任せなさい。」


 あまりに一生懸命だったので情が移ってしまったのでしょうね。

 あたしは、水を生み出す魔術を発動させ、辺り一体の火の海を一気に鎮火させたわ。

 その子をつい助けてしまったわ。


 そのあとは、その子と一緒にその場所を離れてしばらく旅をしたのだけど、その少女とは、旅の途中で別れたのよ。

 あたしは、再び、人里離れた場所でひっそりと暮らしたわ。


 けどね、しばらくして、偶然、近くを通りかかった二人の森人が話してたのよ。


「おい、知ってるか?魔女の話。」

「あの村一帯が魔女によって全部火の海にされたっていう話しか?」

「そうそう、それだよ。魔女は二人いたらしいんだけど、一人が捕まったって話。」

「あぁ、噂で聞いたよ。」

「それがよ、まだ、年端のいかない少女だったていう話だぜ。」

「ひえぇ、魔女の子供か。」

「きっと親がいるに違いないって話でよ、その場で拷問したらしいぜ。」

「おい、その場でかよ、人がいるんだから別の場所でやればいいのによ。」

「なんでもよ、拷問で、指、耳、鼻を切断しても、少女だっていうのに、何も喋らず耐えたらしいぜ。」

「ひえぇ。」


 まぁ、バンパイアの人生からすれば、そんなことはいくらでもある。無視してもいいほどのどうでもいい事件かもしれない。


 けど、なんでしょうね。


 まるで腹の底が地獄の業火のように煮えたぎるのような感覚がするのは気のせいでしょうか。


「うん?何だい?あんた。こんな所で何しているんだ?」

「いえ、あたしはこの付近に住んでいる者でして。」

「こんなところにか。変わった者もいるんだな。」

「ところで、先ほど話されていた、その少女はそのあとはどうなったのです?」

「あぁ、もちろん、その場で火あぶりさ。拷問じゃ、何も喋らなかったていうのに、火あぶりじゃ、『熱い、熱い』って叫んでいたらしいぜ。笑っちまうな。まったく、魔女も困っ、、、」

「えっ、、、ひえぇぇ!」


 あたしは、思わず、その場で赤黒い鎌を空間から取り出し、さっと目の前の人間を胴体を二つに切り裂きました。もう一人は逃げますが、もう一人も逃がしません。


 それでもあたしの、腹が煮えたぎる様子は変わりません。


 その後、あたしは、街に出て、しばらく街を焼き払いました。

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