81血肉を得てないバンパイヤ(リア)
「ほう、我が魔術を打ち消すか。」
「別に、その程度、屁じゃないわ。」
ほぼ荒野となったラビリンスの広場であたしとアイギスは睨みあいます。
「我ら始祖が糧として創り出した劣等種に、情を持ってかれるなど、情けないの。」
バンパイアと呼ばれた血族はあらゆる生命を作り出したわ。
小さな単細胞生物から、恐竜のような巨大なトカゲまで。それは自らの糧として、血肉を得るためだったわ。
中には、アイギスが人間を憎むように、愚かな生物が作り出されたこともあった。
でもね、そのすべてが愚かなわけではないのよ。
人間のように、知的な生命体であれば、情が移ることもある。
それを、何も知らないアイギスなどに一方的に否定されるなど、許すことはできないの。
「高々、数万年を生きただけの血族が種の起源だとか、劣等種だとかは、言われたくはないわね。すべての種の起源はあんたが作っただと?糧としての劣等種だと?バカバカしいわ。」
確かに人間は愚かで弱小かもしれないわ。だけど、それがすべてではない。中には想像を超えた強さを持つ者もいるし、憎めない人間だっている。
あたしはね、ある人間と約束をしたのよ。目の前で困っている人がいたら助けてあげてほしいと。だから、破壊活動を繰り返し、多くの人間を貶めようとする奴は許せない。
「最高血種が、人間などという、我らが作りし劣等種などに、心を奪われてしまったか。それが主の欠点じゃの。なぜ、我らが種を創造したなのかを忘れおったか?確かに、貴様の力は、妾のそれを超えておる。認めようぞ。じゃがな、貴様には大きな欠点がある。何か、わかるか。」
アイギスはリアを睨むように、その周囲をゆっくりと歩く。
「我々は最高血種、その血肉を得んとするために数々の種を作ってきた。そして、人間というも種も、血肉を得んための一つに過ぎん。そして、貴様はどうじゃ?人間の血肉は得たのか?」
リアは、いつもよりも赤く染まった瞳の目を細めた。
「それが、妾とそなたの決定的な違いじゃ!血肉を得ん血族など、ただの愚物にしかすぎん。それが種の創造主でもあってもな!」
アイギスは手に赤黒い槍を作り出し、こちらに向けて放った。その槍は何よりも早く、まるで光のように早い。
あたしは、即座に鎌で防ごうとするが、
バキン!
大きな金属音をたてながらも、鎌ははじかれる。
「見よ。これがお主の力との差じゃ。人間の血肉を得たものと、人間の血肉を得なかったもの徹底的な差じゃ。所詮は、人間など我が供物のための種に過ぎんのじゃ!」
辛うじて、アイギスの攻撃を避ける。
そう、アイギスとあたしの徹底的な差。それはアイギスが言ったように、血肉を得たか、得てないか。あたしは、人間が好きになった。それ以降、あたしは人間の血肉を得ていない。
それはアイギスが言うように、バンパイヤとしては致命的なのね。血肉を得てないバンパイヤ、それはバンパイヤであってもバンパイヤの力を出せない、不完全体。
ドン!
そして、そのままアイギスの赤黒い槍があたしの胸を、、、貫いた、、、。
まぁ、この程度、大丈夫よ。人間なら致命傷だけど、血肉を得てなくてもあたしはバンパイヤ、この程度死ないわ。
あたしは、そのまま鎌を振りかざし、アイギスの首を狙う。。。。けど、さっと躱された。
「ちっ。」
「ふん、血肉を得てないバンパイヤなど赤子が攻撃するようなものじゃ。」
参ったわね。血肉を得てないのはわかっていたけども、これほど力の差が出るとはね。
あたしは、再び、鎌を振りかざすけど、すぐに躱されたわ。さて、困ったわね。
え、なぜ、そこまで人間を好きになったかって?




