80リアノルド=ブラッドレイン=アーミルブルカーノ(リア)
「ほう、種の創造主である妾の前に立ちはだかるというのか、下賤な人間が。。。まったく、妾もまったく人間なぞという下賤な人間生み出してしまったものよ。」
目の前にいるアイギスとか名乗るバンパイヤ。アイギスはまるで自分が人間を作り出したかのように話し、まったく人間をまるでゴミでも見るかのように、上から目線で見下ろしてくる。
だけど、それはね、大きな勘違いなのよ。
アイギスは、まるで自分が人間を創造したかのように言うけども、そもそも、それが大きな勘違い。
人間を創造したというなど、勘違いも甚だしい。
「ぷっ、種の創造主ですって?自分で言って恥ずかしくないの?アイギスラントブルカ=ブラッドレイン=ボーンテッドブルーンさん?」
「なっ、お主、なぜ妾の神名を?」
バンパイヤにもいろいろ系譜あるのだけど、彼女はブラッドレイン家、バンパイヤの始祖の家系であり、名家でもある。だからこそ知っている。
彼女は名前に盲目した一人。
ブラッドレイン家、それはバンパイヤの系譜にて唯一にして、無二の存在。
だからこそ、彼女は自分を特別な存在とでも勘違いしたのでしょうね。
でもね、バンパイヤの始祖であるブラッドレイン家の者なんてね、探せば意外といるのよ。
バンパイヤというのはね、二種類があるの。一つは生命体に自らの血を与え、自らの眷属とするもの。もう一つは、母なる血の一滴から勝手に生まれるもの。
ブラッドレイン家の系譜は後者、母なる血の一滴から生まれる始祖の系譜。血の一滴から人の形を成し、あっという間に成長していく。そして、親の顔すら知らずに、あたしたちは育っていく。
その血にすべて詰まっている。この世の知識に、バンパイヤの本能など。血に詰まっているからこそ誤った情報が刷り込まれていれば、それを鵜呑みにする。
そう、だから彼女のように、痛々しいまでに自身を種の創造主などと、恥ずかし過ぎる思い違いをするのよ。
「最高血種?ばっかじゃないの?何を根拠言ってるのか知らないけど、あんたと同じ血族なんでいくらでもいるわ。種の創造主?ばっかじゃないの。純粋な血族なら誰でも種の創造なんかできるわ。」
「貴様、人間風情が、、、妾を侮辱するでない!」
アイギスは手に持つハエ叩きをこちらへと向けようとする。だけど、そんなことをさせるわけがないの。
即座に、空間から魔術で作り出した赤黒い鎌を取り出し、アイギスのハエ叩きを破壊する。
「貴様、、、」
これだから、バンパイヤというのは嫌になるのよ。
家柄にこだわり、自分の家が名家であるかのように振舞う。
このラビリンスでもランクとかいう制度があるけど、それに似たようなもんでしょう。
ランクが上というだけで、まるで自分が天才であるかのように振舞うおバカな冒険者は沢山いる者なのよ。
アイギスが言うように、すべての種はバンパイアが創造したの。
周りの人間たちは信じないと思うけど、それは紛れもない事実なの。
バンパイアはあらゆる生命を作り出した。
小さな単細胞生物から、恐竜のような巨大なトカゲまで。それは自らの糧とするためでもあれば、自らが神として君臨するためでもあった。
中には、アイギスが憎むような愚かな生物が作り出されたこともあった。でも、それは必ずしも人間だとは限らない。それに人間であっても、すべて同じ訳じゃないでしょ。それに人間にも個体差がある。
「貴様、一つ、聞く。お主、人間か?」
「あたし?」
あぁ、そうだったわね。
まだ、教えてなかったわね。
「あたしは『リアノルド=ブラッドレイン=アーミルブルカーノ』。あなたと同じ血族ね。みんな、あたしを『リア』って呼んでくれるわ。」
と、微笑み返す。
誰にも聞かれないから黙っていたけど、あたしもバンパイヤなの。
隠していたつもりはないわ。聞かれた正直に話すつもりだったけど、人間社会に溶け込んでしまって、気づく人もいなかったようね。
そう、あたしも、アイギスと同じ、ブラッドレイン家、バンパイヤの始祖の家系。
さっきも言ったでしょ。始祖の家系っていうのはね、意外とそこら中にいるものなの。
「なるほど、血族は皆、消滅したと思っていたが、よもや、妾以外にも生き残りがいたとわな。じゃが、血種ならば、なぜ、人間なぞの愚かな生物の味方をするのじゃ?」
さっきも言ったように人間にも個体差はある。愚かな人間もいるかもしれない。けど、心の優しい人間もいるのよ。人間は卑劣で愚劣な種族。でも、全員が全員ではない。
あたしは人間が好き。
だから、こうして人間と一緒に過ごし、あるときは冒険者をやりながら、今はこうして、ラビリンスで小さなお店を開いている。
「それはね、あたしが人間が好きだから。もちろん、全員が全員じゃないけど。それに昔、人間に助けられたの。そして、困っている人がいたら助けてあげてほしいと約束をしたの。だから、、、もし、この人間の住処を破壊するというのならば、あたしは全力で止めるわ!」
「ふん、糧にとして作られた種に、助けられ、惚れたとはな。血族としての恥を知れ!」
アイギスはその場で衝撃波のような魔術を放出した。
それは紫色のような衝撃波で球状に広がっていく。広がるたびに、散乱している瓦礫が、さらに粉砕され粉になっていく。
あたしは、それに呼応してかき消したけど、ここがあの大地下迷宮都市ラビリンスとは思えないほどに、荒野が広がっていたわ。




