表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/208

78巨大地下迷宮都市「ラビリンス」(リア)

 

 あたしは、リア。ラビリンスで「小さな地図屋さん」というお店をしているわ。

 もう、ここに長いこと住んでいるの。


 ここ、地下迷宮都市はね、人々の希望なの。

 もう、ここに都市ができてかなりの時間が経過するわ。

 だから、今は、この都市が出来る前のことを知る人は、もう、あまりいないかもしれない。


 この地下都市が出来るまでは人々は地上で暮らしていたのよ。

 地上といっても、戦争によってすべてが破壊されて、とても人が住めるような環境ではないわ。

 道が途絶えて、物流は途絶え、当然、水道や電気などのインフラもなくなった。


 インフラが破壊されるだけならまだしも、戦争ために軍による臨時の武器工場や弾薬工場ができてね、公害対策は二の次になったから、工場から常に色のついた煙がもくもくと上がって、河川には毒々しい色の排水が流れ出ていたの。当然、大気汚染、土壌汚染や地下水の汚染、ありとあらゆる汚染が進んだのよ。


 だけど、あたしたちは、生きるために、その汚染された水と土壌、空気の中で生活せざるを得なかったわ。

 時には空襲もあった。家なども破壊されて、すべて瓦礫になった。

 その瓦礫にシートを張っただけ家の住み、汚染された水、土壌で育った植物、動物をとらえて、その日の糧にしていたわ。

 当然だけど、健康な人もいずれみんな病に伏していったわ。


 もう、みんな、目が死んでいたわ。

 生きる気力をなくしていた。

 至る所で、人が死に、街には死体からの悪臭が漂い、ハエ飛び回り、そして、伝染病が蔓延するという悪循環。

 まだ、幼い子供たちですら死んでいった。だけど、当時のあたし達には、それを悲しむために流す涙すら枯れていたの。

 想像してみて、瓦礫なった街のど真ん中に人の形をした腐敗物が山のように転がり、悪臭が広がり、そこから、怪しい体液が漏れ出て、ハエが飛びまわる。

 この惨憺さがあなた達にわかる??


 そんなときに、ある冒険者がこの洞窟を見つけたのよ。

 地下深くまで行かないとならないのだけれど、きれいな水があった。洞窟中だというのに、植物や動物がいた。

 そこは、地上で暮らしていた人にとっては楽園だったわ。


 人々はすぐにその洞窟へと移住しようとしたわ。

 移住といっても、そう簡単ではないわ。

 何せ、自然が相手。人が住めるようにいろいろと開拓が必要だったの。

 開拓には多くの危険があったわ。洞窟内に危険な魔獣がいたり、大迷宮と呼ばれているほど、洞窟の中は入り組み、崖から落ちそうになったりと、多くの危険があったの。

 それでも多くの人たちが、この洞窟の開拓に参加してくれたわ。

 それは、なぜか。この洞窟には人々が生きるための希望があったからよ。

 だけど、多くの犠牲もあった。

 それでも、あたしたちは開拓を続けた。あの悲惨な地上に住むよりはマシなのだから。


 そうして、出来たのが、今のこの街。巨大地下迷宮都市ラビリンス。


 あたしも、開拓に参加した冒険者の一人。

 この街には、人々の夢や希望が詰まっている。犠牲になった人も多くいた。そんな人々の夢や希望、犠牲になった人たちの尊い命で、この街は成り立っているの。


 今では、この街の出来た頃を知るものは少なくなったわ。

 地上での悲惨な暮らしを知る人も少なくなったわ。

 だけど、そんなつらい思い出は捨てていい。

 後に残った人たちには、これからの未来だけを案じて、幸せに暮らしてほしい。


 当時の街を作った人たちは、みんなその思いで、この街を作ったのよ。

 この街は、みんなの夢、かけがえのない希望そのものなの。


「だから、」


 あたしは語気を強める。


「このラビリンスを壊そうとするやつは、あたしは絶対に許さない!!」


 まわりの建物はすでに破壊されている。

 それは、まるで、地上で暮らしていたときと同じような惨憺たる光景が広がっている。


 その瓦礫の中で、「小さな地図屋」の店主リアと、深紅のドレス姿の銀髪の女性の2人が対峙していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ