65置き手紙(とある冒険者)
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XXXXX年XXX月XXX日
俺たちはついにグローリーホールの地底へ抜けた。
俺たちは、運が良かった。
何度も何度も死にかけそうになったが、あらゆる偶然が偶然に重なり、俺たち三人をはじめ、皆、無事に辿り着けた。
ここにあったのは見事なまでの城。そして、高価なレッドダイヤの結晶。
高価なレッドダイヤの結晶を見つけたときには、俺たちは皆で歓喜したさ。
みなで喜び、抱き合い、そして、レッドダイヤの頬ずりしたもんだ。
グローリーホールの地下にはどんでもねぇ、でっけぇお宝があった。
そう、ラビリンスで俺たちバカにしたやつらに見せつけてやりたいさ。
そして、まさかの地下の大迷宮に建っている城だ。
きっと、城の中にも財宝がわんさかるもんだと思ったんだがな、
城の内部は、白骨化死体があっただけで何もなかった。
城を調べつくしたが、入れない部屋があるのみ。
きっとこの入れない部屋に財宝がわんさかあるに違いねぇが、どうやっても開かなかった。
開かないなら破壊しようともしたが、これがまたびくともしない。
ずっと、あれやこれやとやってみたんだがな、結局開かずじまいだったさ。
たまに、小さな人の姿をしたような羽の生えた昆虫が、この部屋から財宝を持ち出すのを見かけた仲間がいたんだが、真相はわからねぇ。
他にも、この城が誰がいつ建てて、なんでこんな場所にあるのかを調べたが、有用な情報は一切得られなかったな。
俺たちは、城を後にし、大迷宮内を探索する。
この場所に来た者なら、気づいていると思うが、ここは重力のかかる方向が場所によってめちゃくちゃだ。
なので、ある場所では、天井を人が歩いているようにも見える。不思議な場所だ。
迷宮内には高価なレッドダイヤの結晶がいくらでもあった。
もし、ラビリンスに持ち帰ることが出来たなら、億万長者になれただろう。
だが、残念ながら、戻る手段が見つかってない。
しばらく探索を続けたところで、この大穴を見つけた。
複雑に支洞が入り組んでいるが、俺たちが調べた限りでは、どこも行き止まり。
先にいくためには、この大穴を進まないと行けないらしい。
重力のかかる方向がめちゃくちゃなので、まるで壁に穴があるかのように見えたが、間違いなく、さらに下へと通じる大穴だ。
さて、どうしたもんか、と悩んでいるところで、この穴の脇でこの場所を見つけた。
どうやら、過去にもこの場所に辿り着いた冒険者がいたらしい。紙で書き置きが残っているが、昔の人のようで文字が読めない。おそらくは、俺と同じように、ここに辿り着いたことを記録したのだろう。
おそらく、ここに辿り着いた冒険者は目の前の大穴に飛び込んだのだろう。同じ冒険者だからわかるさ。
そこに底の知れない大穴がある。だったら、飛び込んで穴の底に行ってみる、っていうのが冒険者というもんだろ。
先人の冒険者たちは、ここで書き置きを残しているようだから俺たちも、書き置きを残しておく。
この書き置きを書いたら、これから宴だ。
この宴を終えたあと、明日、目の前の大穴に挑もうと思う。
大穴に飛び込んだら、何が起きるかわからない。おそらくは戻って来れることはないだろう。
だから、もし、この地に訪れた冒険者がいて、この書き置きを見て、ラビリンスに戻ることができる者がいたならば、俺たちを嘲笑ったラビリンスの奴らに伝えてほしい。
確かに俺たちはバカで無謀な冒険者だった。この冒険はあまりに無謀だったかもしれない。
だけど、俺たちは、今、間違いなく、グローリーホールの地底に来た。
そして、グローリーホールの地底には、間違いなく、お宝はあった。
それもレッドダイヤっていうとんでもないお宝が大量にだ。
そして、俺たちは、これから、未だ、誰も到達したことのない、さらなる地底へ挑む。
これは、決して、俺たち三人だけの偉業ではない。
ここに来るまでに、俺のバカげた計画に賛同し、志を共にした仲間がいる。
彼らの協力がなければ、俺たちは決して、ここに辿り着くことはなかっただろう。
そんな俺たちの仲間の名をここに記しておこう。
俺の考えたバカな冒険に付き合ってくれた冒険者だ。
ありがとう。彼らの協力で俺はこの大穴の底にまで辿り着けたんだ。
俺の冒険に付き合ってくれて、本当にありがとう。感謝する。
そして、明日、目の前の大穴に挑む冒険者の名を記す。
高魔のアイリス=クロニエル
刀剣のリュウゼン=セイイチ
隊長 ベベルゼルド
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そこには、三名の冒険者の名前が連なっていた。
俺は、その全員の名前を記録した。




