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63アイギスを追って(タツヤ)

 

「ねぇ、ちょっとー!こっち来てー。」


 迷宮内に霞の声が響き渡る。

 俺たちは、その後、この深層10万mの大迷宮の城の外でアイギスの跡を追って探索を続けていた。

 アイギスの通った痕跡があるとは思えないが、一応、城の外に出で調査をしていた。


 深層10万mの世界、レッドダイヤが散りばめられ、半分逆さに立っている城が聳える。


 ここでは、重力場がおかしい。これまでの大迷宮と違って、下へと迷宮が伸びるのではなく、あるときは下、あるときは上へ、三次元的にひねった構造をしていた。

 平衡感覚をなくしそうで酔いそうだ。


 霞の声のした方へと向かう、ニョキッと生えたレッドダイヤの巨大結晶に霞が体を擦り付け、スリスリしていた。


「おい、そのスリスリを見せたくて、呼び出したのかよ。。。せっかくのレッドダイヤの価値が下がるぞ。」

「何よ。むしろ、あたしがスリスリしたことでプレミアがついたしょ。ってか、それより、見てよ、これ。」


 そこは絶壁の断崖になっていた。


 崖の淵に立つと、眼下にはさらに地底の世界が広がる。

 見るからに複雑な地形が広がり、いくつもの支洞などが複雑に入り組んでいそうな風景だ。

 それに、レッドダイヤだけじゃない。よく見れば、ブルーダイヤの結晶もあるし、金の鉱脈すら見える。


 ここは宝の山だ。この宝を全部持って帰れたなら、一生遊んで暮らせるどころか、それでもお釣りがくるだろう。

 もし、時間が許すのであれば、ここでたんまりと採掘をして、億万長者にでもなっただろう。

 だが、今は目的が違う。


 アイギスを追わねばならない。


 なので、レッドダイヤにスリスリしている余裕などないのだ。

 目が$マークになっているポニーテール姿の霞の、ポニーをぐいっと引っ張る。


「うっ、ちょっと。あたしのポニーが。いいじゃないの少しは。」

「おい、今は違うだろ。それにもう十分すぎるだろ。」


 と言って、おれは霞が抱えている袋にたんまりと入っているレッドダイヤを見つめるのだ。


「わかってるわよ。だけど、でも、見てよ。あの奥よ。」


 眼下に広がる地底の世界。

 その霞が指さす、そのはるか先。そこを俺は目を細めて、じっと見る。俺は近眼なんだ。


 そこに見えるのは少し広めの平たい壁だ。

 その壁にぽっかりと大きな穴が開いているように見える。


「おぉ、壁に大きな穴があいてるな。」

「違うわよ。穴も凄いんだけど、そのすぐ脇。なんかテントみたいな物が見えない?」


 霞が指さすその穴の脇、確かに、自然ではない人工物のような物が見えた。

 ただ、俺は近眼なんだ。よく見えない。


「ねぇ、あれって人工物じゃない?テントかしら。だとしら、レッドダイヤよりも凄いことよ!」


 もし、霞の指さす物が本当に人工物ならば、こに辿り着いた先駆者がいるということなんだ。


「おい、タツヤ。」


 と、アリエル。なんか、俺を呼ぶ声が若干、雑になっている気がする。

 昨日、殺虫剤で殺虫しようとしたので、不機嫌になっているのかもしれない。


「アイギスは、グローリーホールには行ってないのです。あの穴の方向からアイギスの気の残渣を感じるのです。」

「わかるのか。」

「ふん。もう、アイギスとは何度も殺りあってるのです。目をつぶっても、嗅ぎ分けられるのです。」

「。。。犬だな。でも、それなら、あの穴の方面へ行こう。」

「犬じゃないのです。可憐な妖精なのです。」

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