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58働く理由(朱音)

 

 資源開発の最大手RGF社の第一最前線調査部隊、曹長、朱音であります!

 よく人から言われるのであります。


「なぜ、そこで働いているのか?」


 その理由は、ただ一つであります。


「そこに仕事があるから。」


 どんなに仕事をやっても、仕事がなくらないのであります。むしろ、たまる一方なのであります。

 だから、とにかく働いて仕事を減らすしかないのであります。


 今でこそ、RGF社はこのグローリーホールを安全に攻略しようとしているのでありますが、それ以前にも、このグローリーホールを攻略しようした冒険者はいたのであります。

 先日のタツヤとかいう、冒険者のように、みな無謀にもこの穴へ飛び込んで行ったのであります。だけど、誰も戻ってくることはなかったのであります。


 彼らはバカなのです。自ら死にに行くような大バカ者なのです。だけど、そんなバカな冒険者でも、彼らは、この地底に夢を抱いて飛び込んでいったのです。本当にバカな冒険者たちなのであります。


 あたしは、非常に忙しい身ではありますが、そんな冒険者の弔いのために、パトロールの際には、必ず一輪のはなむけの花を献花するのであります。


 ここはグローリーホールの大穴の淵。下を見ても漆黒だけが続く真っ黒な穴。

 あたしは、ここで、ある男と、約束をしたのであります。


「また、会おう。」と。


 昔、一人の冒険者がいたのであります。彼の名は『ベベルゼルド』。略してベベルと呼ばれていたのであります。

 彼もまた、このグローリーホールに夢を抱いて冒険者の一人でありました。


 このグローリーホールに来るたびに、彼は「この地下には偉大な宝が眠っている。」などと身も蓋もない大ホラを吹くのであります。

 周りの現実的な冒険者たちは彼を嘲笑い、子バカにするのであります。だけど、彼はそれでも大ぼらを吹き続けましたのであります。


 あたしは、その男に、惚れました。


 彼は、毎回、このグローリーホールに来ては、あれやこれやと、この穴を攻略するための作戦を考えていたのであります。

 そして、ある日、ついに彼は数人の同志を連れて、ついに、この穴へと飛び込みました。


「また、会おう。そのときは、大量の財宝を持って帰ってくる。」


 と、言い残して。

 当然のことですが、彼は、結局戻ってくることはなかったのであります。


 グローリーホールの調査といえば、RGF社であります。あたしはもしかしたら、再び彼と、このグローリーホールの調査で会えるのかもしれない、という淡い期待をこめてRGF社への入社を希望したのであります。


 まぁ、当初は総務とかの事務職希望のはずか、なぜか、こんな最前線へ配属され、まさか、一日に48時間も働ける環境にありつけて、幸福至極であるのです。

 そう、RGF社の社畜になると、体感で1日が48時間になるという夢のような魔術が使えるのであります。


 そう、配属されたのは、彼の飛び込んだグローリーホールの最前線でなのであります。これは、運命なのでありましょうか。


 確たる証拠などないのでありますが、冒険者たちには、地底にはとんでもない宝が眠っていると噂が絶えないのであります。それを嘲笑う冒険者もまた多くのいるのであります。

 そして、何人もの冒険者を呑み込んできたのも、このグローリーホールであるのです。

 みんな、夢を持ち、ロマンを持ち、自信満々で飛び込んでいったのであります。


 だったら、たとえ、社畜になろうとも、あたしはこの場所で待つと決めたのであります。

 一日に必ず数回はパトロールはあります。進捗確認パトロールだとか、安全パトロールだとか、環境パトロールだとか、そこであたしは必ず、このグローリーホールの大穴の最奥を確認するのであります。


 だって、もしかしたら、、もしかたしたら、彼が、ここを登って来てくるかもしれないじゃないですか。


 そして、あたしは、今日もグローリーホールの最奥を見るのであります。


 当然は、奥はただの真っ黒、漆黒、何もないのでありま、、、え、、、、?


「あれ?」

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