表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/208

48会食(タツヤ)

 

 どうしていいのか、わからない。

 目の前には、よだれが垂れそうなほどに、うまそうな料理が並んでいる。

 霞のほうへと目をむける。霞は口を半開きして、すでによだれをたらしているではないか。

 おい、はしたないぞ。

 と思ったら、我慢できずに、目の前の骨付き肉をがっつきはじめた。

 とりあえず、毒は入ってなさそうだ。


 全然理解が追いつかない状況ではあるが、目の前に料理に手を付け始める。


「口に合うか?」


 聞いてきたのはアイギスだ。


「あぁ、問題ない。」

「それは良い。妾もいささか寝すぎて状況がよくわからん。地殻変動でこの城が地下に落ちたところまでは覚えているが、そのあとはまったくわからん。人間よ、一つ聞く、地上に大繁栄しおった人間はどうなった?」


 自分が初めにこの世界へ転生した先は、地上の世界だった。

 地上は惨憺たる状況、ビルなどの現代的な建物が並ぶも、すべて廃墟、今にも崩れそうだった。草木がビルを取り巻き、野生動物が交差点を悠々と闊歩する。


 そこに、もはや人間の姿はない。


 原因はわからない。でも、何度も転生し、似た世界をたくさん見たから知っているさ。原因はほぼ100%戦争だ。世界を巻き込む大戦争に発展し、皆、自滅したんだろう。


「地上の人間は、おそらく、絶滅した。生き残りが地下迷宮にいる。」

「なんじゃと。真かそれは。」


 アイギスは目の前の料理に手を付け、器用にナイフとフォークを操作していたが、その手を止めた。

 その表情はどこか嬉しそうだ。


「ムシャムシャ、戦争よ。世界戦争が勃発したのよ。ムシャムシャ、全部滅んだわ。地上で生きている人間はいるかもしれないけれど、ムシャムシャ、絶望的ね。」


 そこに霞が補足を入れてくれた。それはいいが、ちゃんと食べてからにしろ。

 だが、その話を耳にしたアイギスは微笑みを浮かべたのだ。


「かっ、かっ、かっ!なんと滑稽な。自ら自滅を選ぶとはな。まったく、同じ種で争うとは、まったく、我ながら醜い種を生み出してしまったものよ。」

「あ、あの、アイギスさん??生み出した?というのはどいういうことでしょうか?」

「どうも、何も、そのままぞ。人間という種はな、妾が手違いで生み出してもうた種よ。しかも、単純な動物であればまだしも、知恵を持ちよった。そのうち我が血種に対しても、敵対するようになっての。人間風情が憎たらしい。」


 あぁ、なるほど。アイギスの言葉を聞いてなんとなく理解できた。

 おそらく、アイギスは『敵』だ。こいつは憎き人間を消したいのだ。


 でも気になることもある。妖精は別としても、俺たちも人間だ。


「人間を憎んでいるのか。その割には、俺たちをこんな余興に付き合わせるんだな。」

「当り前じゃろ。貴様らは、この世界の人間とは異なるものよ。記憶と力を持ったまま『転生』したのじゃろ。」

「!!!!!」


 思わず、アイギスの顔を直視した。


 ドクン!


 それと同時に、心臓の鼓動が大きく波打った。

 それは霞と初めて出会ったとき以来。


 アイギスからは「転生」という言葉がでた。アイギスは「転生」という現象を知っているのか。

 これまで幾度となく転生を繰り返した。そのどの世界でも、「転生」という現象を知る者など誰もいなかった。


「ん?転生?」


 霞は初めて聞いた言葉なのか、首をかしげていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ