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42深層10 万mの世界へ(タツヤ)


「うおぉおぉおおぉおぉ!」


 と、叫んではいるが、思い返せば、何度も転生を繰り返した中で、奈落の底へと落下したことぐらい何度もある。

 自由落下をしながらも、一緒に落下しているはずのアリエルと霞を確認する。


 まずは、アリエル、、、いや、いや、待て、待て。あいつはどうでもいい、空を飛べる。あいつは放置だ。


 次に、霞。すぐに霞のほうを見るも、あれ?「きゃぁぁぁぁ!」と叫びながらも、落下速度が徐々に減速している。綿毛が落ちるかのごとくゆっくりと落下している。

 あぁ、なるほど。

 おそらくは、重力を操作するような魔術を使ったのだろう。霞ならその程度の魔術は扱えるだろうし、そのような魔術は、これまでも五万と見てきた。


 となれば、ヤバいのは、、、俺だけじゃん!


 刃こぼれするので、あんまりやりたくないが、大穴の壁に刃を突き立て、落下速度を減速させる。そのままの状態で落下を続け、しばらく時間が経過するも、グローリーホールと呼ばれる大穴では底へと着く気配はない。

 ひたすらに周囲は真っ暗、音も自分の落ちる風切り音だけ。


 真っ暗で周囲は一切何も見えない。自分だけが闇に包まれ、再び孤独となり、ひたすらに落下する。


 あぁ、そうだった。

 これが、いつもの自分の姿だった。

 ひたすらに、孤独に、目の前のミッションをこなすだけ。


 ならばと、大穴の壁に突き立てたはずの、刃を自ら外す。

 当然、重力の力のままに再び自由落下する。


 そのほうが早い。いつもの自分ならこうしているはずだった。なのに、仲間が、、、、仲間じゃなかった、まわりに人がいるだけで、いつもの行動が変わってしまう。


 落下しているのは自分のはず。なのに、向こうから風が吹くかのように、風が吹き付ける。自由落下を続けること、数刻。吹き付ける風がわずかに変化したことを悟ると、再び、壁に刃を突き立て、落下速度を減速させる。

 まもなく地底が近いことを吹き付ける風から悟った。


 ストン、と地面に着地した。


 高度計を確認する。数値はなんと10万とんで456m。

 高度計に多少の誤差はあるかもしれないが、おそらく、この場所がグローリーホールの地底のはず。

 ゆっくりと顔を上げると、思わず言葉を漏らしてしまった。


「これが、グローリーホールの地底。。。」


 呆然とその地底の光景を眺めてると、上から霞がゆっくりと着地し、一緒にいたのか、アリエルも到着する。


「これなら、あたしの魔術なんて、最初からいらなかったのです。この作戦必要?」


 アリエルは、何かを喚いているが、俺たちの耳には届いてなかっただろう。


「何よ。これ?」


 俺も霞も、地底にこの光景に目がくぎ付けだった。


「何って、グローリーホールの底、地底10万mの世界なのです。人間とかいう生物が生まれる寄りも前に、この地球を支配していた生命体の居城、というか、巣なのです。」


 アリエルが回答してくれるが、俺たちに耳を傾ける余裕はなかっただろう。

 目の前に広がる光景、以前にアリエルが言っていたように、そこは、ダイヤで出来た大迷宮が確かにあった。


 至る所にダイヤの結晶がニョキニョキと生えている。

 それも人一人ぐらいの巨大な結晶が壁からニョキニョキと生えている。

 しかも、ただのダイヤではない。鮮明な赤色に輝くダイヤ、通称、レッドダイヤモンド。ダイヤなどよりも、遥かに価値のあるダイヤで、目の前の迷宮はできていた。


 巨大地下都市ラビリンスがすっぽりと入るぐらいの巨大な空間に、至る所でレッドダイヤの巨大結晶が生えている。


 深層1万mで迷宮に明かりを灯すモノといえば、提灯虫だが、そのような虫はいない。代わりに、淡く強い光を発する光苔が自生しているようで、そのおかげで目の前の強大な空間はほんのりと明るく灯されている。


 だからこそ、俺たちは、そのレッドダイヤで作られた巨大な空間に映える構造物に目を奪われていた。


 巨大なレッドダイヤの地下空間にポカンと浮かんでいるもの。それは巨大な城。

 ただの城なんかではない。重力に逆らうかのように、逆さだ。完全な逆さでなく、斜め45度ぐらいに迷宮の壁に建っている不思議な城。

 それだけでも十分なインパクトがあるのに、まるで中世の欧州を彷彿させる尖塔が立ち並び、石とレッドダイヤで作られたブロックが交互に並んで城壁を作る様はあまりに美しい。

 光苔の淡い光源が、間接的にその巨城を照らすと、陰影が城の美しさを引き立て、うっすらと浮かぶ霧がその美しさを一層引き立てていた。


「何よ、これ。す、すごいわ。。。」


 思わず、霞は言葉を漏らす。


「本当だな。これは、すごい。」


 俺もつい声を漏らす。何度も転生を繰り返したが、巨大なレッドダイヤが大量にあり、巨大な城が重力に逆らうかのように聳える様子など初めて見た。


 ただ、、、ふと気づいて、霞を横目で見る。


「これは、凄いわ。レッドダイヤよ!もう一生働かないでも遊んで暮らせるわ。」

「あぁ、やっぱり。」


 霞は目が$マークとなっていて、見ている視点が違っていた。


「で、アリエル。この居城はなんなんだ?」

「さっきも言ったのです。人間が生まれるよりも前にこの地球を支配していた生物の居城なのです。」

「?、、、地球を支配していた生物?」

「まぁ、人間族でいうところのバンパイヤね。気を付けるのです。食われると血を吸われるのです。」

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