41幕間:風のうわさ(リア)
あたりはリア、昼は地図屋さん。夜は酒場をやってるわ。
昔わね、冒険者のみなさんが適当に作った地図ばかりで、質が悪かったのよね。だけど、タツヤさんが来てから状況が一変したのよね。
最初はね、何?このむさいオッサン、新手の詐欺師かって思ったのだけど、出来た地図を見てびっくりしたわ。
正確な情報、獣道のような支洞まで正確にかかれた地図、迷宮内の高さの変化がわかる正確な等高線、冒険者が目印にする特徴物、緊急時は使える横穴の場所や大きさ、迷宮内には植生や沼地もあるのだけど、中には通行が困難なところもあって、それらの通行可能度に加えて、この付近は危険な魔獣が多いなど有用な情報などなどなどなどのモリモリの情報がすべて地図に記載されていたわ。
それだけじゃなくて、それまでの地図はいわゆる地図だけ。だけどのタツヤの作った地図はね、枠飾りや装飾もされていて、地図というよりも、もはや地図という名前の一種の芸術品。
タツヤの地図を置いた瞬間に、冒険者の皆さんから、「この地図は何だ!!」と、今までの地図の数倍の価格を設定したというのに、飛ぶように売れたわ。今考えれば、もっとふっかけておけば良かったわ。
おかげさまで、ガッポガッポよ。うふふふ。
さて、夜は地図屋さんの反対側のお店で、酒場をやってるのよ。
昔はね、酔っぱらったお客さんに、出来の悪い売れ残った地図を店頭価格の数倍で売りつけるために始めたのよ。
どうせ、冒険者なんて多くは飢えた男ども。酔わせて、ちらっと、太ももでも見せてやれば、すぐに売れたわ。おかげさまで在庫整理に一役買ったというわけ。
だけどね、酒場を始めてみると、それ以外にもいろいろと情報が集まるのよね。
最近だと、例のタツヤだけど、地図の出来はとてもいいのだけど、最近、ラビリンスの温泉で女湯を覗こうとしたらしいわ。信じられない!女の敵ね。キモ!死ね!消えろ!
でも、最近はタツヤ、見ないわね。正直、タツヤの地図の入荷がないと困るのよね。さすがに言い過ぎたかしら。
で、最近の噂といえば、最前線のグローリーホールに現れたというDランク冒険者の話。
RGF社という資源開発の会社があるんだけど、そこが民兵を雇っていて私兵団を構成しているのよ。ただ、そこらへんのゴロツキを集めた集団のようで、あまり、いい話は聞かないわね。
だから、みんなRGF社の民兵と聞いたら、できるだけ、避けるようにしていたわけ。
だけどね、そのRGF社の民兵に食ってかかった冒険者がいるらしいの。しかも、ランクはD。
RGF社もそのままの放置するわけがなくて、全兵力をその冒険者に向けたらしいわ。
だけどね、冒険者がたった1人で、RGF社の全兵士をやっつけちゃったんだって。すごくない??しかも、Dランクよ。D。Dランクってことは、魔術は使えないので、魔術を使わずに倒したってことでしょ。
すごくない??
あぁ、きっと、超イケメンで、華麗に徒手空拳やら剣術を使いこなす冒険者様で、まわりにはバラの花が咲き誇り、キラキラと輝いて、会った瞬間に、「お嬢さん、今日もかわいいね。」なんて、キャー!。。。
あらやだ、あたしったら、変な妄想をしてしまったわ。
ちゃんと、お仕事しないといけませんね。
「あら、お兄さん、いらっしゃい。随分と酔ってるじゃない?サービスでもう1杯いかが?」
「さすがですねー。」
「えっ、知らなかったですー。」
「えぇぇ、すごーい!」
「せっかくなので、もう1杯いかが?」
「そうなんですか!知らなかったー。」
「ねぇ、お兄さん、最近、いい地図が入ったの。お兄さんには、特別価格で提供するから買ってくれない??うん、そうなの。お兄さんだけの、と・く・べ・つ・よ。」
チャリン!
ふっ、男なんてちょろいわ。




