40大穴の底には(タツヤ)
アリエルはふと目を閉じて集中すると、再び、半透明な膜のような球体に俺たちを包み込む。
そして、俺たちはさらに深層を目指し、次の足場へとグローリーホールの下へと移動するのだ。
こんな感じで、足場については休憩し、アリエルに生気を取らせて魔力を補充し、アリエルにチョップを食らわして補充を止めて、というのを繰り返し、順調にグローリーホールを下へと降りて行った。
ただ、毎回、足場で休憩した際に、誰が、アリエルに生気を与えるかについては、毎回、会議が開催されていた。
「なぁ、霞。。。」
「え、何よ。」
「そういえば、お前って、アリエルのこと、かわいいって言ったよな?」
「ちょ、な、何言ってるのよ。そ、そうよ、それは、アリエルちゃんはかわいいけど。。。それと、これは、、」
「。。。。おい、アリエル、次も霞だ。」
「よし、来た!」
暇も与えず、霞に食らいつくアリエル。
「ふぁあぁぁ。」
「ふぁぁ」と謎の気持ちよさそうな声をあげる霞。そう、生気を吸われた瞬間は気持ちいいのだ。吸われた瞬間だけは。
「ふぁぁぁぁぁふぁああああああああ!」
霞の声が悲鳴になったところで、アリエルの頭にチョップを食らわせ、霞から虫を引きはがす。
「痛い。。。」
「おい、毎回毎回、たくさん吸うんじゃなくて、加減を覚えたらどうだ。虫にも脳はあるだろ。」
「だって、美味しいんだもん。」
とアリエルは口をとがらせていた。
「あ、あ、あ、あ、、、もう、あたしお嫁に行けない。。。」
ちなみに、霞はしばらく、その場で悶絶していたので、しばらく休憩となった。
ともかく、そんなこんなんで、なんとグローリーホール攻略作戦は意外にもうまくいっていたのだ。
だが、ある時に問題が起きたのだ。
透明な膜に包まれて、闇深いグローリーホールの中を進んでいく。ランタンで周囲を照らしながら、一定間隔毎に設けられた足場を確認しながら、下へ下へと進んでいくのだが、あるときから、急に足場が見えなくなった。
そう、足場といっても無限にあるわけではないのだ。RGF社もグローリーホールの調査は途中までしか進んでいない。当然、足場も途中までしかないのだ。
そこにアリエルが、話に割って入ってきた。
「何言ってるのよ。グローリーホールに足場なんてあるわけないでしょ。むしろ、人間風情がよくぞここまで作ったのです。ねぇ、どうせ足場がないなら、ここから自由落下して、衝突する寸前にあたしの魔術で、衝撃を和らげるというほうがいいんじゃない?そのほうが断然早いのです。」
その言葉を聞いた瞬間に、良からぬ気配を感じたのは自分だけではないであろう。
「ちょっと、待て、早まるな。アリエル。」
「えっ、アリエルちゃん?」
だが、それは思った通りの展開になってしまったのだ。
「それじゃぁ、行くのです。」
そういった瞬間、突然、体が浮き上がり、まるで無重力になったかのように感じることができた。何せ、ここはグローリーホールのど真ん中、光などないので、まわりは真っ暗、視界から自分が落下しているとは認識することはできない。されど、先ほどと違って、直後に下のほうから向かってくる風が、今、まさに自分が自由落下していることを嫌でも認識させてくれる。
「きゃぁぁぁぁ!」
「ああああああぁぁぁぁぁ、このクソ虫がぁぁぁぁ!」




