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39そして、大穴の中へ(タツヤ)

 

「ぁぁぁぁぁあああああああああああ!死ぬぅぅぅぅぅ!」


 真っ暗な暗闇の大穴を自由落下する。まずい。このままでは、間違いなく死が訪れるだろう。


 と、思っていた、のだが、、、よく見ると、透明な薄い膜が球状に形成され、その中に包まれながら、ゆっくりと大穴を下降しているようだった。おそらく、これはアリエルの魔術だろう。

 周りが真っ暗で、音もなく、風圧も感じることがないので、そのままグローリーホールのの大穴を自由落下しているのだと勘違いしたようだ。


 は、恥ずかしい。。。


「あんた、周りをよく見るのです。このアリエル様の魔術のおかげなのです。プー、クスクス、『死ぬ―』ですって。あんたも可愛らしい所があるのです。」

「ぷっ。」


 ポコッと、アリエルの頭をド突いておく。どさくさに紛れて霞も笑ったよな。


「ちょっと、あたし、何も悪いことしてないんですけど。」

「なぁ、霞、さっきもどさくさに紛れて博打で儲けてなかったか?」

「えぇ、おかげさまで♡!ただ、さすがに『やり過ぎ』たわね。だから、恨まれる前に、とっとと穴に飛び込んでトンずらしましょう、と言ったつもりなんだけど。」

「。。。霞、お前は。。。。」


 そうこうしているうちに、グローリーホールの大穴の壁に数人程度が休憩できそうな、足場が見えてきたので、いったん、そこで休憩し、呼吸を整える。


 穴の中に提灯虫はおらず真っ暗だが、頭上のグローリーホールの入り口だけでは点のように提灯虫が照らす明かりが漏れていた。周囲が真っ暗な中を持ってきたランタンで周囲を照らす。


 元々の作戦はこうだ。

 グローリーホールとはいえども、RGF社の調査部隊がこのグローリーホールを調査しているのだ。調査が進んでいる範囲においては、一定の深さの毎に、足場が設けられているのだ。

 なので、前回の失敗を反省し、アリエルの魔力を分析した結果、この足場の度に休憩し、生気を与えることでアリエルの魔力を補充し、ふたたび、アリエルの魔術で降下を繰り返すというものだ。


 出だしには、問題はあったかもしれないが、今のところ作戦は順調だ。


「いや〜いいのかしらね。こんなに生気をいただいて。」

「いいか、ちょっとだけだぞ。ちょっとだけだぞ。」


 重要なことなので二回言っておいた。


「それでは、生気をいただきま、うっ!」


 アリエルは俺の指に食いつこうとするが、俺は頭をつかんで、それを止める。


「待て、なんで俺なんだ。そっちにもっとおいしそうなお姉さんがいるだろ。」

「痛ったー!ちょっと何すんの。意外とタツヤの生気はおいしいのよ。」

「別に嬉しかねぇよ。俺のはいいから、そっちのキレイなお姉さんのにしておけ。」


 俺は、羽のついた虫を霞のほうへとむける。


「ちょ、ちょっと待って。そ、そのあたしは、、、心が清らかじゃないから、、、」

「いっただきまーす!」

「ちょ、待っ、あ、ああぁぁ、、、、ぁぁぁぁぁあああああああああああ!」


 アリエルは霞に食らいつく。最初は気持ちよさそうな「あぁ」が徐々に悲鳴に近い「ああ」に変わってきたところで、俺はアリエルの頭にチョップを食らわせる。


「はぁ、はぁ、、、ありがと。。。死ぬかと思ったわ。」


 霞は息が荒い。ついに霞もこの洗礼を味わったようだ。


「痛ったー!ちょっと、可憐な少女に何を、、、」


 どうやらクリーンヒットしたようだ。アリエルは霞から離れてこちらを振り向くと、涙目になっている。


「当り前だ。ちょっとだけ言っただろうが。ともかく、魔力は補充できたんだろ?ほら、次の足場に向けて降りるぞ。」

「はい、はい。」

「はい、は一回だろ。」

「はーい。」

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