30変態に捕まる(霞)
「なるほど、びしょ濡れなのは、アリエルちゃんの魔術が失敗したわけね、それでびしょ濡れの服を脱ごうと上半身裸で、ろうそくに、鞭のようなロープは、魔術の実験に使っていたと、、、、で、アリエルちゃんがロープでグルグル巻きなのはどいうことなの、変態さん。」
「おい、俺は変態じゃない。私は至って紳士だ。こいつがな、魔術を使って周りの人たちに『俺が変態だ』とか、心の中へ訴えかけるもんだからな、とっ捕まえて、グルグル巻きしてやったんだ。」
と、ジト目で見ながら目の前で、言い訳をしている全身びしょ濡れの上半身裸のおっさんを見ます。
うん、変態です。
まったく説得力がないのだけど。。。
どうやら、あたしはアリエルちゃんの魔術で、この変態さんの部屋に吸い込まれたようなのだけど、ともかく、あたしは、グルグル巻きになっているアリエルちゃんを解放してあげる。
「もう大丈夫よ、アリエルちゃん。危ないところだったわね。」
「本当、もう、変態に捕まって何をされるかと。」
アリエルは空を飛びながら、あたしの肩にストンと座わる。
そして、あたしは、白い目で上半身裸の変態をじろっと睨みつけるのです。
「だから、オレは変態じゃない!」
そのあとは、変態さんのことはさておき、アリエルちゃんがどんな魔術が使えるかの確認になったのです。
なるほど、あたしは魔術といえば、この魔術、あの魔術というように決まった魔術があるのだ考えていたけれど、どうやら魔術というのは概念的で、これが出来る、というよりも、気の錬成次第でいろんなことが出来るらしい。
「ねぇ、その炎はどこまで出せるのかしら。あそこの変態さんに目がけて炎を出せない?」
「あたしに任せて!」
アリエルちゃんの手からは炎が伸び、変態の直前でグインと直角に曲がり、そのまま天井で炎は消失する。
炎出す魔術だけならば、あたしの方が上手かもしれないけど、その魔術の操術などは非常に勉強になるわね。
「まぁ、あたしにかかれば、こんなもんね。どこまで伸びるかは気の量次第ね。」
「おい、気の量次第なら、俺を狙って魔術を出す必要があったか。」
「はぁ?何か言った?変態。」
変態のことはともかく、その後もいろいろ試してみたのです。空中に物を浮遊させてぶつける魔術や、一時的に重力の向きを変えて人を壁にぶつけることすら出来たのです。
もちろん、実験台には変態さんに登場してもらいました。
それ以外にも、アリエルちゃんの魔術はいろんなことができるのです。遠隔で物を曲げたり、空気の密度を変えることで周囲の見え方を変えたり、相手の心に語りかけたり、心の声を読み取ったりと、そう、これは使い方次第では、どんなこともできてしまう驚異的な能力なのです!
一方で、魔術を使いすぎると、気が尽きてしまうのだとか。いつ、尽きるかはわからないそうで、ある時に突然プツンと気が途切れるのだとか。
気が途切れた場合は、補充が必要だそうで、それには人の生気が必要なのだそうです。
人の生気というのは、その名の通り、人が生きるのに必要な力、とはいっても、必要なのはほんのちょっとだけなので、まったく問題ないのだそうです。
「それじゃ、タツヤさん、生気いただきます!」
「ま、まて、お前、必要な生気はちょっとだけとか言っていたが、今までちょっとで済んだことないよな。」
「このアリエルに任せなさい。前回はちょっともらいすぎちゃったけど、今回はちょっとだけなのです。」
「だから、ちょっとだけだぞ。わかってるな。ちょっとだけだあああぁぁぁ。気、気持ちいいいぃぃぃいいいいいややああああああああ!やめてくれ!!!!!!」
アリエルちゃんはタツヤの指先にがぶりと食いつきます。生気を吸うときは、麻酔の作用なのか、気持ちよく感じてしまうそうなのです。ただ、それが行き過ぎると、まるで魂を吸いだされるかのような気分になるだそうです。
「ぷはー、タツヤの生気は美味しいのです。」
「・・・お、おい、、、、ちょっとじゃねぇだろ。」
とりあえず、これでアリエルちゃんの実力はわかったわ。
あたしは、どっちかというと、攻撃系の魔術に特化していて、自分でいうのもなんだのだけど、魔力、つまり、気は非常に強いと思うのよ。
一方、アリエルちゃんの魔術はイメージできるものであれば、何でもOK。
ちょっとした攻撃魔術もできるけど、精神系の魔術や補助系魔術なんかが得意って感じね。
魔術の強さは吸った生気次第、というところかしらね。
なるほどですね。
と、あたしは床に転がって伸びている隣人のオッサンを、汚物を見るような目で見下します。




