28変態タツヤの変態的魔術実験(アリエル)
はい、可憐な妖精アリエルです。
今、あたしはとんでもないことになっているのです。
体中をロープでグルグル巻きにされ、タツヤさんの家の天井から吊るされているのです。
何があったのかというと、「小さな地図屋さん」というお店から帰ってくるなり、タツヤさんがあたしの体をロープでグルグル巻きにしたのです。
それは、かわいいあたしのこと、独り占めしたくなっちゃうのはわかりますけど、だいぶディープな趣味が入っているのです。
「何がだいぶディープな趣味だ!全部聞こえているぞ。言うなら心の中で言え。」
「で、何よ?」
「何よ、じゃねぇよ。随分とまぁ、いろいろとやってくれたなぁ。おかげ様で町を歩くたびに周りから『変態』と呼ばれるようになったよ。」
ヤバい。タツヤさんがあたしを見下ろす目がヤバいことになっているのです。まるで、身動きのできない獲物を捕える肉食動物のようです。
「いやー、いろいろといっても、身に覚えがあるのは、例のあの『タツヤさんが変態』という話をみんなの心に筒抜けにしただけであって、、、」
「十分、いろいろやらかしているだろ。というか、俺は変態じゃない!」
「女湯覗こうかどうか、本気で迷ってたくせに。」
「それは、それはだなぁ、確かに迷いはあった。だが、実行には。。。。移してはいない、、、、その、男というのは皆、欲望があるわけで、紳士の仮面をかぶった変態なわけで、、、って、そんなことはどうでもいい!まず、俺の質問に答えろ。まず、お前が使える魔術を全部吐け!」
「変態紳士仮面のプロマッパー」
「うるさい!」
はて、困ったのです。
人間世界では、魔術の1つ1つに名前がついるのが通例のようなのです。だけど、実際の魔術というものは、もっと概念的であって、この魔術ができる、あの魔術ができる、と言い切れるものではないのです。
なんとなく、魔力をこめて、炎を出したいと思えば、炎が飛び出て、相手の思考を読みたいとと思えば、思考が読めてしまうものなのです。
まぁ、この可憐で美しい妖精、アリエルが、魔術の天才だからこそできるのかもしれないのですが。
「うーん、使える魔術といってもね。。。魔術というのはね、概念的なものなのです。」
ふとロープでグルグル巻きにされながらも、動かすことのできる指先から魔術の源となる気を放出してみます。
それは、すぐに小さな炎として現れるも、すぐに、火のなかから水が現れ、見る見るうちに宙に水玉が浮く。さらに、その水玉のなかから一輪の花が現れます。
タツヤが、その一輪の花を手に取ろうとするも、タツヤの手は花をすり抜けてしまう。
「今のは、あたしの気を放出して、炎を作ったのです。そして、それを水に変換して、さらに花の幻覚を作ったわけよ。こんな感じで気というのは何にでも出来るのです。まぁ、このアリエルが魔術の天才というのあるのだけど。」
「なるほど。俺も魔術は色々見てきたが、これは意外だな。魔術で幻覚ではなくて、実際に物を作ることはできないのか。」
「無理なのです。何かを変形させることなら出来ないことはないでしょうけど、ゼロから物体を生み出すということは、物理法則を無視しているのです。あくまで、魔術、気のエネルギーで何かをするというだけなのです。炎や水は空気中の物質を燃やしたり、空気中の水分を集めて作っているのです。」
「なるほどな。お前、、、馬鹿に見えたけど、意外と理解しているんだな。」
「ちょ、ちょっと、この天才、アリエルが、ば、馬鹿ですと、、、」
「ということは、こういうことや、ああいうことやできるのか?」
「当り前じゃない。この天才アリエルに任せなさい!!」
そこからはタツヤとの実験の始まりなのです。
物を浮かばせたり、ろうそくの炎を増大させたり、ロープを空中で結んでみたりと、どこまで大きな水玉が作れるかなど、タツヤの思い付きの実験に付き合ってあげたわけなのです。ロープでグルグル巻きにされたまま、ですが。
「あっ。」
だけど、たまに失敗はあるわけで、例えば、どこまで大きな水玉が作れるのかと言われて、巨大な水玉を部屋の中に作っていたのですが、ときどき、集中力が切れることがあったりするわけですよ。
バシャン!!
「おい、ゴミ虫、前にも似たようことあったよな。ちゃんと漏らす前に、、、、言え。」
タツヤはずぶ濡れに何ながらも、まるでゴミを見るような目でここちらを見てくるのです。
そりゃ、天才のあたしですら、ときにはミスすることもあるのです。




