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26地図職人の日常(タツヤ)

 

 さて、いったん自宅に戻ってきたところで、本来の職業に取り組む。

 本来は、地図を調査し、地図を起こして、それを売り、生計を立てているのだ。


「何やってるのよ。」


 と声を掛けるのはアリエルだ。温泉から戻ってきたところで、霞と話をして、一応、自分の部屋で『飼育』することになったのだ。


「ああ、仕事だ。こうやって、地図を書いて売ってるんだ。ところで、なんで、お前、わざわざ、虫かごのなかで寝てるんだ。」


 ふとを視線を向けると、帽子や上着をひっかけるフックに、ちょうど虫かごが掛けられている。その中に、どこから拾ったのか、キレイに小さな布団が敷かれ、そのうえで、ぐっすり寝そべっているアリエルがいる。


「いやぁ、だいぶ、虫かご生活が長かったもんで。なんか、この中でないと、寝られないのですよ。」

「まぁ、別に構わんが、邪魔するなよ。」

「大丈夫よ。ただ見てるだけなのです。」


 背後からの視線が若干、気にはなるが、仕事を始める。

 今回の地図の製図は、先日訪れたグローリーホールだ。

 実はグローリーホールへ行ったのは初めてだった。


 グローリーホール周辺では、あまり鉱物も取れず、珍しい動植物の報告もない。

 魔獣の巣があると言われて人が近寄らないのもあるし、RGFの調査部隊がひたすら調査をしているとのことで、地図としての需要はまありなく、後回しにしていたのだ。


 だが、行ったからには地図として起こさなくてははならない。それがプロのマッパーとしてしてのプライドだ。


 本来はきちんと調査のための原図を作り、きちんと測量して、その結果を原図に書き込み、地図に落とし込まなければらないだが、今回は、地図調査が目的ではなかったので、そんなことはしてなかった。

 だが、覚えている限りの記憶だけを頼って、地図を起こす。たとえ正確でなくとも、そこに地図が書かれていることが重要なのだ。


 これぞ、プロのマッパーが持つ特殊能力、神の手、ゴットハンド、見る見るうちに記憶から地図が作られていく。測量してないので、一部、うん?という個所はあるが、いいのだ。気にしてはいけない。ない地図よりも、書かれていることに意味がある。


 たまに地図がイカサマ的に狂っていて、地図の購入者から『イカ地図』などと揶揄されることもあるが、気にしない。大体あってればいいのだ。そうでなくても、昔の適当な冒険者が作った幼稚園児が書いたのかと思える地図に比べれば十分に精度がいいのだ。


 最初は、背後からの視線も気になってはいたが、仕事にのめり込むと気にならなくなってくる。

 ふと、気づけば、背後でアリエルは、虫かごの中で眠っていた。


 グガー、グガー、グガー。


 布団をはだけながら、ケツをポリポリかき、いびきをかいて寝てやがる。

 オヤジか!とても妖精とは思えぬ姿。


 だが、こうやって見ると、かわいいところもある。そう、思いながらも、仕事を一時中断して、布団をはだけているので、布団をかけて直してやる。


「うん?」


 そこで気づいた。どこでこんな布団を見つけてきたのかと思ったが、よ~くみると、俺がこないだ使い古したのでゴミとして捨てたパンツじゃないか。。。。。。。


 黙っておこう。


 そして、今度、アリエルにはアリエル用の布団を買ってやろうと思ったのだった。

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